コラム」カテゴリーアーカイブ

【コラム】「デマの回復不可能性」について――情報の「質」を見極めるリテラシー

フリーライター
前原政之

メディアが広めたウソが「事実化」してしまう

 読者諸氏は、以下の話をおそらくどこかで耳にしたことがあるだろう。

〝1956年のアメリカの映画館で、広告業者がある実験を試みた。上映するフィルムの中に、3000分の1秒というごく短い間だけ、「ポップコーンを食べろ」「コカ・コーラを飲め」と書かれた画面を5分おきに挿入したのだ。 続きを読む

【コラム】「大介護時代」を目前に控え

ジャーナリスト
柳原滋雄

介護離職が増えている

 同世代(40代後半)の友人Tさんの話。最近、田舎の父親の物忘れがとみに激しくなり、帰省した折に地元の大学病院のもの忘れ外来に連れて行った。MRIなどの検査を行った結果、認知症であるかどうかの判断は「グレー」。口頭試問で行う検査では比較的高い点数をとったものの、レントゲン結果では、アルツハイマー型認知症患者に特有の脳の萎縮が見られたという。 続きを読む

【コラム】日本人を魅了し続ける「かぐや姫」――私たちは、どこから来て、どこに行くのか

フリーライター
青山樹人

1000年前の『E.T.』

 スタジオジブリの最新作『かぐや姫の物語』が、封切り最初の土日だけで22万2822人を動員し、順調な滑り出しを見せた。
 これから映画を観る人も多いだろうから、ここでは映画そのものには触れないことにして、この作品の原作となった古典『竹取物語』について、少し考えてみようと思う。 続きを読む

【コラム】「逆境」こそが生命に新たな価値を開かせる――生物学の知見と、大乗仏教が説く「変毒為薬」の智慧

ライター
青山樹人

なぜ生物は動くようになれたのか

 生物学者・福岡伸一さんの著作は、どれも引き込まれるような名文と哲学的な視点で根強い人気を博している。そのなかの1冊、『動的平衡2 生命は自由になれるのか』(木楽舎)に、植物が動物に変わった瞬間の話が出てくる。この場合の〝動物〟というのは、<食べ物を探査し、追い求め、獲得する>(同書)ために自ら行動する生物である。 続きを読む

【コラム】「不適切な画像」はなぜ投稿され続けるのか――バイトの悪ふざけが倒産に追い込む時代の病理

ライター
青山樹人

不法行為と炎上の止まらない連鎖

 アルバイト店員らの〝不適切な画像〟がインターネット上にアップされ、批判や抗議が殺到して閉店や倒産に追い込まれるという事態があとを絶たない。
 いうまでもなく、ここにきてなにも急に若者たちのモラルが低下したという話ではなくて、物理的に今までならその場に居合わせた仲間内での悪ふざけでしかあり得なかった行為が、ツイッターやフェイスブック、LINEといったSNSに載せることで、天下周知の逸脱行為に拡大し、次々と〝炎上〟に至っているわけである。 続きを読む