連日、公明候補の応援に立つ知事
東京都議会議員選挙(6月22日投開票)の告示日を迎えた6月13日と翌14日、小池百合子・東京都知事が怒涛の勢いで「応援」に駆け巡ったのは、都議会公明党の候補者の街頭演説だった。
13日は、大松あきら(北区)、谷きみよ(豊島区)、久保りか(中野区)。14日は午前10時半、いいだ健一(北多摩3区)から始まって、かつまたさとし(大田区)、玉川ひでとし(大田区)、伊藤こういち(品川区)、細田いさむ(江東区)、加藤まさゆき(墨田区)、けいの信一(荒川区)、うすい浩一(足立区)、最後は午後7時半に大竹さよこ(足立区)に駆けつけた。
自身が特別顧問を務める都民ファーストの会の候補者回りに終日を費やしたのは、15日の日曜日になってからである。
さらに16日には、ふたたび都議会公明党の 村松としたか(町田市)、高田きよひさ(北多摩1区)、まつば多美子(杉並区)、古城まさお(新宿区)の街頭演説にも応援弁士として立った。
なぜ、小池都知事が〝他党〟である都議会公明党の応援に力を入れているのか。
2024年7月の都知事選挙で圧勝し、3期目に突入した小池都政。東京都は人口およし1422万人。地方自治体とはいえ予算規模は9兆円を超え、特別会計と公営企業会計を加えた全会計の合計は17兆8400億円程度。これはスウェーデンやスイスの国家予算に匹敵する。都の職員は教員や警察・消防まで含め16万6千人を超す。
小池都政が都民から支持され続けている最大の理由は、子育て政策や医療などで国をリードするような圧倒的な成果を出し続けていることに尽きる。
じつは、その小池都政の〝圧倒的な成果〟を可能にしてきたのが、都議会公明党なのだ。
日本共産党のデマを知事が否定
連日の応援演説に立った小池都知事は、行く先々で、次のように都議会公明党の果たした役割に言及した。
〝チルドレンファースト〟の都政を都議会公明党と一緒に進めてきた。(0~18歳に月5000円を支給する)「018サポート」、そして保育料の第2子以降の無償化、これを一歩進めて第1子からの無償化を進める。子供医療無償化、給食費の問題も都議会公明党から再三要望をもらってきた。それを着実に、信頼と連携の基で進めているのが現在の都政だ。(『公明新聞』6月15日)
物価高の折、暮らしを守るため、水道代の基本料金を夏の4カ月間、無償化する。これは都議会公明党からの提案があって成り立ったものだ。(同)
じつは、この「水道基本料金の無償化」に関して、日本共産党があいかわらず実績横取りのデマ宣伝を続けている。基本料金が無償化になったのは「水道料金10%値下げ」を主張してきた日本共産党の実績だというのだ。
これについては、6月3日の都議会本会議で、ほかならぬ東京都水道局長が〝否定〟した。
水道料金を単純に10%引き下げるようなことは、この夏に限り臨時的に行う今回の措置とは異なりまして、水道事業に必要な費用が賄われなくなることにつながり、公営企業の原則と相入れないものでございます。(令和七年東京都議会会議録第九号〔速報版〕)
先般の埼玉県八潮市での陥没事故に見られるように、高度成長期に敷設された上下水道管は半世紀を経て一挙に耐用年数にさしかかっている。
水道料金はこれら水道事業全体の維持に不可欠なもので、共産党が言うような「10%値下げ」は、これらの維持を破綻させるもので〝公営企業の原則と相いれないもの〟だと、都の水道局長がバッサリ斬り捨てたのだった。
小池都知事がわざわざ街頭演説で、水道基本料金の4カ月無償化について「これは都議会公明党からの提案があって成り立ったもの」と明言したのも、日本共産党のデマを鵜吞みにして信じている有権者がいるからだろう。
「公明党の存在が都民の命を守る」
小池都知事は街頭で訴えた。
現在の都政は、都議会公明党からの要望、提案を盛り込んだ予算を基にスピーディーに進めている。だからこそ公明党議員が地域課題を都に届けることは皆さんの命を守ることにつながる。(『公明新聞』6月15日)
2016年に華々しく都知事選を勝ち抜いて就任した小池知事だが、当時は都議会自民党とは犬猿の仲。頼みの綱の都民ファーストの会はまったくの素人集団。選挙の遺恨を捨てて、都民が選んだ都知事を支える側に回ったのが都議会公明党だった。
都議会公明党の強さは2つ。1つは、島しょ部まで含む東京の隅々に根を張った市区町村議員が、常に都民の暮らしの現場の課題を吸い上げてくること。
もう1つは、国政の政権与党・公明党と連携でき、さらに近隣首都圏はじめ全国の3000人近い地方議員とも緊密に連携できること。
小池都知事は、告示前日の6月12日に公開された「公明党のサブチャンネル」にも出演し、次のように語っている。
都議会公明党の皆さんは、本当にね都民の声をしっかり聞いていただいて、それを都政に届けてくださる。本当にそう思っています。だから、それを続けていただきたいなと思っています。(「公明党サブチャンネル」)
所得制限なく0~2歳児の保育無償化(2025年9月から予定)、シルバーパス負担額の4割値引き、住宅の防犯カメラに2万円補助、物価高対策として15歳以上の全都民に1人7000円分のポイント付与、子育て世帯に手ごろな住宅を提供するための官民連携ファンド設立(2026年度から住宅提供めざす)など、直近でも都議会公明党が東京都で実現してきた政策は多い。
さらに、私立高校授業料の実質無償化、児童手当、ⅮMAT(災害派遣医療チーム)の創設、財政の見える化、帯状疱疹ワクチン接種助成など、都議会公明党が実現して、その後、国の政策に波及していったものもある。
15日、狛江市内で街頭に立った公明党の竹谷とし子・代表代行は、こう語った。
国ではできないような思い切った政策もできるのが東京都の強みだ。都議会公明党が推進して、高校授業料の無償化での所得制限の撤廃や、学校給食の無償化を実現してきている。さらに、教材費や修学旅行費の無償化を東京で実現していきたい(「NHK NEWSWEB」6月15日)
今回の都議選では、「政治とカネ」で国政と同じ不祥事が明るみに出た都議会自民党には逆風が予想されている。
公明党都本部としては、公明党が候補者を擁立していない空白区であっても、都議会自民党の候補者は推薦しないことを決定済みだ。
ただし、小池知事の都政運営に反対する政党が勢いを増すと、着実に進んできた都政改革が混乱することは避けられない。
小池都知事は連日、行く先々の街頭演説で聴衆に訴えかけた。
東京を世界で一番輝く都市に。そして、1人1人が輝ける都政を都議会公明党とつくっていきたい。そのためにも、公明候補を都議会に送り出してもらいたい。(『公明新聞』6月15日)
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