スペシャリストが揃う参議院公明党③――里見りゅうじ議員(愛知選挙区)

ライター
松田 明

「働き方改革」に大きく貢献

 3つの法律の話をしたいと思う。
 まずは2018年の国会で成立し、19年4月から施行がはじまっている「働き方改革関連法」。長時間労働の是正や、短時間・派遣労働者の待遇改善、同一労働同一賃金、障がい者就労支援、ブラック企業対策などが盛り込まれた法律だ。
 2016年8月の第3次安倍内閣で働き方改革担当大臣のポストが新設され、9月に創設された「働き方改革実現会議」が10回の会議を経て実現計画を策定。18年の国会に内閣提出法案として出された。
 連立与党・公明党で、この法律の成立に大きな役割を果たしたのは、2016年7月の参院選で初当選したばかりの里見りゅうじ議員だった。
 新人議員が重要な役割を担えたのは、里見議員がたぐいまれな労働行政のプロフェッショナルだったからだ。
 里見議員は東京大学経済学部を卒業後、1991年に旧労働省に入省。労働基準局賃金時間部労働時間課を皮切りに、労働基準監督署やハローワークなど〝働く人〟の現場の実務を担ってきた。
 いわば、「働き方改革関連法」がカバーする諸課題に31年も前から携わってきたのだ。在英国日本国大使館の一等書記官として赴任した時期には、欧州の先進的な労働法制を学んだ。
 帰国後は厚生労働省の国会連絡室長、大臣官房参事官(賃金時間担当)などを歴任。将来の〝次官候補〟のひとりとまで目されていたが、その経験と手腕を期待されて2016年の参院選に公明党から出馬を要請されたのだった。
 この「働き方改革関連法」で里見議員がとくにこだわったのが「勤務間インターバル制度」の導入だった。退勤してから次の出勤まで一定の休息時間をとること。これは政府が閣議決定した「過労死防止大綱」でも導入促進が強く打ち出されている。
 EU(欧州連合)では1993年から法制度化されていたインターバル制度が、里見議員の尽力によって四半世紀遅れでようやく日本でも実現したのだった。

男性の育休取得へ法改正に尽力

参議院議員・里見りゅうじ 公式ホームページより

 2つ目の法律は2020年12月に成立した「労働者協同組合法」。
 たとえば株式会社が、株主・経営者・労働者から構成される雇用労働であるのに対し、組合員みずからが出資しそれぞれが対等な立場で経営と労働をおこなう非営利組織が労働者協同組合だ。
 欧州では半世紀以上前からあるのに、日本ではこうした組合に法人格を与える法律がなかった。この法律によって、介護や子育て支援の現場で地域ごとに仕事を生み出しやすくなった。また、労働者が経営にも参加して主体的に働くことが可能になった。
 この法制度は、公明党が連立与党入りしてまもない2001年から当時の坂口力・厚労大臣が実現への意欲を表明。以来、公明党が議論を牽引してきた。
 里見議員は協同労働推進議連の事務局長として、法律の成立に尽力した。現在は本年10月の施行にむけて準備を進めている。

 3つ目は2021年6月に成立した「改正育児・介護休業法」。
 この改正法には、通常の育児休暇とは別に、妻が出産した直後に男性も計4週間の休暇を取得できる出生時育児休業が盛り込まれた。休業中は賃金の67%が雇用保険から支給される。
 里見議員は公明党の雇用・労働問題対策本部の事務局長として、この法改正の審査にあたった。
 同改正法による出生時育児休業も本年10月から施行となる。男性の育児休業取得そのものが日本ではまだ低い。政治の役割は法律をつくることだけではなく、それを実際に人々が使えるようにすることにある。
 国会議員が全国3000人の地方議員と連携する公明党の「チーム3000」は、現場の小さな声を拾って政策実現につなげる場合にも、反対に政策を現場の隅々に実装していく場合にも、他党にはマネのできない力を発揮してきた。

地元・愛知の未来をひらく

 里見議員が一貫して「働く人」のための仕事に身を捧げてきた背景には、自身の生い立ちと経験がある。
 子どもの頃、父親が失業したことで家計が困窮。文房具や生活用品を学校からもらう教育扶助の対象となった。浪人時代は少しでも家計の足しになればと、大阪・西成の「あいりん地区」で日雇い労働をしながら、大学合格を目指した。
 また、英国赴任中に生まれた次男が生後3カ月で脳腫瘍を発症。帰国後も、官僚としての激務のなかで、次男の入院先と往復する介護生活を過ごした。
 2014年には「官民交流派遣」で、愛知県のトヨタ自動車本社に全省庁から第1号として出向している。
 このように国会でも抜きん出た労働行政のスペシャリストである里見議員だが、本人は自著で、

 公明党の議員である以上は、特定の分野のスペシャリストであるだけでなく〝何でも屋〟でなければいけない(『愛知から日本の未来をひらく』潮出版社)

とも語っている。
 これまで1期6年のあいだに、認知症施策推進本部の事務局長として実務を担当。2019年には与党で認知症施策推進大綱を取りまとめた。公明党としても、2022年度の重点政策として認知症患者の家族支援を盛り込んでいる。
 「母乳バンク」の普及に向けた体制整備や不妊治療の保険適用拡大にも尽力。さらに、党の南海トラフ巨大地震対策本部事務局長として、防災・減災の施策を推進。2000年の東海豪雨を踏まえ、国交省の「流域治水プロジェクト」の早期策定を国会で訴えてきた。
 2021年3月、国交省は全国の一級河川を対象とした「流域治水プロジェクト」を策定し公表している。
 2018年に発覚した財務省の公文書改ざん問題では、参議院財政金融委員会での里見議員の質問によって、電子決済システムに書き換えの記録が残っていることが判明した。立憲民主党や日本共産党が審議拒否して委員会を欠席していたため、与党である公明党の里見氏が財務省を追及することになったのだった。
 名古屋をはじめ愛知県は、喫茶店文化が日本で一番根付いている。だが、コロナ禍で経産省が準備していた一時支援金制度は当初、夜間営業の飲食店だけを対象として、昼間営業している飲食店は対象外になろうとしていた。
 里見議員は地元の小さな声を受けとめ、渋る財務省を説得。最終的に昼間営業の飲食店も対象に含まれることとなった。これでどれほど多くの喫茶店が救われたことかと思う。
 高齢者の移動問題対策として、豊田市が取り組む電動車を活用したグリーンスローモビリティにも力を注ぐ。
 トヨタ本社への出向の経験で里見議員は、愛知の「ものづくり」を支えているのが「ひとづくり」の伝統であることを学んだという。
 人の痛みや苦労がわかる政治家。厚労行政の現場から中枢まで豊かな経験を持つ政治家。地元愛知の可能性を誰よりも理解し発揮させようと奮闘する政治家。「即戦力」として、里見りゅうじ議員への期待は大きい。

参議院議員・里見りゅうじ 公式ホームページ

スペシャリストが揃う参議院公明党:
参議院幹事長・谷合正明議員
伊藤たかえ議員(兵庫選挙区)
③里見りゅうじ議員(愛知選挙区)

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