投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

特集⑩ 山崎正友、転落の始まり――腐敗した宗門に接近する

ライター
青山樹人

妙信講の異常な主張

 大恩ある創価学会とその指導者に対し、あろうことか不満や敵意を抱きはじめた日蓮正宗の出家たち。
 この宗門内部の微妙な変化を最大限に利用したのが、のちに創価学会を恐喝して懲役3年の実刑判決を受け服役した山崎正友である。
 山崎は、1970年から学会の顧問弁護士を務めていた。
 じつは大石寺に正本堂の建設が進んでいたこの時期、日蓮正宗内に厄介な問題が起きていた。
 当時、ごく少数の組織ながら独自の「講」として宗内に存在していた妙信講なる一派が、憲法を改正し、国会の議決をもって建設される「国立戒壇」こそが日蓮大聖人の遺命であると主張しはじめたのである。
 正本堂を「本門戒壇」と意義づけたのは、創価学会ではなく日蓮正宗である。 続きを読む

菅内閣が始動――公明党が政権を担える理由

ライター
松田 明

存在感を増した公明党

 9月16日、菅政権が始動した。
 これに先立ち、15日には菅義偉・自民党総裁と山口那津男・公明党代表のあいだで、新政権が取り組む重点政策9項目を盛り込んだ政権合意に署名。引き続き、自公連立で日本の政治を牽引する。
 自民党が衆参で400議席を超す巨大政党なのに対し、公明党は60議席に満たない政党だ。しかし、1999年以来、民主党政権下の3年3カ月を除いて、自民党と公明党は連立政権を維持し続けている。この10月で、連立誕生から22年目に入る。
 自民党に比べれば圧倒的に少数政党の公明党が、なぜこれほど長期にわたって連立与党の任を果たせているのか。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第100回 身体知について

作家
村上政彦

 いずれAI(人工知能)が人間を超えるという見方がある。僕は、そういう考えを見聞するようになって、身体に興味を寄せるようになった。AIは、いわば機械的な脳だ。そこに身体はない。人間は身体を持っている。これが知に影響を与えることはないのか?
 身体知についての本を何冊か読んだなかで、いちばんおもしろかったのが、『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知学』だった。サブタイトルを見ないと、一見、ビジネス書のようにおもえる。編集者の苦心が窺えるタイトルだ。確かに、「身体知の認知学」だけでは、僕のような読者しか手に取らないだろう。
 でも、読みだしたら、ほんとにおもしろい。専門書のような難解さはかけらもない。「はじめに」で身体知について定義がある。

「身体知」とは、身体と頭(ことば)を駆使して体得する、身体に根ざした知のことです

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連載エッセー「本の楽園」 第99回 コロナが奪ったもの、与えたもの

作家
村上政彦

 親しくしている作家からコロナ見舞が届いた。巣籠り生活で、どっさり本を読んだだろうから、意見交換しないか、というものだった。さっそく、最近になって手に取った本を棚卸した。
 そのうちの1冊が、『コロナの時代の僕ら』だ。著者は、まだ若いイタリアの作家パオロ・ジョルダーノ。ある新聞に書いたコロナについてのエッセイに反響があり、日々の記録をエッセイ集としてまとめた。

僕はこの空白の時間を使って文章を書くことにした。予兆を見守り、今回のすべてを考えるための理想的な方法を見つけるために、時に執筆作業は重りとなって、僕らが地に足をつけたままでいられるよう、助けてくれるものだ。でも別の動機もある。この感染症がこちらに対して、僕ら人類の何を明らかにしつつあるのか、それを絶対に見逃したくないのだ

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長嶺将真物語~沖縄空手の興亡 第6回 沖縄戦を生き延びる

ジャーナリスト
柳原滋雄

洞窟内の那覇警察署

 長嶺将真は1944年10月、首里出身の女性、喜瀬ヨネと入籍した。長嶺が37歳、ヨネは27歳だった。
 それからわずか数日後、那覇市内がほぼ壊滅することになる「10・10空襲」が発生した。日本軍はほとんどなすすべもなく、街は破壊され尽くした。
 初めての本格的な空襲を受けた住民は、当初は友軍である日本軍の演習と勘違いした人もいたようだったが、米軍機とわかると、かねて想定していた防空壕に避難した。沖縄には自然にできた壕がたくさんある。さらに独特の亀甲墓の中はそれなりの空間があって、逃げるにはちょうどよい場所だった。
 那覇警察署に勤務していた長嶺によれば、この空襲で那覇署員の殉職者は発生しなかった。それでも那覇の家屋のほとんどが灰と化し、住民には突然の北部への避難命令が出て、ごった返した。この中には長嶺の両親も含まれていたと考えられる。 続きを読む