投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

新型コロナウイルス特集⑥――一律10万円の現金給付へ

ライター
松田 明

「緊急事態宣言」全国へ

 4月16日の夕刻、安倍首相はこれまで7都府県に発令していた「緊急事態宣言」の対象地域を、5月6日まで全国に拡大する旨を発表した。
 現時点で日本における新型コロナウイルスの死亡者数は低く推移してはいるが、まだ感染拡大の初期にあるというのが多くの専門家の認識だ。
 前日の15日、厚生労働省のクラスター対策班からは、かなり衝撃的な数字が発表された。

 新型コロナウイルスの感染防止策を何も行わなかった場合、流行が終わるまでに国内で約85万人が重篤な状態となり、半数の約42万人が死亡するとの推計を、厚生労働省のクラスター対策班が15日、明らかにした。政府は外出自粛要請などの対策を既に取っており、実際にこれだけの死者が出るとは考えにくいが、警鐘を鳴らす狙いがある。(「共同通信」4月15日)

 4月末からの大型連休を前に、「緊急事態宣言」が発令されている地域と発令されていない地域があることは、かえって人々の安易な移動を促し、地方への感染拡大に拍車をかけかねない。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流 第46回 特別編⑤(最終回) 沖縄県空手振興課長インタビュー

ジャーナリスト
柳原滋雄

 沖縄県の空手振興課長が交代した。「異例」となる4年間の任期を終えた山川前課長からバトンを引き継いだ佐和田勇人課長に、これまでの歩みと展望について聞いた。(取材/2020年4月3日) 続きを読む

新型コロナウイルス特集⑤――本領を発揮する公明党

ライター
松田 明

他の政党にはない能力

 公明党が「災害対策」に見せる能力について、地方自治体の首長らからも率直な評価や称賛を受けてきたことを以前に紹介した(前掲記事「『災害対策』に強い公明党――自治体首長らの率直な評価」)
 近年でも2016年に2度の震度7を経験した熊本県の蒲島郁夫知事は、

 熊本地震のときに、もしも自民党の単独政権だったとしたら、私は〝自分のことは自分でやれ〟という新自由主義的な対応に傾く恐れがあったと思っています。公明党は伝統的に福祉や平和、弱者への配慮など、社民主義的な要素を持っておられます。熊本地震で熊本県は、負担の最小化と被災地への最大限の配慮、そして創造的復興という哲学を求めました。それらを政府に認めてもらえたのは、ほかでもなく公明党が政権内にいたからでしょう。(『第三文明』2019年8月号)

と語っている。 続きを読む

新型コロナウイルス特集④――「緊急事態宣言」が発令

ライター
松田 明

史上最大規模の経済対策

 4月7日の夕刻、安倍首相は「緊急事態宣言」を発令した。
 この対象となったのは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県だ。
 3月27日午後の参議院本会議で、2020年度予算が成立。
 ここから補正予算の編成に入ることができ、7日の閣議では総額約108兆円となる史上最大規模の「緊急経済対策」を決定した。
 雇用の維持に向けて、雇用維持を図りながら一時的休業をする企業へ向けた雇用調整助成金の拡充(中小企業で休業手当の5分の4、大企業で3分の2まで助成率をアップ)。
 さらに雇用を続ける企業には、中小企業で休業手当の10分の9、大企業で4分の3まで助成率を引き上げた。
 売り上げが5%以上減少した中小企業やフリーランスを含む個人事業主を対象にした融資の金利を、今後3年間0%台に引き下げ。
 とりわけ厳しい企業には、中小企業で上限1億円まで利子分を国が補填し、実質無利子で借りられるようにする。
 また、売り上げが5%以上減った個人事業主も、3000万円まで無利子で融資を受けられることになった。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流 第45回 特別編④ 剛柔流・宮里栄一の弟子たち

ジャーナリスト
柳原滋雄

宮城長順の後を引き継ぐ

順道館の2代目・宮里善博館長(中央右)と儀間哲さん(中央左)

 剛柔流を開いた宮城長順が1953年10月、65歳で急逝したとき、後を継承したのは34歳年下で警察官の宮里栄一(みやざと・えいいち 1922-99)だった。宮里は若い時分から柔道に打ち込み、空手と二足の草鞋をはいていた。
 宮里は柔道の講道館に倣(なら)い、順道館という当時としては立派な平屋建ての道場(その後鉄筋二階建て)をつくり、後進の育成に励んだ。現在、沖縄剛柔流の顔ともいえる東恩納盛男(ひがおんな・もりお 1938-)もこの道場の出身である。
 宮里は順道館を本部道場とし、1969年、沖縄剛柔流空手道協会の組織をつくって初代会長に就任した。
 宮里が残した功績として特筆されるのは、1981年の国体問題のときに、全空連加盟を推進する立場で中心的に尽力したことだろう。長嶺将真(松林流)、宮平勝哉(小林流)を支えて県空連の創設に邁進。その背景には、沖縄で国体を行うのに、「発祥の地」である沖縄から空手に参加しない選択肢はありえないとの宮里なりの思いがあった。
 柔道を通じて国体をとらえていた点で、空手だけを行っていた空手家とは違う立ち位置にあったと思われる。 続きを読む