スペシャリストが揃う参議院公明党①――参議院幹事長・谷合正明議員

ライター
松田 明

参議院選挙と政権交代

 日本の国会は衆議院と参議院の「二院制」を採用している。
 衆議院には、法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名などで優越が認められている。衆議院選挙が「政権選択選挙」となるのはこのためだ。一方、任期は4年間でその途中で解散の可能性がある。
 これに対し、参議院は衆議院とは異なる立場と役割を担っている。
 まず任期が6年間で解散がない。3年ごとに半数ずつ選挙がおこなわれる。そのことで、参議院はより長期的な政策課題に取り組むことができる。
 また、「良識の府」「再考の府」「熟議の府」「反省の府」と称されるように、衆議院の行き過ぎをチェックし、党派性を超えた視点も取り込んで、多様な国民の意見を反映する役割をもっている。
 こうした点からも、参議院には衆議院にも増してフェアで高潔な人格と専門的な知見の高いスペシャリストが望まれる。
 なお、参議院選挙は政権交代には直接結びつかないものの、与党が過半数を割る「ねじれ」が生じると野党の抵抗で国会運営が遅滞する。過去に起きた政権交代は、いずれも直近の参院選で与党が過半数割れとなり「ねじれ」が生じている。
 岸田政権が菅政権に続いて短命に終わるようなことがあれば、コロナ禍での対応とそこからの再生が迷走するばかりか、国際社会での日本のプレゼンス失墜は避けられない。今夏の参院選は、与党にとって絶対に敗けられない選挙である。

国際人道支援の現場から国会へ

参議院議員・谷あい正明 公式ホームページより

 現在、参議院公明党の勢力は28人。議会占有率(11・4%)では過去最高となっている。
 衆参いずれもスペシャリストの多い公明党だが、とりわけ参議院は専門性と経験値の高い優れた人材が揃っていることで他党からも評価が高い。
 その筆頭に挙げられるのが、同党の参議院幹事長を務める谷合正明(たにあい・まさあき)議員だ。
 1973年生まれ。2004年に初当選して以来、現在3期目。現在は党幹事長代理、国際委員長を兼務。安倍政権では農林水産副大臣(2017年8月~18年10月)も務めた。
 創価中学・高等学校を経て京都大学農学部に進学。同大学院在学中にスウェーデンのウプサラ大学経済学部に1年間交換留学している。京都大学大学院修士課程修了。
 2000年に岡山に本部を置く国際医療ボランティアAMDA(アムダ)に就職。アンゴラ、アフガニスタン、スリランカ、イラク等11カ国・地域で医療支援活動の現地調整員を務めた。難民キャンプで国際人道支援の現場実務に携わってきた経験をもつ国会議員である。
 公明党の難民政策PT(プロジェクトチーム)の座長として最近では、シリア難民留学生の受け入れ、ミャンマーでのクーデターに伴い在留ミャンマー人の在留資格に対する人道的措置を推進した。
 アフガニスタンの政権崩壊後、この2月時点で520人を超える同国人が「短期滞在」(在留期間90日)で日本に入国を許可されているが、公明党は就労が可能な「特定活動」(同1年)に変更して子どもの就学支援もおこなうべきと政府に働きかけてきた。
 政府はこのほど在留資格変更申請と在留期間更新許可申請の受け付けをはじめた(「本国情勢を踏まえたアフガニスタンの方への対応」出入国在留管理庁)。

画期的な法制度の成立に尽力

 谷合議員は党の自殺防止対策PTの座長であり、超党派議連「自殺対策を推進する議員の会」副会長、若者自殺対策WT(ワーキングチーム)座長も務める。若者(15歳~39歳)の死因の第1位が自殺であることを重く受け止め、国会のなかでも真剣に対策に取り組んできた。
 一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター代表理事の清水康之氏は、

06年の自殺対策基本法成立当時から、公明党の議員の皆さんにはお世話になってきました。(『第三文明』2017年2月号)

超党派の「自殺対策を推進する議員の会」の副会長を務める谷合正明・参議院議員が自殺対策の枠組みづくりで大活躍されています。(『第三文明』2021年7月号)

と述べている。
 また、休眠口座活用検討PTの事務局長(現在は副座長)として、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」の成立(2016年12月)に尽力した。
 転居や死去などで10年以上放置されたままの休眠預金は毎年500~600億円(預金者から払い戻し申請があったものを除く)にのぼる。これまで銀行の雑所得とされていたこれを、社会的課題に取り組む民間公益団体の財政支援に充てられるようにした画期的な法律だ。

LGBT議連を牽引する

 谷合議員は4人の子をもつ父親として超党派イクメン議員連盟共同座長を務めるほか、LGBTに関する課題を考える議員連盟事務局長、党の性的指向と性自認に関するPT座長としても長年、国会内でリーダーシップをとってきた。
 母親でジャーナリストの谷合規子氏には『性同一性障害――3・11を超えて』(論創社)という優れたルポルタージュがある。谷合氏は議員になる前から性的マイノリティをめぐる日本社会の課題に関心をもっていたという。
 8年前の対談で、すでに次のように語っている。

公明党内では「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の成立に貢献した浜四津敏子元参院議員、松あきら元参院議員の取り組みを引き継ぐような形で関わるようになりました。人権という観点から言うと国内難民や、LGBTのようなマイノリティの法制度に関心を持つ議員は、はっきり言って少ないです。だから私はマイノリティの人たちに光を当てていきたいです。行政ができないのであれば政治家が声を挙げていくべきです。(明智カイト氏との対談/「SYNODOS」2014年10月4日

 ジェンダーや性的マイノリティの問題は、自民党などの一部に頑迷に抵抗する保守派がいる一方、野党のなかにはゼロか百かの極論で政局的に扱おうとする動きもある。
 こうした法制度は政権が変わって流動化するようなことがあってはならず、超党派で合意形成していくことを当事者たちも望んできた。公明党は連立与党の一員として当事者の声に真剣に耳を傾け、国に先んじて東京都の条例を推進するなど、できるところから社会を動かし合意形成に尽力している。
 その中心軸となって動いてきた谷合議員には当事者たちからの信頼も高い。

東京マラソン3時間26分

 このほかにも、党持続可能な開発目標(SDGs)推進委員会座長、党核廃絶推進委員会事務局長、少し変わったところでは党野生動物被害対策PT副座長として駆除された害獣をジビエ料理の振興につなげることにも取り組んでいる。
 海外での難民支援活動の経験が長かったこともあり英語も堪能で、党の国際委員長として、海外要人との交流も豊富。2019年には山口代表らと共にミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問を自宅に訪問している(2019年12月23日のツイート)。
 また、党の岡山県本部代表、中国方面本部長、四国方面副本部長として、地元・岡山県や中国四国地方のさまざまな地域振興、防災減災に尽力し、これら地域の首長たちからも高い評価を受けている。
 これだけ八面六臂の多忙な活動をする一方で、高校時代に陸上部でならしたマラソンを今も続け、2019年の東京マラソンでは3時間26分の自己ベストを更新している。
 まだ40代の若さでありながら、誠実な人柄、迅速な行動力、並外れた処理能力、粘り強い合意形成能力で、各種団体はもちろん他党の議員や官僚からも信頼と評価は高い。
 公明党の次世代のリーダーのひとりとして、さらなる活躍が期待される。

参議院議員・谷あい正明 公式ホームページ

スペシャリストが揃う参議院公明党:
①参議院幹事長・谷合正明議員
伊藤たかえ議員(兵庫選挙区)
里見りゅうじ議員(愛知選挙区)

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