芸術」タグアーカイブ

1人ひとりの粘り強い対話が平和の万波を呼び起こす

現代美術・映像作家/芸術平和学研究者
田中 勝

人類は核なき世界を実現できるか。芸術平和学を研究する田中氏に聞いた。

原爆製造の地で平和展を開催

 若いころから「自分だけにしか表現できない作品をつくりたい」と願っていた私は、28歳のとき、サンフランシスコの「国際美術展」へ出展する機会に恵まれました。会場でスピーチを求められた私は、父の被爆体験を語りました。
 スピーチを終えると、1人の女性が涙を流しながら駆け寄ってきたのです。 続きを読む

【コラム】「生き残る力」としての文化力――日本は「文化」を大切にする国か

フリーライター
前原政之

先進国なのに文化にお金をかけない日本

「文化力」という言葉を「国力」のニュアンスで最初に使ったのは、おそらく仏文学者の桑原武夫だと思われる。
 桑原は1979年9月6日付の『朝日新聞』に「劣勢な日本の文化力」という論考を寄せ、その中で「日本は国際的文化力では第三級」と断じ、「日本の対外文化宣伝費がフランスのそれの10分の1しかないことも問題だ」としている。 続きを読む

【2014新春座談会】日本・韓国・中国のこれからを語る

脳科学者・茂木健一郎
現代美術家・宮島達男
明治大学法学部助教・金惠京
日本学術振興会特別研究員・三浦瑠麗

 日中韓の東アジアの関係では批判的な声ばかりが目立つが、アジアの時代を迎える中で東アジアの安定はより一層重要性を高めていく。批判ではなく提案と行動で、2014年の東アジアのビジョンを描き出す。 続きを読む

シリーズ 文化芸術を考える②――「地域アート」の勃興と芸術家の生きる道

SF・文芸評論家
藤田直哉

<シリーズ 文化芸術を考える>第2弾
現代日本の「文化・芸術」「地域アート」をどう考えるべきか。

王侯貴族・パトロンが生んだ宗教的芸術

 文化・芸術とは、もともと特権階級のものでした。芸術家は王や貴族やパトロン(支援者)からお金をもらい、彼らが求める絵を描いたり音楽を作ったわけです。 続きを読む

シリーズ 文化芸術を考える①――「平和創出の土壌」を生み出す文化・芸術の力

現代美術家
宮島達男

<シリーズ 文化芸術を考える>第1弾
文化・芸術の世界で学んだ人たちに向けて、誇りと使命をもってほしいと訴える宮島達男氏。その理由とは――。

2つのソウゾウリョク

「文化・芸術は、そこに携わる人たちの2つの〝ソウゾウリョク〟を鍛えてくれる」
 私がそう考えるようになったのは、芸術大学で学生と向き合うようになってからです。毎年2万人に及ぶ人たちが芸術系の大学を卒業していくなかで、アーティストとして生計を立てられるのは、ほんの1%にも満たない人で、残りの99%は普通の社会人として世の中に出ていきます。 続きを読む