OECD」タグアーカイブ

脱・成長戦略の新たなビジョン「緑の福祉国家」を構想する

千葉大学教授
広井良典

環境・福祉・経済が相互に両立する社会へ。

経済成長が問題を解決するという幻想

 安倍政権はアベノミクスによって成長戦略を推し進めていますが、バブル崩壊後、90年代から自民党政権が行ってきた成長戦略はどれも成功していません。はじめは公共事業を中心に成長戦略を行い、小泉政権時代には規制緩和や構造改革を行い、市場に委ねる形で成長を図りました。
 それらがいずれもうまくいかず、今度は安倍政権のもと、金融緩和によって貨幣の量を増やすという、かなり危険な奥の手を使ってまで経済成長を図ろうとしています。しかし、安倍政権になって急に成長戦略がうまくいくとは極めて考えにくいことです。 続きを読む

社会保障改革こそ最大の政治課題

北海道大学公共政策大学院准教授
吉田 徹

2014年、日本の政治が目指すべきもの。

憲法改正より庶民の暮らしを論ずべき

 現在、アベノミクスと呼ばれる経済政策が奏功してか、株価が比較的堅調に推移しています。そのおかげで安倍政権の支持率も堅調に推移してきました。ひとまずは憲法問題などを封印して選挙を乗り切ってきた安倍首相ですが、政権運営に自信を深めたのか、日本版NSC(国家安全保障会議)の創設や特定秘密保護法の制定などに手を出し始めました。次はいよいよ憲法改正や、集団的自衛権といったテーマに取り組むのではないかと予想されます。 続きを読む

【コラム】今こそ国が責任を持ち子どもの貧困対策を!

ライター
佐山 要

 子どもの基本的人権を保障するためにつくられた『子どもの権利条約』には、「締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する」とある。この条約は1989年に国連総会で採択され、その5年後に日本も批准した。
 当時、日本ではバブル経済が崩壊し、長い不況に入りつつあったが、まだ「貧困」という言葉とは無縁だと思われていた。ところが、日本の子どもの貧困率は、1985年の時点で10.9%。実に10人に1人が貧困に陥っていた。以来、子どもの貧困率は上昇を続け、2009年には15.7%となった。 続きを読む