芥川賞を読む 第11回 『石の来歴』奥泉光

文筆家
水上修一

講談的な文体で謎めいた世界を描く

奥泉光著/第110回芥川賞受賞作(1993年下半期)

力量ある文体で読者を引き込む

 第110回芥川賞を受賞したのは、当時37歳だった奥泉光。後に芥川賞選考委員となり、現在もその任を担う。以前から注目されており、すでに何度か最終候補に残っていたから満を持しての受賞と言えるだろう。
「石の来歴」は、162枚の作品。奥泉の作品は、ミステリー的な要素をもち、夢か現か分からない謎の部分に読者を引き込む手法が得意だが、受賞作もまさにそうした作品だ。 続きを読む

「公明党衆院選重点政策」第2弾――日本経済の再生

ライター
松田 明

接種加速で見えてきた光

 政府が1日100万回以上のワクチン接種を強力に推進してきた結果、国内の接種者は飛躍的に増加。2回接種を終えた割合は先行していた米国を抜き、1回以上接種した人の割合も、世界でもっとも早く接種を開始した英国に並んだ。(9月30日時点)
 予備費を活用したワクチン確保への道筋を開いたのは公明党だった。全国の自治体での接種にあたっても、ワクチンの融通や効率的な接種など、国会議員と最前線の地方議員が綿密に連携する公明党のネットワークが奏功している。
 ワクチン接種が大きく進んだことで、あの激烈だった第5波の感染も収束に向かい、緊急事態宣言は9月30日で解除された。 続きを読む

「公明党衆院選重点政策」第1弾――子育て・教育を国家戦略に

ライター
松田 明

政府を動かす公明党の政策

 次期衆院選に向けて、連立与党の公明党が党としての「重点政策」を発表した(10月1日)。
 10月4日の首班指名を受けて岸田政権を出発させるにあたり、自民党は公明党と「自公連立政権合意」を新たに締結。
 この「重点政策」は新たな連立政権のもとにあって、公明党として実現を目指すもの。
 たとえば2020年に菅義偉内閣が発足した際も、公明党は政策合意の条項に「持続可能で強靭な脱炭素社会」を盛り込んだ。
 それまで菅氏自身は脱炭素社会にとくに関心のあった形跡がないが、この公明党の政策を受け入れて、所信表明演説では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを発表。「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を目指すことを宣言した。
 これは従来の自民党の政策を考えると画期的なものであり、公明党の政策が日本政府の方針に大きな影響を与えた直近の一例である。 続きを読む

芥川賞を読む 第10回 『寂寥郊野』𠮷目木晴彦

文筆家
水上修一

認知症や国際結婚など、大きな問題を描いた名作

𠮷目木(よしめき)晴彦著/第109回芥川賞受賞作(1993年上半期)

芥川賞らしからぬ大きな物語

 第109回芥川賞を受賞したのは、𠮷目木晴彦の「寂寥郊野」(せきりょうこうや)だった。当時36歳。『群像』(1993年1月号)に掲載された180枚の作品だ。
 賛否両論、意見が分かれることも多い芥川賞選考会だが、選評を読んでみるとほぼ満場一致での授賞決定だったようだ。𠮷目木はすでに別作品で「第10回 野間文芸新人賞」や「第19回 平林たい子文学賞」を受賞している実力者だから、その安定感は抜群だったのだろう。 続きを読む

「平和安全法制」から6年――「戦争法」と騒ぎ立てた人々

ライター
松田 明

昭和47年の「政府見解」

 平和安全法制関連2法(以下「平和安全法制」)が公布されて、この9月30日で6年が経つ(2015年9月30日公布)。
 当時、北朝鮮による核開発のエスカレート、中国の海洋進出など、東アジアの国際情勢は緊迫していた。
 日本がまだ民主党政権下にあった2012年8月、すでに米国は「第3次アーミテイジ・ナイ・レポート」で、第1次、第2次に重ねて、日本の集団的自衛権行使の禁止が日米同盟の深化の構築の妨げになっていると警告していた。
 冷戦構造はその20年以上前に終わっており、米国や英国は日本に対し、国際社会の枠組みに合わせて、いわゆる〝フルスペックの集団的自衛権〟を容認するよう求めてきたのだった。 続きを読む