投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

危機における政党の真価――シビアな判断下した国民

ライター
松田 明

急落した立憲の支持率

 共同通信社が3月14日~16日に全国電話世論調査を実施した。
 安倍内閣の支持率は49・7%と、2月の調査から8・7ポイント上昇。不支持率は8ポイント減って38・1%となった。
 新型コロナウイルスへの政府の対応については、「評価する」が48・3%。
 小中高等学校への休校要請については、「適切」「どちらかといえば適切」が合わせて71・8%となった。
 一方、時事通信社が3月6日~9日に個別面接方式で実施した調査では、各政党支持率が以下のようになった。カッコ内は前月との比較。

 自民党   24・0%(-0・3)
 立憲民主党  3・5%(-2・1)
 公明党    3・5%(+0・7)
 共産党    1・6%(±0)
 日本維新の会 1・3%(±0)
 れいわ新選組 0・7%(-0・2)
 社民党    0・5%(+0・3)
 国民民主党  0・4%(-0・1)
 N国党    0・1%(-0・1)
 支持なし  62・4%(+1・8)
(「時事通信」世論調査3月13日)

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連載エッセー「本の楽園」 第87回 犬が家族になるとき

作家
村上政彦

 僕は、子どものころから家で犬を飼っていて、結婚して家を出るまで、犬のいなかったことがなかった。ところが上京して妻と暮らすようになったアパートはペットを飼うことができなかったので、長く犬のいない生活を送ることになった。
 犬がそばにいないので、犬の映画を見たり、犬が主人公の本を読んだりするようになった。そのなかで、名作だとおもったのが、『ハラスのいた日々』だ。著者は、ドイツ文学者の中野孝次。翻訳だけでなく、小説、エッセイ、批評の執筆と幅広く活躍した。
 ハラスは、子どものいない中野夫妻の家に来た犬のことだ。「HARAS」(ハラス)――ドイツ人が大型のシェパードにつけることが多い名だという。思いがけず庭付きの家を新築することになり、義妹にお祝いは何がいいか、と訊ねられ、ふと、犬がいい、と応えた。
 やって来たのは、大型のシェパードではなく、柴犬の子どもだった。中野は、散歩の相棒にと軽く考えていたのだが、そのうち「たんなる犬以上の存在」になった。作品は、小説仕立てで、その過程をすぐれた文章で綴っていく。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第86回 生きるための詩

作家
村上政彦

 このところずっと手元に置いて、ちょっとした時間があると読み返している本がある。若松英輔の『詩と出会う 詩と生きる』だ。「NHKカルチャーラジオ文学の世界 詩と出会う 詩と生きる」という番組のテキストとして書き下ろされたものに、「薄い本一冊分ほど加筆」された本である。
 もともとラジオ番組のテキストだったということで、とてもわかりやすい。しかし内容は、深い。詩を学びたい人には、いい仕上がりになっている。
 僕は、若いころ詩を読んでいたし、書いてもいた。いまからおもえば、極めてつたないものだったが、書きたい意欲があふれていて、書かずにはいられなかった。好きな詩人は、中原中也と立原道造で、つまりは、そういう甘い、感傷的な抒情詩を書いていたのだ。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第85回 ポバティー・サファリとは何か?

作家
村上政彦

 この『ポバティー・サファリ』のテーマは、一言でいうなら「貧困(ポバティー)について」だろう。序文を書いているブレディみかこはいう。

「ポバティー・サファリ」とは、サファリで野生動物を見て回るように貧困者を安全な距離からしばらく眺めたあと、やがて窓を閉じてしまうことだ

 著者のダレン・マクガーヴェイは、そんな「サファリ」出身の若者だ。スコットランドの公共住宅――貧困層が暮らす真っ只中で生まれ育った。
 母は、少女のころにレイプされ、そのトラウマが酒とドラッグを求めた。息子が言うことを聞かないと、ナイフを振りかざして殺そうとする。まっとうな子育てができない。ダレンは学校で虐められるが、母親の暴力に比べれば、そんなものはなんでもなかった。 続きを読む

新型コロナウイルスに賢明な対応を――感染研が抗議したデマの出所

ライター
松田 明

ウイルスよりデマが危険

 新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的な感染拡大を見せている。
 WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は3月2日、「未知の領域に突入した」と強い警戒を呼び掛けると同時に、各国政府が正しい措置を取れば封じ込むことができると述べた。

 ゲブレイエスス事務局長は、「ウイルスを押し返すことができる」と強調した一方で、COVID-19そのものよりも感染に対する差別や偏見の方が危険だと指摘した。(「BBC日本語版」3月3日

 WHOが警告するように、なによりも危険なのは「感染症に対する差別や偏見」、つまり誤った情報が拡散されることだ。 続きを読む