第55回 正修止観章⑮
[3]「2. 広く解す」⑬
(9)十乗観法を明かす②
①十乗を広く解す
前回に引き続き、「十乗観法を明かす」についての説明を続ける。あらためて、この段の科文を掲げると、下記の通りである。
7.28121 正しく十観を明かす(52b-101b)
7.281211 端座して陰・入を観ず(52b-100b)
7.2812111 初めに法(52b-100a)
7.28121111 十乗を広く解す(52b-100a)
7.281211111 観不可思議境(52b-55c)
今回は「十乗を広く解す」・「観不可思議境」の段である。つまり、十乗観法のなかの第一「観不可思議境」について説明する。すでに十境の第一「陰入界を観ずること」は、心を観ずること、すなわち観心に切り詰められることを述べた。この段の冒頭には、次のように述べられている。 続きを読む