特集㉟ 人権の闘士たちとの共闘――ネルソン・マンデラと池田会長

ライター
青山樹人

獄中で池田会長を知ったマンデラ

 1960年に創価学会第3代会長に就任した当時から、池田大作SGI会長は「21世紀はアフリカの世紀」と主張してきた。
 しかし、そのアフリカでは長い間、植民地時代の負の遺産としての政治の混迷や紛争が続き、とりわけ南アフリカ共和国では悪名高いアパルトヘイト(人種隔離政策)が継続されていた。
 人種差別撤廃運動のリーダーだったネルソン・マンデラは1962年に逮捕されて以来、獄中闘争を強いられていたのである。世界の心ある人々は「マンデラ釈放」を折あるごとに訴えたが、日本社会ではほとんど黙殺されていた。
 1988年には英国ウェンブリー・スタジアムに世界のそうそうたるミュージシャンが結集してマンデラ釈放を要求するコンサートが開かれた。およそ70カ国で放映され5億人が視聴する史上最大規模の音楽イベントとなったが、日本では放映されていない。
 アパルトヘイト時代の南アで、日本人は有色人種として唯一例外の〝名誉白人〟という待遇を受けていた。当時の日本社会は、マンデラを釈放せよという世界の声にもまったく無関心なまま、この待遇に甘んじていたのである。
 マンデラは獄中で、詩人で作家のオズワルド・M・ムチャーリが雑誌に紹介したSGI会長のエッセイを読んでいた。
 やがて歴史が大きく転換する。奇しくも戸田第2代会長の生誕90周年の日となる1990年2月11日、マンデラは釈放され27年ぶりに自由の身となった。世界中が喝采した。

「あの輝く目。笑顔」

 1990年10月。ANC(アフリカ民族会議)副議長として、マンデラはアパルトヘイト撤廃の協力を要請するため世界各国を回る。その途中で日本にも立ち寄った。
 当時の日本政府は、この「人道の英雄」に国会で援助を請う演説までさせながら、結局は「一民間団体への援助はできない」と支援に応じようとはしなかった。
 この訪日の折、マンデラは過密スケジュールを縫って、池田SGI会長のもとを訪れている。
 会見場所となったのは、信濃町の聖教新聞本社(当時)。SGI会長は青年部の代表ら数百名とともに、マンデラの出身地の言葉の歌で歓迎した。そして、人権の闘士を讃え励まし、創価大学に南アからの留学生を受け入れることや、文化交流、アパルトヘイト撤廃のための展示会を国内で開催することなどを具体的に提案した。
 成田空港から帰路についたマンデラは、見送りに集まったアフリカ各国の大使たちに語った。

今回の訪問での思い出といえば、あの日です。あの輝く目。笑顔。はつらつとした若者たちがいた。立派に育てられていた

 この会見から1年後の1991年11月29日。東京に駐在するアフリカ26カ国の大使が、そろって池田SGI会長のもとを訪れた。在東京アフリカ外交団の総意として、SGI会長に「教育・文化・人道貢献賞」を贈るためであった。アフリカ各国の大使が一堂に会して顕彰を贈るなど、前例のないことだった。
 その前日、日蓮正宗は創価学会に対して「破門通告書」なる文書を送りつけていた。
 時代錯誤の葬式仏教の鉄鎖から解き放たれた同じタイミングで、〝21世紀の大陸〟であるアフリカの外交団の総意により池田会長が顕彰される。創価学会の前途を象徴するかのようなコントラストであった。
 マンデラは、大統領に就任して国賓として訪日した際(1995年)も、迎賓館で池田SGI会長と再会し旧交を温めた。マンデラの後継者として大統領となったタボ・ムベキもまた、何度もSGI会長と語らいを重ねている。
 SGI会長とマンデラの親交は続き、マンデラは逝去の前年(2012年)にも「ANC100周年バッジ」とともにメッセージを会長に届けた。

創価学会インタナショナルの会長として、創価大学の創立者として、貴殿がこれからも日本、そして世界の青年たちの力になり続けてくださるように念願しております。(ネルソン・マンデラ氏のメッセージより)

「ホロコースト展」の開催

 反ユダヤ主義と戦い、ホロコーストの記憶の継承に努める米国のサイモン・ウィーゼンタール・センターも、SGIとの共闘を開始した。
 1993年1月、SGI会長は同センターの招聘でロサンゼルスにある「寛容の博物館」をオープン直前に訪問。
 センター創立者であるマービン・ハイヤー会長と会長との会見から、「勇気の証言――アンネ・フランクとホロコースト展」の日本巡回が決定した。この巡回展は翌94年の東京都庁での開催を皮切りに、2007年までに日本国内73会場を巡回。延べ100万人以上が訪れた。
 一方のサイモン・ウィーゼンタール・センターもまた、ユダヤ社会以外での〝人道の英雄〟を世に知らしめる連続講演会を企画し、名称を「マキグチ記念人権講演会シリーズ」と決定した。第1回講演のスピーカーは池田SGI会長である。
 僧俗の差別を主張し、信徒を蔑視する権威の宗教との戦い。党利党略で信教の自由を抑圧しようとする政治勢力との戦い。ジャーナリズムを装った卑劣なデマ報道との戦い。
 90年代の創価学会は、こうした邪悪な者たちに敢然と立ち向かった。その人権闘争は、SGI会長のリーダーシップによって一気に世界の人権の闘士たちと連携し、人権への意識啓発を社会に大きく広げていったのである。
 なお、アウシュビッツ収容所の解放から70年となる2015年秋には、新たに「勇気の証言――アンネ・フランク&ホロコーストと杉原千畝の選択展」が東京で開催された。
 同展実行委員会が主催、創価大学とサイモン・ウィーゼンタール・センターが共催。オランダ、イスラエル、米国など7カ国の駐日大使館と欧州連合(EU)駐日代表部、国連広報センターなどが後援。
 同展もまた、その後、日本全国を巡回している。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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ライター 著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書店)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書店)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。