第69回 正修止観章㉙
[3]「2. 広く解す」㉗
(9)十乗観法を明かす⑯
④慈悲心を起こす(2)
次に、煩悩無数誓願断については、煩悩は実体的な存在をもたないことを知っているけれども、その実体的な存在をもたない煩悩を断ち切ることを誓い、煩悩には限度のない(無限、無量の意味)ことを知っているけれども、その限度のない煩悩を断ち切り、煩悩は実相と同一であると知っているけれども、その実相と同一である煩悩を断ち切ると説明している。衆生と煩悩について、それぞれ空、仮、中のあり方を踏まえて三重に説明しているようである。
このような衆生を救うこと、煩悩を断ち切ることにも、周到な注意、つまり空、仮、中に配慮したあり方が要請されるのである。 続きを読む