特集㉒ 〝法滅〟の法主——黒い歴史を背負った日開と日顕

ライター
青山樹人

嫉妬を募らせた阿部日顕

 1980年代の池田SGI会長の仏法者としての世界的な活動を、苦々しい思いで見ていた人物がいた。日蓮正宗法主(当時)の阿部日顕である。
 自宗の信徒の代表が世界に貢献し、賞賛されている。本来ならもっとも喜び讃え、もっとも感謝しなければならないのが日顕の立場だ。
 しかし、日顕は何も嬉しくない。
 自分は〝御法主上人猊下〟であり、SGI会長は信徒だ――。だが、SGI会長と世界の1000万の学会員は深く強い絆で結ばれている。皆がSGI会長を敬愛している。
 自分にあるのは盗み取った〝法主〟の権威だけである。その権威すら、宗内から地位不存在の訴訟を起こされ、当然ながら、反論もまったくおぼつかない。 続きを読む

シリーズ:東日本大震災10年目~「防災・減災社会」構築への視点 第4回 つながる語り部たち(下)~コロナ禍を超えて~

フリーライター
峠 淳次

近代人にとってこの災害が耐えがたいのは、それに対抗して『する』ことがないということではないだろうか。

 新型コロナウイルス禍に関して、劇作家の山崎正和氏が昨年(2020年)夏の逝去の直前、雑誌『中央公論』7月号に寄せた論考の中の一節である。事実、悪疫の世界的流行(パンデミック)という異質の災害下、私たちは「外出しないこと」「集まらないこと」を心掛けるばかりで、「行動『する』こと」「何かを『する』こと」を罪意識にも似た思いで控えている。こうした事態に、「現場で活動『する』」「生の声で伝承『する』」「人々と直(じか)に接触『する』」ことを真髄とする東日本大震災の被災地の語り部たちは、どう立ち向かってきたのだろうか。苦闘する語り部たちの姿を福島の地に追った。
(冒頭アイキャッチ画像:口演する青木代表=「富岡町3・11を語る会」提供) 続きを読む

特集㉑ 鉄鎖を断ち切った師弟の息吹——各国首脳がSGIに注目

ライター
青山樹人

10万人の青年平和文化祭

 その日、大阪・長居陸上競技場のグラウンドに「6段円塔」が立った。1982年3月22日の第1回関西青年平和文化祭。池田SGI会長のもとに10万人の青年が集った。
 バックスタンドいっぱいに、SGI会長の勇壮な筆文字を再現した「関西魂」の人文字が踊る。正面観客席には、関西の政財界、文化学術界、各国外交関係者、報道関係者など5500名の来賓が居並ぶ。日顕や近畿布教区の日蓮正宗僧侶らも招かれた。
 いかなる権威権力が圧迫しようとも、われわれの師匠は池田先生である。われらが師匠は厳然たり――。その池田門下の青年の雄叫びを満天下に轟かす大文化祭であった。 続きを読む

長嶺将真物語~沖縄空手の興亡 第11回 空手の琉球処分(上)

ジャーナリスト
柳原滋雄

2年前から始まった前史

 1979年4月、八木明徳(1912-2003)は「全沖縄空手道連盟」の第7代会長に就任した。
 沖縄空手の〝本流〟の組織として1956年に知花朝信(1885-1969)を中心に設立された「沖縄空手道連盟」はその後1967年に改組され、「全沖縄空手道連盟」と名称変更していた。その後の会長職(任期2年)は、ほぼ四天王(長嶺将真、比嘉祐直、上地完英、八木明徳)が持ち回りで担ってきたが、八木にとってはこのときが2度目の会長就任だった。
 それから2年後の1981年8月、沖縄空手界は長嶺将真(1907-1997)を中心に新設された「沖縄県空手道連盟」と、八木の残る「全沖縄」に真っ二つに分裂する。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第105回 痛みと物語

作家
村上政彦

 朝日カルチャーセンターでの対談をまとめた本というので、読みやすいだろうとおもって手に取った。確かに読みやすい。しかし分かりやすくは、ない。この本をきちんと紹介するには、この本についての本を、もう1冊書かなければならない。
 ホストは、熊谷晋一郎。生まれたときの後遺症で、脳性麻痺の障害を持つ。車椅子での生活を送りながら、東大の医学部を出て、医師になった。「当事者研究」の研究、実践もしている。
「当事者研究」とは、医療などの専門家と病をかかえた患者が共同研究者となって、当事者が、「知の消費者」から「知の生産者」になり、知の領域にも関わっていくことだ。おもに精神病や依存症の自助グループから始まった。 続きを読む