投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

「食品ロス削減法」が成立―― 関係者と公明党の執念が実る

ライター
松田 明

膨大な食品廃棄の実態

 643万トン――。何の数値かわかるだろうか。
 じつは、日本国内で1年間に廃棄される〝まだ食べられる食品〟の量だ。農水省と環境省は、2016年度のこうした食品ロスの推計量を643万トンと発表している。
 たとえばスーパーなど小売店では、まだ賞味期限を過ぎていなくても、期限が近づいた商品を陳列しておくことは客から忌避される。
 食品流通業界では長年の慣習として、製造日から賞味期限までの3分の1を過ぎた商品は小売店に納入できなかった。
 2015年に、これを「2分の1」に延長したが、問題が根本的に改善したわけではない。また、スーパーやコンビニでは、むしろ弁当などデイリー食品の廃棄が大きな問題となっていた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第73回 こころ傷んで

作家
村上政彦

 僕は小説家を志す前から人物観察が好きだった。たとえばデパートや駅の構内など、人がたくさんいるところへ出かけて行って、何をするわけでもなく、ただ、そこにいる人々を眺めている。
 お年寄りがいる。子供がいる。会社員らしい男性がいる。買い物をしている婦人がいる。そういう人々を見ていると、どこからか物語が立ち上がってくる。この人は、こんな家に住んでいて、こんな家族がいて、こんな生活を送っている。本当は、そんなこと分かるはずもないのだが、何となく想像できる気がする。
 それを想像してどうするわけでもない。ただ、そこにいる人物を観察して、背後にある物語を愉しむ。僕は大きな書店へ行くと、そこで何時間でも過ごすことができるが、人物観察も同じだった。つまり、僕は人という本を読んでいたのだ。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第72回 ドキュメント レム・コールハース

作家
村上政彦

 子供のころ建築家に憧れた。伯父が建設会社を営んでいた影響もあったかも知れない。何もないところに一から物を築き上げていく仕事が魅力的に思えた。ところが僕には色弱という視覚障害があって、ある種類の色の区別がつかない。
 建築家は、電気の配線図などを見ることができなくてはならず、そのために色の区別は必要で、色弱には務まらない。同じように、手旗信号などの色を見分けることができなくてはならない船員にもなれない。実は、船員も憧れの職業だった。
 建築家にも、船員にも、なれない。これは、けっこうショックだった。母に文句をいった憶えがある。すると、「おまえはテレビ・ドラマの見過ぎだ。産んでもらっただけありがたいと思え」と鼻で笑われた。なんとハードボイルドな母親か。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流 第33回 次世代を担う沖縄空手家群像(上)

ジャーナリスト
柳原滋雄

 昨年2月に始まったこの連載も最終盤を迎えた。今回から3回にわけ、40~50代を中心とする次世代の沖縄空手家を紹介する。人数に限りがあるので多くの方々を紹介できないことをあらかじめご了解いただきたい。1回目は、沖縄県空手道連盟に所属する3人――。 続きを読む

平成30年間の政治(下)――「無能な政権」が残した教訓

ライター
松田 明

先進諸国は長期政権

 令和の時代の新しい政治のあり方を考えるうえで、大事なことは〝同じ轍を踏まない〟ということだ。
 平成の政治が残した大きな教訓。その第一は、2012年の第2次安倍内閣が発足するまで、あまりに短命政権が続いたことだろう。
 内紛が絶えず、毎年のように社長の顔が変わる企業が、業績を上げ、取引先から信頼されるか否かを考えるまでもない。平成元年から民主党政権の末期まで、日本の首相は17回も替わったのだ。
 現在の安倍政権が7年目の長期政権になっていることを「独裁」うんぬんと、ことさらヒステリックに批判する人々もいる。
 G7の中ではドイツのメルケル首相は2005年から13年以上、政権を担っている。フランスのミッテラン大統領は14年間。イギリスのブレア首相の在任期間は1997年から2007年まで10年だった。 続きを読む