共産党VSコミュニティノート――信頼を失っていく野党④

ライター
松田 明

デマへの注意喚起機能が実装

 この7月から、SNSの「X」(旧ツイッター)には「コミュニティノート」という新機能が日本でも実装されるようになった。
 これは、誤情報が拡散されることを防止するために、誤解を招く投稿やデマ投稿に対してコントリビューター(協力者)たちが補足の「背景情報」を添えて指摘できるというものだ。
 じつは、この機能が実装されてから、国会議員らの誤った投稿にもしばしば注意を促すコミュニティノートが加えられるようになった。
 7月9日、元民主党代表の鳩山友紀夫(由紀夫から改名)氏が、

近々NATO首脳会議が開かれるが、ゼレンスキー大統領はNATO軍にロシアに対して核攻撃をして欲しいと要請している。そんなことをしたら、ロシアが核で反撃することは間違いなく、全面的な核戦争で人類が滅びてしまいかねない。NATOがゼレンスキー大統領の要望を受け入れないことを切に望む。(7月9日の投稿

と投稿。だが、すぐに「背景情報」が付けられ、これは誤った英字字幕による偽情報だと注意が促された。鳩山氏は12日に「お詫びして撤回する」と表明した。
 7月13日、日本共産党の山添拓衆議院議員が、共同通信の記事を引用する形で、

「マイナカードの交付枚数8800万枚」には死亡や返納、紛失など廃止された500万枚が含まれ過大計上という。
このカウント手法は「簡便に数値を把握できるため」というが、交付率の水増しと言われても仕方ないだろう。
「デジタル社会のパスポート」どころでないでたらめぶり。(7月13日の投稿

と投稿した。
 だが、まもなくコミュニティノートにはソースを貼ったうえで、

デジタル庁のダッシュボードにも同様の「累計発行枚数」が発表されていますが、ここには「保有者の死亡や紛失などによる減少分は加味されません」と記載があります。

したがって「交付率の水増し」との憶測はあてはまりません。

等の指摘が入り、山添氏の投稿が事実誤認であることが示された。

〝ツイ消し〟した小池書記局長

 7月15日、今度は日本共産党の小池晃書記局長が、

「保険証によるなりすまし」確かに聞いたことありませんね

と投稿した。
 河野太郎デジタル大臣が保険証廃止を進める根拠として現行保険証による「なりすまし被害」を挙げたことを批判する日刊ゲンダイの記事に被せた投稿だった。
 すると、すぐに「なりすまし被害」を報じる報道が複数ある事実がコミュニティノートで付けられた。
 実際、旧来の保険証は持参した本人のものであることを確認する方法がない。マイナンバーカードでは、本人しか知らない暗証番号があり、顔写真と目視で照合もできる。
 小池氏は結局、この投稿をコッソリ削除した。
togetter「共産・小池『保険証なりすまし聞いたことない』にコミュニティノートで指摘を受けツイ消し逃亡」

 7月22日、再び山添拓議員が、

保険証廃止、マイナンバーカードへの一本化について「賛成」という方に聞くと、「便利になる」「なりすまし防止」という意見が。
しかし「なりすまし受診」は厚労省も詳しくつかんでいないという。
マイナカード+保険証の一体化はG7で日本だけ。しかもトラブル続出。果たして便利と言えるのか。(7月22日の投稿

と投稿。するとコミュニティノートで、

①厚生労働科学研究成果データベースの2003年公開の研究に次の記述があります

②1998年、仏では紙の保険証をVitaleカードに変更。カードに社会保障番号を記載し、機能を一体化しています。

等の指摘が入り、山添氏の投稿内容がいずれも事実に反していることが示された。
 山添氏の投稿には他にもコミュニティノートから複数の事実誤認が指摘されている。

「7割が反対」は事実ではない

 8月5日、日本共産党の志位和夫委員長が、

なぜ首相は国民の7割が反対する保険証廃止に固執するのか?
1、延期・撤回のためには法改正が必要で、責任が厳しく追及される。
2、財界要求に逆らえない。
「保身と利権」を「国民の声」に置く政治を許してはならない。
#保険証廃止を撤回せよ(8月5日の投稿

と投稿した。日本共産党はマイナンバー保険証への不安を政権攻撃の中心に据えて返納キャンペーンなどを展開している。
 しかし、上記の投稿にはコミュニティノートが「しんぶん赤旗」の記事を引用して、

「7割が反対」は共同通信の調査結果で、「撤回」に「延期」を合わせたものを「反対」と定義しています。

と数字のごまかしを指摘。さらに朝日新聞やJNNの調査結果も引用し、

なお、世論調査の傾向が似ているTBS系のJNNが同時期に行った世論調査では、
「方針撤回すべき」33%
「廃止期限を延期すべき」40%
「方針通り進めるべき」22%
となっており、廃止に反対している人はおよそ3割であることがわかります。

と、志位氏が「延期」の数字まで含めて水増しし、「国民の7割が反対」などと誤解を招く書き方をしていることに注意喚起した。
 コミュニティノートは、匿名のユーザーたちが自主的に書き込み、他のユーザーから評価があって表示される機能になっている。したがって、付加された指摘の精度についてはユーザーたちが自分で判断することができる。
 鳩山氏は自分の投稿の誤りを認めて謝罪撤回したが、今のところ日本共産党の面々は小池氏が黙って削除した他はスルーを決め込んでいる。
 発刊された『日本共産党の百年』は党勢の後退を前進に転じられていないことを「党の最大の弱点」と記したが、はたしてそうだろうか。
 人々の不安や怒りといったネガティブな感情を煽ることで党勢拡大を図ろうとする手法そのものが問題なのであり、そうした謀略的な体質が党勢の後退を加速させているのではないのか。

「信頼を失っていく野党」:
手段が目的化した立憲民主党――信頼を失っていく野党①
維新、止まらない不祥事――信頼を失っていく野党②
孤立を深める日本共産党――信頼を失っていく野党③
共産党VSコミュニティノート――信頼を失っていく野党④

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