投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

菅内閣が始動――公明党が政権を担える理由

ライター
松田 明

存在感を増した公明党

 9月16日、菅政権が始動した。
 これに先立ち、15日には菅義偉・自民党総裁と山口那津男・公明党代表のあいだで、新政権が取り組む重点政策9項目を盛り込んだ政権合意に署名。引き続き、自公連立で日本の政治を牽引する。
 自民党が衆参で400議席を超す巨大政党なのに対し、公明党は60議席に満たない政党だ。しかし、1999年以来、民主党政権下の3年3カ月を除いて、自民党と公明党は連立政権を維持し続けている。この10月で、連立誕生から22年目に入る。
 自民党に比べれば圧倒的に少数政党の公明党が、なぜこれほど長期にわたって連立与党の任を果たせているのか。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第100回 身体知について

作家
村上政彦

 いずれAI(人工知能)が人間を超えるという見方がある。僕は、そういう考えを見聞するようになって、身体に興味を寄せるようになった。AIは、いわば機械的な脳だ。そこに身体はない。人間は身体を持っている。これが知に影響を与えることはないのか?
 身体知についての本を何冊か読んだなかで、いちばんおもしろかったのが、『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知学』だった。サブタイトルを見ないと、一見、ビジネス書のようにおもえる。編集者の苦心が窺えるタイトルだ。確かに、「身体知の認知学」だけでは、僕のような読者しか手に取らないだろう。
 でも、読みだしたら、ほんとにおもしろい。専門書のような難解さはかけらもない。「はじめに」で身体知について定義がある。

「身体知」とは、身体と頭(ことば)を駆使して体得する、身体に根ざした知のことです

続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第99回 コロナが奪ったもの、与えたもの

作家
村上政彦

 親しくしている作家からコロナ見舞が届いた。巣籠り生活で、どっさり本を読んだだろうから、意見交換しないか、というものだった。さっそく、最近になって手に取った本を棚卸した。
 そのうちの1冊が、『コロナの時代の僕ら』だ。著者は、まだ若いイタリアの作家パオロ・ジョルダーノ。ある新聞に書いたコロナについてのエッセイに反響があり、日々の記録をエッセイ集としてまとめた。

僕はこの空白の時間を使って文章を書くことにした。予兆を見守り、今回のすべてを考えるための理想的な方法を見つけるために、時に執筆作業は重りとなって、僕らが地に足をつけたままでいられるよう、助けてくれるものだ。でも別の動機もある。この感染症がこちらに対して、僕ら人類の何を明らかにしつつあるのか、それを絶対に見逃したくないのだ

続きを読む

長嶺将真物語~沖縄空手の興亡 第6回 沖縄戦を生き延びる

ジャーナリスト
柳原滋雄

洞窟内の那覇警察署

 長嶺将真は1944年10月、首里出身の女性、喜瀬ヨネと入籍した。長嶺が37歳、ヨネは27歳だった。
 それからわずか数日後、那覇市内がほぼ壊滅することになる「10・10空襲」が発生した。日本軍はほとんどなすすべもなく、街は破壊され尽くした。
 初めての本格的な空襲を受けた住民は、当初は友軍である日本軍の演習と勘違いした人もいたようだったが、米軍機とわかると、かねて想定していた防空壕に避難した。沖縄には自然にできた壕がたくさんある。さらに独特の亀甲墓の中はそれなりの空間があって、逃げるにはちょうどよい場所だった。
 那覇警察署に勤務していた長嶺によれば、この空襲で那覇署員の殉職者は発生しなかった。それでも那覇の家屋のほとんどが灰と化し、住民には突然の北部への避難命令が出て、ごった返した。この中には長嶺の両親も含まれていたと考えられる。 続きを読む

特集⑨ 日蓮正宗僧侶たちの堕落――「第一次宗門事件」の伏線

ライター
青山樹人

出家たちの屈折した感情

 世界の指導者との対話を開始した池田会長。
 ところが、現実社会への展望もなければ責任感もなかった日蓮正宗の出家たちには、会長の世界に開かれた行動の真価など理解できなかった。
 創価学会は1953年に宗教法人の認証を受けた独自の法人格を持つ教団である。
 そのうえで日蓮仏法の流布をめざし、日蓮正宗の在家信徒の団体という立場で、総本山大石寺をはじめ宗門の外護に尽くしてきた。大石寺に建築史に特筆される施設をいくつも建立寄進し、国内外に300を超す末寺も寄進してきた。仏教史上、未曽有の在家による外護と供養である。
 宗門のなかでも戦後の疲弊した本山を知っている者は、学会の存在を頼もしくもありがたくも思った。しかしながら、寺檀制度の旧弊は宗内に色濃く染みついていた。在家への差別意識を抱き、当時から学会を蔑視していた出家は皆無でなかった。檀家制度そのものである法華講にも、急成長する創価学会への屈折した感情があった。 続きを読む