「古都」としての北京
中国の古都と聞くと、日本の平城京・平安京が都市設計の影響を深く受けた、西安(長安)や洛陽を思い浮かべる人が多いだろう。
その一方で、現代の中華人民共和国の首都に定められている北京も、12世紀前期に建てられた金王朝で首都となって以来、時代によって名称は異なるものの、850年以上にわたる首都としての歴史を誇る立派な古都である。
現在の北京があるエリアは、特に古代から中世にかけて中原や江南地域を中心に発展してきた中国史においては、長らく辺境の地と位置づけられてきた。
周縁と見なされていた北京が、金、元、明、清、中華民国初期、新中国と長きにわたって首都に選ばれているのはなぜか。本書は、先史時代から現代まで、今の北京があるエリアの歴史を丹念に紐解きながら、その謎に迫っていく。 続きを読む