薄い本である。内容も分かりやすい文章で書かれているから、30分もあれば読めてしまう。これは著者の意図したところだろう。
『ゆっくり小学校』――副題に、「学びをほどき、編みなおす」とある。表題からすると、教育書かと思うが、生き方の本だ(生き方について説かれているので、広義の教育書とみることもできるかも知れない)。
「ゆっくり小学校」とは、小学生のための学校ではない。「スロー・スモール・スクール」のことをいう。校長は著者の辻信一。実在する学校ではない。この本そのものがゆっくり小学校の「育ってゆく場所」であり、読者は、ただ受動的に著者の考えを受け止めるだけでなく、読みながらゆっくり小学校の理念を練る作業に参加する。 続きを読む
