高まる公明党の存在感――ウクライナ情勢で明らかに

ライター
松田 明

公明の提言に沿った緊急支援策

 ロシアの侵攻を受けているウクライナでは、少なくとも人口の20%にあたる約1千万人が国内外への避難を余儀なくされている(国連難民高等弁務官事務所調べ)。
 うち、国外へ逃れた人は3月19日時点で339万人(国連難民高等弁務官事務所発表)にのぼる(「読売オンライン」3月21日)。
 一方、国際移住機関の発表では、戦闘の激化などで移動したくてもできない状況の人々が約1200万人、ウクライナ国内の戦闘地域に取り残されているという。
 3月14日、公明党は日本政府に緊急提言を出し、日本への入国を希望する人々について、身元引受人がいない場合でも受け入れることと、避難民が増え続けている周辺国への支援を要請した(「公明ニュース」3月15日付)。

この中では、日本に親族や知人がいない場合でも避難民を受け入れられるよう、身元引受人を不要とし、長期滞在を可能にするなどの制度を新たに設けるべきだとしています。
そして自治体やNPOなどと連携し、住まいの確保や就労支援を行うほか、自治体への財政措置も講じるべきだとしています。
また現地への人道支援もさらに強化する必要があるとして、特に多くの人が避難しているウクライナ周辺国への支援を拡充するよう求めています。(「NHK NEWSWEB」3月14日

 3月18日、政府は関係閣僚らによる連絡調整会議を開催。公明党の要望にほぼ沿った形で、入国を希望するウクライナ避難民に対し、政府一体で必要な支援をおこなうことを確認。日本に知人や親族がいない場合も、自治体や企業などと協力して宿泊先提供や生活支援をおこなっていくことを表明した。
 また日本時間の3月24日夜から25日未明にベルギーでのG7首脳会議に出席した岸田首相は、ウクライナと周辺国に1億ドルの追加人道支援をしていくことを発表した。

「ウクライナ対応、公明党に重み」

 3月25日、ウクライナと東欧5カ国(ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、モルドバ)の駐日大使らがそろって衆院第一議員会館内で公明党の山口代表、谷合正明国際委員長(参院幹事長)らと会談した。
 ウクライナのアレクサンドル大使代理は、日本政府からウクライナへの1億ドルの追加人道支援に謝意を表明。避難民受け入れについて、教育、医療、就労などへのさらなる支援を要請し、公明党の協力に期待を述べた。

3月25日、ハンガリー、モルドバ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア及びウクライナの大使館代表が公明党の幹部と面談し、ウクライナの避難者の受け入れ体制を話し合いました。(在日ウクライナ大使館のツイート

 ロシアは侵攻が当初の思惑通りに進んでおらず、専門家の間では5月9日の第二次世界大戦対独戦戦勝記念日を控えて、無差別攻撃をエスカレートさせることへの懸念が語られている。
 また、ロシアへの経済制裁によって今後、日本国内でも物価高などの諸課題に直面する。現在、参議院では自民党は単独過半数に達しておらず、公明党との緊密な連携が欠かせない。
 3月4日の日本経済新聞は、「ウクライナ対応、公明党に重み」と題するコラムを掲載。

選挙後、自民党が単独で過半数を回復するほど勝利すれば別だが、実はそのためにも公明党の協力は欠かせない。公明党は外交・安全保障には一家言あり、経済政策も独自の提言が多い。参院選後も自民党だけで過半数に届かない場合、引き続き公明党の賛成がなければ、たちまち立ち往生してしまう。
つまりウクライナ問題から派生する政策課題を実現していくには、調整段階から公明党との十分な連携が求められる。(『日本経済新聞』3月4日

としたうえで、

ウクライナ情勢は公明党の重要性を浮き彫りにした。(同)

と締めくくった。

無能さを露呈する立民と共産

 こうした危機は同時に、一部野党の〝無能さ〟を際立たせているようだ。
 立憲民主党の副代表である原口一博議員は自身のツイッターで、

武器や兵器を世界に売る「死の商人」たちは、#DeepState とつながる事が多い。(3月20日の原口一博氏のツイート

 わざわざハッシュタグをつけて語った「Deep State」とは、米国を動かす〝闇のネットワーク〟と称されるもので、典型的な陰謀論だ。
 かつて閣僚までつとめた野党第一党の副代表が、この非常時に陰謀論を真に受けて発信している姿に、さすがに非難と落胆の声が広がっている。
 一方、この立憲民主党に秋波を送り続けている日本共産党の志位委員長は、3月24日の記者会見で、平和安全法制の廃止を野党共闘の「必須」条件とした。

夏の参院選で連携する野党の共通政策として、2015年に成立した安全保障法制の廃止を盛り込むことが「必須」との認識を示した。立憲民主党や市民連合内には異論があり、調整は難航しそうだ。(「朝日新聞デジタル」3月24日

 主権国家が一方的に侵略されていても第三国が加勢できないウクライナ情勢を前に、日本国民の間でもかつてないほど日米同盟の重要性が認識されつつあることに、日本共産党は危機感を覚えているのだろう。
 平和安全法制をあえて「戦争法」などと呼び、自衛隊が米軍とともに地球の裏側まで派遣されて「殺し、殺される」戦争をするなどと無責任なデマで不安を煽り立ててきたのが日本共産党だ。
 2015年9月に同法が成立すると、日本共産党は市民連合を介して当時の民主党などと平和安全法制の廃止を掲げて「野党共闘」にこぎつけた。
 だが、その結果、民主党はますます国民の信望を失って低迷。政権交代を掲げる政党が共産革命を目的とする政党と連携する姿に離党者が続き、あっけなく崩壊した。立憲民主党が懲りもせず日本共産党と選挙協力ばかりか政権協力まで公言し、総選挙で執行部が退陣する大敗を喫したのは昨年10月末の話だ。

6年前に成立した同法の廃止が日米同盟に与える影響を懸念する意見は野党内でも強まっている。(前出の朝日新聞デジタル)

 国際情勢が緊迫するなかで、日本共産党はあいかわらず平和安全法制の廃止を絶対条件に出してきた。だが今回は、平和安全法制の廃止を訴えて設立された市民連合からさえ共産党の主張への疑問の声が上がっていることを朝日新聞は報じている。

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