2023年度予算案と公明党――主張が随所に反映される

ライター
松田 明

政府与党政策懇談会後に会見する公明党山口代表(12月23日)

物価高騰対策への施策

 2023年度当初予算案と税制改革大綱が12月23日の閣議で決定した。一般会計総額は過去最大の114兆3812億円。政府は当初予算案と税制関連法案を1月召集の通常国会に提出し年度内成立をめざす。
 このうち当初予算案は、日本が直面する内外の重要課題として、①安全保障・外交、②地方デジタル田園都市国家構想、③子ども政策、④GX(グリーントランスフォーメーション)を柱としたものになっている。
 グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)とは、産業・社会構造を化石燃料からクリーンエネルギーを主軸とするものへと転換する取り組み。政府は2050年までに温室効果ガスの排出ゼロをめざすカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を掲げている。
 また23年度税収見通しが過去最高となる見通しから、新規国債の発行は22年度当初予算から1兆3000億円減額することとなった。
 とくに「子ども予算」と「脱炭素化」に関しては、連立与党である公明党の主張が数多く反映されたものになっている。また「物価対策」として、ウクライナ侵攻によって世界的にエネルギー価格が高騰するなか、電気・ガス・燃料費の負担を軽減する施策も公明党の主張が反映された。

子育て応援トータルプラン

 日本の政党のなかで「子育て」「少子化対策」に一貫して取り組んできた点では、なんといっても公明党が群を抜いているだろう。
 日本社会はこれから「2025年問題」「2040年問題」に直面する。団塊の世代が全員75歳以上となるのが2025年。全人口の約18%が75歳以上になるとされており、医療費・介護費が一層大きくなる。
 一方その2025年からわずか15年後の2040年までに、現役(20~64歳)人口が1000万人も減少し、日本は深刻な労働力不足に陥ると予測されている。これが2040年問題だ。その後も75歳以上の人口は膨張し、2054年頃には全人口の25%を占めるという試算もある。
 日本にとって最大の〝今そこにある危機〟は、少子高齢化なのだ。そこで公明党は早くも2006年には「少子社会トータルプラン」を策定。そこから今日まで、財源を明確にしながら年代ごとの施策を充実させる取り組みを地道に続けてきた。
 2022年11月8日に発表された「子育て応援トータルプラン」は、21年の衆議院選の公約を実現するために練り上げてきたもの。「結婚」「妊娠・出産」「未就園児」「幼児教育・保育」「小中学校」「高校など」「大学など」ライフステージごとに切れ目のない支援策が強化されている。
 プランでは、5つの基本的な方向性が掲げられた。

①仕事と家庭の両立により生活を犠牲にしない働き方へ転換する
②子育ての負担が過重にならないように支援する
③常に子どもの視点に立ち、子ども政策を中心に据えた「こどもまんなか」社会の実現をめざす
④男女間の不平等を解消し、性別役割分担意識を是正する
⑤若者が希望をもって将来の展望を描ける環境整備

「0~2歳保育」の長期的効果

 2022年10月28日に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」でも、公明党の主張で子育て伴走型の事業が盛り込まれ、22年度第2次補正予算では「出産・子育て応援交付金事業」が創設された。閣議決定した23年度当初予算案には、この事業の継続実施が含まれている。
 社会学者で京都大学大学院准教授の柴田悠(しばた・はるか)氏は、「子育て応援トータルプラン」について、

 きめ細かく、多方面にわたった手厚い支援策が計画されており、さすが公明党だと感銘を受けました。心強く思います。
 特に評価できるのが出産前後に対する支援策です。中でも0~2歳育児期を主とした「専業主婦家庭も定期的に利用できる保育制度の創設」は重要です。(「公明ニュース」11月20日

と評価している。
 じつは柴田准教授は「0~2歳児保育」が長期的にもたらす効果を推定研究している専門家。柴田准教授によれば、

「0~2歳保育」によって、すべての子どもの「言語発達の遅延リスク」「将来の情緒的孤立・自殺念慮リスク」が減ると期待できるとともに、不利家庭の子どもの「虐待被害リスク」「攻撃性上昇リスク」「不利の親子間連鎖リスク」も減ると期待できる(月刊『公明』2023年1月号)

という。
 しかし現行の制度では、親の就労が条件となっているため「共働き家庭」と「就労母子家庭」しか定期利用ができない。公明党の「子育て応援トータルプラン」が定期利用の対象をすべての家庭に拡充したことは、数十年単位で見た場合に、子どもたちの人生のさまざまなリスクの低減に効果が期待できるというのだ。

「子どもの幸せ」最優先の社会へ

 2023年4月には、公明党が主導してきた「こども家庭庁」が発足する。予算案では同庁の予算として4兆8104億円が計上された。
 今回、閣議決定された予算案と税制改革大綱では、出産育児一時金が50万円に増額される(23年4月から)。また、妊娠・出産時に計10万円相当を給付する経済支援が盛り込まれている。
 さらに教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)を2300人増員することが決まり、全国で12950人となる。14学級以上ある公立小中学校の各校に1人配置できることになった。
 中学校の部活動が教員の大きな負担になっていることから、200市町村に部活の受け皿を作る費用を支給。学校での部活動については「部活動指導員」を12600人配置する。
 公明党は既に2022年党大会で「安心と希望の『絆社会』2040ビジョン」(仮称)の策定を発表している。日本の政党で、これほど中長期的な全体像を示しているのは公明党だけだ。
 なお脱炭素は、2020年に当時の菅首相が公明党の強い主張を受け入れて2050年までの政策目標に掲げた経緯がある。
 今後10年間で150兆円を超える投資を官民でおこなう。政府としては20兆円程度を供給する予定で、そのための新たな国債として「グリーントランスフォーメーション経済移行債」を23年度に1兆6000億円発行する。
 公明党の強みは、全国3000人の議員のネットワークがあり、現場の声、生活者の声を的確に受け止め、国政と地方とで連携しながら全体像の大きなトータルプランを示せることにある。
 若者が安心して子育てを選択でき、子どもの幸せが最優先される社会へ、引き続ききめ細かな政策立案と実現を期待したい。

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