公明党、その「再生」への視点―選挙のプロからの率直な声

ライター
松田 明

「公明新聞」1面のインタビュー

 9月28日付『公明新聞』は、1面ほぼ全体を使い、あるインタビュー記事を大きく掲載した。タイトルは、「選挙ドットコム鈴木邦和編集長が語る公明再生への視点」
 公明党は選挙後、党幹部が全国各地に赴いて「方面別懇談会」を開催するなど、地方議員らから意見を聴いて、党内で議論を重ねていた。
 そして9月11日、先の参議院選挙の「総括」というかたちで「現状認識と敗因」「今後の党改革の方向性」を発表したのだった。

現状認識と敗因
●自民支持層・無党派層からの信任不足
●40~50代現役世代、10~30代若年層で支持伸び悩み
●与党への逆風と世界的な多党化が日本でも本格化
●既存政党・政治手法への国民の拒否感(自民党の不記載議員への推薦など)
●軽減税率は適切な結論を得るも、政策調整の遅延による影響否めず→「党存亡の危機」と位置付け

今後の党改革の方向性
①ブランディング・広報宣伝体制の抜本的再編
②「サポーター制度(仮称)」「党学生部」の創設
③「責任ある中道改革勢力」の軸として役割果たす
「参院選 公明が参院選総括、党改革へ」2025年9月12日

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沖縄伝統空手のいま 特別番外編⑪ 沖縄県空手振興課長・金城信尚さんインタビュー㊦

ジャーナリスト
柳原滋雄

ユネスコ無形文化遺産の登録へ

――最近あまり耳にしなくなったと感じますが、沖縄空手をユネスコの無形文化遺産に登録しようという長期戦の運動はその後どうなっていますか。

金城信尚課長 それに関して言いますと、令和4年度から6年度(昨年度)にかけて、ユネスコ登録に向けた調査ということで、沖縄の空手がいかに生活文化に密着しているかということを調査しました。特に棒術をはじめとした空手が地域の伝統行事に取り入れられ、生活文化に密着しているということがあって、それを報告書にしたのが昨年度です。ホームページでも公表しています(「生活文化に息づく『沖縄空手』調査報告書」沖縄空手ユネスコ登録推進協議会)。今年度はシンポジウムを開催するという形で、空手家をはじめ、県民の皆さま方に調査結果をフィードバックしたいと考えています。
 あとそれとは別に、通例ですと日本の国内の無形文化財として登録なり指定を受けたものを、国がユネスコに申請を行う手続きとなっているのですが、国内においてはこれまで「武道」が登録された事例がなくて結構ハードルが高い面があります。空手だけではなかなか登録が難しいので、伝統芸能や食文化など、別の分野と一緒に沖縄空手も含めて登録できないかということを模索しているところです。長期戦になると思います。

――ご自身の課長任期中に達成するという話ではないのですね。

金城課長 すぐにということではないと思います。ただしある程度のメドといいますか、今回の調査を通じて空手がどのように生活文化や地域行事に取り入れられてきたかを知れたのは意義深いと思いますので、それを広く知っていただこうと考えています。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま 特別番外編⑩ 沖縄県空手振興課長・金城信尚さんインタビュー㊤

ジャーナリスト
柳原滋雄

 2016年4月、沖縄県庁に空手振興課が発足して10年目。これまでWEB第三文明では歴代課長にインタビューしてきたが、今回4人目の課長を取材した。(収録/2025年8月6日)

課長自ら道場に入門

――これまで空手振興課の歴代課長にインタビューさせていただきました。今回は4人目の金城信尚課長となります。今年4月に着任されて4か月あまりが経過しました。

金城信尚課長 昨年班長として空手振興課に来まして、1年間の経験を経て就任しました。昨年夏には第2回沖縄空手少年少女世界大会も経験しました。

――金城課長は2016年、空手振興課が設置されたときにはどの部署にいましたか。

金城課長 平成28年は基地対策課ですね。

――それは沖縄ならではのセクションですね。基地の仕事は何年くらいやったのですか。
金城課長 2年間です。主に調査研究的なことをしていました。
――そのころ、空手振興課には関心すらなかったのですか。

金城課長 新聞で読んで認識はしていましたが、あまり記憶にはないです。むしろ振興会(一般社団法人・沖縄伝統空手道振興会)ができたときのことは覚えています。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第97回 正修止観章 57

[3]「2. 広く解す」 55

(9)十乗観法を明かす㊹

 ⑨助道対治(対治助開)(4)

 今回は、十乗観法の第六、「助道対治」(対治助開)の段の説明の続きである。前回は、智慧(般若)波羅蜜の説明の段に示される四顚倒を破るなかで、浄の顚倒と楽の顚倒を破ることまで説明した。今回は常の顚倒と我の顚倒を破ることから説明を始める。
 常の顚倒を破ることについては、生命の無常性について次のように述べている。無常という殺人鬼は、豪傑や賢人を選ばず誰にでも襲いかかるものなので、安心して百歳の寿命を希望することはできないし、突然死ぬ場合、あらゆる財産や金銭はむなしく他人の所有となり、暗くただひとり死んでゆく。もし無常を悟るならば、暴水、猛風、電光よりも速く、どこにも逃げ避ける場所がないので、争って火宅を脱出し、早く火事から免れ救われることを求めるように戒めている。以上が常の顚倒を破ることである。 続きを読む

連載「広布の未来図」を考える――第11回 アニメ・マンガ文化

ライター
青山樹人

半導体産業や鉄鋼産業を上回る規模

――前回(第10回)は「活字文化」について取り上げましたが。今回は関連して「アニメ・マンガ文化」について触れていきたいと思います。

青山樹人 いいですね。ご存じのように、日本のアニメやマンガは、今や世界中で愛されています。
 2025年3月に内閣府知的財産戦略推進事務局が公表した資料(第1回コンテンツ戦略ワーキンググループ・参考資料/2025年3月13日)によると、既に2023年時点で日本のコンテンツ産業の市場規模は、13.3兆円と推定されています。ゲームが含まれるとはいえ、大きな規模です。
 また、同年の日本のコンテンツ産業の海外展開の市場規模も5.8兆円。これは、半導体産業(5.5兆円)、鉄鋼産業(4.8兆円)、石油化学産業(1.4兆円)をも上回る規模なんです。

 経済産業省が同じく2025年3月に発表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略中間とりまとめ案」では、2033年には20兆円規模をめざすとしています。 続きを読む