コラム」カテゴリーアーカイブ

「真冬の解散」の裏事情――国会論戦を避けた総選挙

ライター
松田 明

迷惑千万でしかない真冬の選挙

 1月19日夕刻、高市早苗首相は官邸で記者会見を開き、1月23日に衆議院を解散することを発表した。1月27日公示、2月8日が投開票。解散から16日後の選挙は「戦後最短」である。
 通常国会の冒頭で解散するのは、通常国会が1月開会となった1992年以来で初めて。それ以前にさかのぼっても1966年12月に冒頭解散した佐藤栄作内閣以来60年ぶりとなる。

 なぜ歴代政権は1月解散を避けてきたのか。理由はさまざまある。
 なによりも、国会としては新年度の予算編成がある。これが成立しないと国民への施策も実施できないし、全国の各自治体も対応した予算編成や事業計画が年度内に立てられない。本来、年度内の予算成立は内閣の最大の責務なのだ。 続きを読む

書評『読書と思索』――新装版となった半世紀前の名著

ライター
本房 歩

「人間が、すぐれて人間であること」

 田中美知太郎は、20世紀が始まった次の年、1902年(明治35年)の元旦に生まれ、昭和が60年の節目を迎えた1985年の暮れに没した。
 戦後日本におけるギリシア哲学の権威であり、とりわけソクラテスとプラトンの研究では、『ソクラテスの弁明』(1950年/岩波ギリシア・ラテン原典叢書)、『ソクラテス』(1957年/岩波書店)、『プラトン』全4巻(1979~1984年/岩波書店)など、記念碑的な著作を残している。
 著作の大半は西洋古典学・哲学に関するものであるが、社会批評や政治批評など領域は幅広く、没後に刊行された『田中美知太郎全集』(筑摩書房)は全26巻におよぶ。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第108回 正修止観章 68

[3]「2. 広く解す」 66

(10)煩悩境③

 (2)別釈③

 ④「止観を修するを明かす」(1)

 この段は、「正しく十乗を明かす」と「異名を会す」に分かれる。前者はさらに「観不思議境」と「後の九乗を明かす」、「挙喩結示」の三段に分かれる。後者はさらに「煩悩即涅槃の三十六句」、「諸法般若の三十六句」、「四身の三十六句」の三段に分かれる。順に紹介する。 続きを読む

「国保逃れ」を維新が認める――どの口で「改革」を語るのか

ライター
松田 明

「維新の議員もやってるから問題ない」

 本来、議員となった者たちが全額自己負担で納付しなければならない国民健康保険料と国民年金。それを、わずかな報酬の社団法人の「理事」に就任することで、安い社会保険料で済ませるという法の抜け穴を使った悪質な手口。

 こうした手口を自身の「ビジネス」として作り上げ、宣伝・勧誘していた者も日本維新の会の関係者。自分の支払う社会保険料を減らしたくて、その「理事」に就任していた者も日本維新の会の現職議員。
 日本維新の会に浮上した「国保逃れ」について、1月6日の朝日新聞が生々しい記事を掲載している。

 大阪府内に住む30代の個人事業主の男性に、スーツ姿の男性が近づき、国民健康保険料(国保料)の話を切り出してきた。
 この事業主が男性の名刺に目を落とすと、こんな言葉が躍っていた。
「個人事業主向け社会保険サービス」
「いくら稼ごうが国民保険+国民年金=34000円/月固定」
 事業主は普段、上限額いっぱいの国保料を納めている。「正直、国保料は高い」と不満をもっていたが、保険料が低減されるような文言をみて直感的に「ほんまにそんなことができるんか」と怪しんだ。
 そんな気持ちを感じ取ったのか、男性はこう語ったという。
「維新の議員さんもやっていますから問題ないですよ」(『朝日新聞』1月6日

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『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第107回 正修止観章 67

[3]「2. 広く解す」 65

(10)煩悩境②

 (2)別釈②

 ②「煩悩の起こる因縁を明かす」

 この段では、煩悩が生起する原因を三種取りあげている。一方、煩悩が生起する様相には四種があり、深いが鋭くないこと、鋭いが深くないこと、深くもあり鋭くもあること、深くもなく鋭くもないことである。この第四の深くもなく鋭くもない様相は、通常の果報(五陰)の惑の様相の所属であり、ここの煩悩境で扱うものではないといわれる。第三の場合(深くもあり鋭くもあること)は、煩悩が生起し動くのが普通と異なり、煩悩境の煩悩が生じる様相に所属する。「深い」というのは、煩悩が生じるとき、深く重大であり禁止することができず、あらゆる境についていよいよ増大し、遮り制止することがないことをいう。「鋭い」というのは、しばしば起こり、起こるといつも深く重大であることをいう。第二の鋭いが深くないこと、第四の深いが鋭く【利】ないことについては、これに準拠すればわかるであろうといわれる。 続きを読む