雇用調整助成金の延長が決定――暮らしを守る公明党の奮闘

ライター
松田 明

政策的多元性をうみだす公明党

 本年度の補正予算が、5月31日の参議院本会議で、自民党、公明党、国民民主党などの賛成により可決成立した。
 ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、燃料価格や穀物価格の高騰などで国民の暮らしに大きな影響が出ている。新型コロナウイルス感染拡大によって疲弊していた経済にとって追い打ちをかける深刻な状況である。
 当初、自民党は参院選の前に予算委員会を開いて首相が野党の攻勢にさらされることを懸念し、予備費で乗り切ろうとしていた。不測の事態に備えてしっかりした補正予算を組むべきだという公明党と意見が食い違っていたが、4月21日の自公幹事長会談で、今国会で補正予算を成立させるはこびとなったものだ。
 たとえばコロナ禍での10万円一律給付のときのように、これまでも与党内では自民党と公明党で意見が割れる場面はしばしば見られた。
 ただ、両党はどれほど意見が分かれても最終的に合意形成して、政策として実現する能力がある。
 同志社大学の吉田徹教授は、

与党内で意見が対立するのは、政策的な競争があるという意味ではむしろ好ましいことだとも言えます。(『第三文明』7月号

と述べ、

かつては派閥政治によって党内に多元性があった自民党ですが、今ではそれが減っています。その分、連立パートナーである公明党が政策アイデアの供給源となり、政策的な多元性を補完する――世界で平和が脅かされ、国内では生活の質が劣化しているなかで、「平和」と「福祉」を掲げる公明党の存在はますます重要になるはずです。(同)

という見解を示している。

伊藤たかえ議員が答弁引き出す

 5月31日の参議院予算委員会では、公明党の伊藤たかえ議員(兵庫選挙区)が質問に立ち、自身の国会質問によって菅政権で省庁横断的な「ヤングケアラー」への支援体制が生まれたことに言及。岸田政権での取り組みについて首相にただした。
 岸田首相は来年4月に発足するこども家庭庁を司令塔に省庁横断的に支援体制を構築するとしたうえで、その発足を待たずに今年度から体制を強化して必要な支援を当事者に届けたいという答弁した。
 また首相は、現在、自民党、公明党、国民民主党の3党でヤングケアラーに関する実務者協議がおこなわれていることに触れ、政府としてその議論にも注視し必要な支援に取り組むことも明らかにした。
 伊藤たかえ氏はさらに、雇用調整助成金の特例措置の延長が6月末で切れることに言及。とりわけ中小企業にとってはこの助成金が〝命綱〟になっていると述べ、現行の措置を少なくとも3カ月延長する決断をしていただきたいと岸田首相に迫った。
 首相は、原油価格の高騰などが物価に影響を与えることが見込まれるとし、7月以降も延長する考えを示した。
 続いて伊藤たかえ氏は、コロナ禍による臨時の休園や休校で保護者が仕事を休まざるを得ない場合に支給される「小学校休業等対応助成金」についても現行措置を延長するよう求めた。
 これについても岸田首相は、6月末に設定されている期限を延長する方向で速やかに公表したいと答弁。このふたつの延長決定は、即座に各メディアで一斉に報じられた(「テレ朝ニュース」5月31日)。

格差が再生産されない社会へ

 コロナ禍からの経済再生と物価高騰から国民生活を守るための補正予算だが、こうした政府の施策に対し〝バラマキ〟と批判するような声も一部にある。
 先述した吉田徹教授は、『第三文明』7月号で、10万円一律給付の際に自民党が困窮世帯に絞った給付を掲げ、公明党が全国民に一律の給付を主張したことを、アリストテレスの言う「矯正的正義」と「分配的正義」の話になぞらえた。
 困っている人がいるから助けるというのが前者で、人は平等だという観点で同じものを提供するのが後者である。「金持ちまで優遇するのか」という感情論があるが、一定の所得水準で線引きをした場合、その境界線上では常に不平等と新たな格差が生じる。

 今の日本は所得の低い人を助けるべきという矯正的正義に軸足を置いています。しかし、所得がおしなべて下がっている時代にはそれでは格差が再生産されてしまいます。したがって、今後は後者の分配的正義に軸足を置き、日常生活に不可欠なニーズは公共の財政によって支えるべきです。一律給付にしろ、昨年の子育て世帯への給付にしろ、〝バラマキ〟という短絡的な批判で済ませるべきではありません。(『第三文明』7月号

 吉田教授は、10万円給付の際に自民党と公明党で主張が食い違い、最終的に山口代表が安倍首相に直談判して、首相がひとたびは閣議決定したものを撤回して一律給付にした経緯について、

あのときの経緯は、今後のユニバーサル(普遍的)な社会保障のあり方を考えるうえで、先鞭をつける重要な議論だったと私は思っています。(同)

と述べている。
 コロナ禍とウクライナ情勢に起因する物価高は、ひとり親世帯など従来から困窮していた世帯に二重三重のダメージを与えている。
 自身も幼くして父親を亡くし、あしなが育英会に26年勤務したあと、子どもの貧困対策センターとして公益財団法人「あすのば」を設立した小河光治・代表理事は、

こうした状況の中で、危機克服に奔走してくれているのが公明党です。10万円給付(特別定額給付金)や「未来応援給付金」(子ども1人あたり10万円)のほか、画期的ともいえるふたり親家庭を含めた「子育て世帯生活応援特別給付金」も実現してくれました。コロナ禍にあって、徹底して生活困窮家庭や子育て世帯にエールを送り続けてくれたのです。(同)

と、公明党の実績を高く評価する。
 家庭の経済状況に関係なく、すべての子どもたちが平等に社会から支えられることが、その子どもたちの生き方や可能性をひらき、少子高齢・人口減少社会を乗り越える力となるのだ。
 未曽有の危機のなかで、人々の暮らしを守り、未来の社会を支える若者や子どもたちを応援し、政策実現能力をもって政治の安定に寄与している政党はどこなのか。しっかりと見極めていきたい。

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