都議会公明党が重要なわけ――政策目標「チャレンジ8」

ライター
松田 明

国をも変えてきた都議会公明党

 きたる7月4日、東京都議会議員選挙がおこなわれる。コロナ禍という困難のなかで、首都・東京の次の4年間の趨勢を決する重要な選挙となる。
 東京都政は単に東京都に暮らす人々だけにとっての政治にとどまらない。これまで、国に先んじて都議会が東京都を動かして実現した施策には、その後、全国の自治体や国の制度に導入されたものが多くある。
 よく知られているのは、児童手当、東京消防庁のハイパーレスキュー(消防救助機動部隊)、災害医療派遣チーム「東京DMAT」、東京都型「ドクターヘリ」、ヘルプマークとヘルプカード、駅や公営住宅のバリアフリー化、バスのバリアフリー化、妊娠期から就学期までを切れ目なく支える「東京版ネウボラ」、子どもの医療費助成、がん対策(拠点病院拡充)、女性専用外来、中小企業への融資制度、新公会計制度(財政の見える化)など。
 そして、これらはどれも都議会公明党の粘り強いはたらきかけで実現してきたものだ。国政でも20年にわたって連立与党を担う公明党だが、じつはそれ以前から、都議会公明党が先に実現させ、結果的に国を動かした施策が少なくないのだ。
 なぜ、都議会公明党がこれほど多くの実績を作ることができたのか。
 ひとつには、国政で野党だった時代から、都議会では公明党が与党であったこと。さらには、公明党が国会から都道府県、区市町村議会まで、約3000人の議員の緊密でフラットなネットワークを持っていることが挙げられる。
 地域に根を張っていることで、2018年に実施した「100万人訪問・調査」運動をはじめ、日頃からの非常にきめ細やかな住民相談などにおいて、〝小さな声〟を拾い上げることができる。
 こうした生活者の声を拾い上げる能力と、それを3000人のネットワークで政治に反映させる能力において、公明党をしのぐ政党は日本にはないだろう。

全世代の安心と安全へ

 都議会公明党は、今回の都議選にあたって「3つの無償化」を含む政策目標「チャレンジ8」を打ち出している。

①第2子の保育料無償化
②高校3年生までの医療費無償化
③肺炎球菌ワクチン無償化
④がん治療に重粒子線
⑤駅ホームドアの整備
⑥高速道路上の料金所撤廃
⑦保護付き動物愛護センター
⑧豪雨に備える地下調節池

 ①第2子の保育料無償化
 すでに東京都では、2019年10月から都議会公明党の推進によって、2歳までを対象に「第2子の保育料の半額」「第3子の保育料の無償化」が実現している。今後は、「第2子の保育料の無償化」を目指す。

 ②高校3年生までの医療費無償化
 さらに子どもの医療費について、一定の所得制限を設けたうえで、都内すべての区市町村で高校3年生まで無償化する。

 ③肺炎球菌ワクチン無償化
 高齢になると嚥下(ものを飲み込む)機能が低下し、食べたものが気道内に入ることで引き起こされる誤嚥性肺炎が多発する。そのため日本人の死因のうち、「肺炎」および「誤嚥性肺炎」は上位を占めている。
 肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防し、重症化を防ぐもの。世界保健機構(WHO)も、コロナ禍の医療逼迫を低減する対策として肺炎球菌ワクチンの接種を推奨している。
 公明党は肺炎ワクチン定期接種の推進に取り組んできたが、従来は自己負担額が4~5000円程度かかることもあり、65歳以上の接種率は直近でも3割ほどにとどまっていた。
 そこで、コロナ禍での接種を進めるため、都議会公明党は接種補助制度を提案。本年、1人当たり2500円を上限に都から区市町村へ補助する制度が実現した。「チャレンジ8」では、これをさらに進めて無償化をめざす。

 8項目のうち、ここまでの「第2子保育料無償化」「高校3年生までの医療費無償化」「肺炎球菌ワクチン接種無償化」が「3つの無償化」となる。

全員当選でこそピースは埋まる

 ④がん治療に重粒子線
 2006年の「がん対策基本法」成立をはじめ、がん検診の無料クーポン券の配布や、ピロリ菌除菌の保険適用拡大など、これまで一貫して公明党はがん対策に取り組んできた。
 がん治療では、「手術療法」「薬物(抗がん剤)療法」「放射線療法」が3大療法となっている。
 このうち放射線療法で従来広く使われてきたエックス線は、照射した体表面でもっとも効果が高く、内部に入るにしたがって効果が弱くなる。そのため、がん細胞以外の正常な部位にもダメージを与えるため、回復まで多くの日数を要していた。
 新たに注目されている重粒子線は、体内組織にあまり負担をかけない速度で侵入し、特定の深度で線量のピークを作って、そこで停止させることができる。
 このため、これまでエックス線では治療ができなかった前立腺や頭頚部のがんにも使用できるうえ、がん細胞のみに最大限に照射することが可能で、患者の体に与えるダメージが格段に小さい。副作用がほとんどないので、働きながらがん治療を受けられる道が広がる。
 重粒子線の治療施設は全国には8カ所あるが、東京都下にはない。最大の理由は、設備が巨大で、設置するには相応の面積の敷地と建物が新たに必要になるためだ。都議会公明党は、これを都立病院に導入することを政策として決定した。

 ⑤駅ホームドアの整備
 鉄道駅では視覚障がい者が誤って線路に転落する悲惨な事故が絶えない。1日の利用者が10万人以下で視覚障がい者の利用が多い駅に、ホームドアを優先的に設置する。

 ⑥高速道路上の料金所撤廃
 首都高速道路では料金所が渋滞のひとつの要因になっており、7カ所を順次撤廃する。

 ⑦保護付き動物愛護センター
 動物保護のシェルター機能を備えた「東京都動物愛護センター」を新設。

 ⑧豪雨に備える地下調整池
 毎年続くゲリラ豪雨や巨大台風に備え、環状7号線の地下に国内最大級の地下調整池を設置し、ほかにも都内9カ所に調整池などを新設する。

 こうした大胆な政策を都議会公明党が掲げられるのは、これまでの長年の取り組み実績と、国政与党を含めたネットワークの連携があるからだ。
 都議会議員候補者23人の全員当選があってこそ、ネットワークのピースは埋まる。
選挙の時だけ甘い言葉や勇ましい批判をするのは簡単だが、重要なのは現実に「何を実現したか」だ。
 全世代の安心・安全をめざす都議会公明党の「チャレンジ8」の実現へ、完勝を期してもらいたい。

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