コラム」カテゴリーアーカイブ

高市首相に「助け舟」を出した公明党―2つの「質問主意書」の意味

ライター
松田 明

【本コラムの概要】
①歴代政権はあえて「存立危機事態」の具体的事例を曖昧にしてきた
②官僚とのすり合わせを欠いた高市首相のアドリブ答弁
③首相見解と政府統一見解にズレが生じた危うさ
④首相の名で首相の発言を正式に〝修正〟させた公明党の知恵
⑤斉藤代表「高市首相への協力を惜しまない」
⑥沖縄返還時に「非核三原則」をつくらせたのは公明党
⑦「非核三原則」堅持を明言しない高市内閣の答弁書
⑧党首討論で、あえて首相に釘を刺した斉藤代表
⑨高市首相が尊敬する安倍元首相にはバランス感覚があった
⑩初の女性首相として慎重に政権運営をしてほしい

  
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『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第103回 正修止観章 63

[3]「2. 広く解す」 61

(9)十乗観法を明かす㊿

 ⑫無法愛

 今回は、十乗観法の第十、「無法愛」(法に対する愛著をなくすこと)の段の説明である。
 この段の冒頭には、「第十に無法愛とは、上の九事を行じて、内外の障を過ぐれば、応に真に入ることを得べけれども、入らざる者は、法愛の住著を以て、前(すす)むことを得ざるなり」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅲ)、近刊、頁未定。大正46、99下14~16)とある。つまり、これまで説明してきた十乗観法のなかの前の九つの事柄を行じて、内外の妨げを通過すれば、真に入ることができるはずであるが、真に入らない者は、法愛という執著によって進むことができないことを指摘している。
 次に、四善根(煖・頂・忍・世第一法)の第二の頂から悪道に落ちることを「頂堕(ちょうだ)」という。蔵教・通教・別教・円教の頂堕について述べているが、説明を省略する。 続きを読む

芥川賞を読む 第65回 『百年泥』石井遊佳

文筆家
水上修一

百年分の記憶が入り乱れるマジックリアリズム小説

石井遊佳(いしい・ゆうか)著/第158回芥川賞受賞作(2017年下半期)

エネルギッシュなインドの混沌

「百年泥」で芥川賞を受賞した石井遊佳は、初候補での受賞。当時54歳。
 舞台は、インド南部の街チェンナイ。百年に一度の大洪水で街中が水浸しとなった。主人公の「私」は、勤務先である日本語教室に歩いていくため、川にかかる大きな橋を渡ろうとしたのだが、そこは行き交う人と車で大混乱。しかも、橋の両端には山のように積み上げられた泥と廃棄物で溢れていた。その泥は、川底に長年蓄積されてきた、まさに百年分の汚泥であり、その百年分の記憶が白日の下に晒されたのだ。
 作品は、現実世界をリアルに描写しながら非現実的で幻想的な要素を織り交ぜていくマジックリアリズム小説である。現実である日本語教室での授業の様子をベースに置きながら、大洪水で混乱する橋の様子の中にさまざまな幻想を入れ込んでいく。 続きを読む

書評『希望の源泉 池田思想⑧』――『法華経の智慧』めぐる語らい完結

ライター
本房 歩

「池田思想」としての『法華経の智慧』

 作家の佐藤優氏によって月刊誌『第三文明』2016年8月号から開始された連載「希望の源泉 池田思想――『法華経の智慧』を読む」が遂に完結し(2025年6月号)、その単行本化の最終巻となる第8巻(『希望の源泉 池田思想⑧』)が刊行された。

 まず『法華経の智慧』は、SGI(創価学会インタナショナル)会長でもある池田大作・創価学会第3代会長(以下、原則としてSGI会長と表記)が、1995年初頭から1999年6月までの期間に、法華経28品の全編を創価学会教学部の代表との座談形式で講義した書物である。
 法華経は大乗経典の代表的な経典として、その成立から約2000年間にわたって多くの地域で多くの言語に翻訳された。ゆえに「経の王」とも称されている。
 とりわけ鳩摩羅什訳の「妙法蓮華経」は、日本を含む東アジアの仏教体系、政治、文化にも多大な影響を与えてきた。創価学会が信奉する日蓮大聖人も、鳩摩羅什訳の「妙法蓮華経」を用いている。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第102回 正修止観章 62

[3]「2. 広く解す」 60

(9)十乗観法を明かす㊾

 ⑪能安忍

 十乗観法の第九の「能安忍」について説明する。安忍とは、内外の名誉と恥辱に対して安らかに忍耐することである。『摩訶止観』には、「若し此の意を得ば、九境を須いず。若し未だ了せずば、当に更に広く明かすべし」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅲ)、近刊、頁未定。大正46、99下13~14)とあるように、陰入界境に対する十乗観法のなかで、この第九の能安忍を実現できれば、煩悩境から菩薩境までの九境を必要としないこと、もしうまくいかなれば、九境について詳細に明らかにするべきであると述べている。 続きを読む