芥川賞を読む 第5回 『自動起床装置』辺見庸

文筆家
水上修一

「眠り」という素材のおもしろさが、読む者を作品世界に引き込む

辺見庸(よう)著/第105回芥川賞受賞作(1991年上半期)

誰も描いたことのないものを描く

 第105回芥川賞を受賞した辺見庸の『自動起床装置』の最大の魅力は、〝眠り〟という素材のおもしろさだろう。誰もが毎日体験し、人生の約三分の一を占める眠りという、あまりにも身近な素材を、レム睡眠とか生体リズムなど医学的な方法ではなく、直観的な洞察によって文学的にアプローチし、徹底して描いていることに驚く。 続きを読む

茂木健一郎の人生問答~大樹のように 「東京五輪の聖火リレーを見て何を考えるか」

脳科学者
茂木健一郎

【質問】東京五輪の聖火リレーを見ていて本当に心が和み、嬉しくなります。沿道で見ている方が「希望がわきます」とおっしゃる理由がよくわかります。もちろん新型コロナ感染を考えると、密をつくるので心配ではありますが、私は続けてもらいたいと思っています。茂木先生はどのように思いますか。(埼玉県・27歳・女性)

感動はリレーされていく

 お書きになっていること、本当にそうだなあ、と思います。
 なかなか先が見えない日常の中で、東京オリンピックが56年ぶりに開かれることの意味を私たちは忘れてしまいがちです。しかし、このような苦しい日常だからこそ、希望のともしびが必要なのではないでしょうか。 続きを読む

特集㉞ 滅亡の現証――弾圧した者たちの末路

ライター
青山樹人

 この記事は『新版 宗教はだれのものか 三代会長が開いた世界宗教への道』(青山樹人著/鳳書院)の発売にともない「非公開」となりました。
 新たに「三代会長が開いた世界宗教への道(全5回)」が「公開」となります。

「三代会長が開いた世界宗教への道」(全5回):
 第1回 日蓮仏法の精神を受け継ぐ(4月26日公開)
 第2回 嵐のなかで世界への対話を開始(5月2日公開)
 第3回 第1次宗門事件の謀略(5月5日公開)
 第4回 法主が主導した第2次宗門事件(5月7日公開)
 第5回 世界宗教へと飛翔する創価学会(5月9日公開)

WEB第三文明の連載が書籍化!
『新版 宗教はだれのものか 三代会長が開いた世界宗教への道』
青山樹人

価格 1,320円/鳳書院/2022年5月2日発売
→Amazon
→セブンnet
第三文明社 公式ページ
 

ワクチン接種の足を引っ張る野党――立憲と共産の迷走

ライター
松田 明

切り札はワクチンしかない

 立憲民主党の枝野幸男代表が、5月26日のラジオ番組で、

菅義偉首相はワクチン頼みだ。ワクチン頼みでない抑え込みにかじを切らないとだめだ(「日本経済新聞電子版」5月26日

などと発言したことに対し、さすがに失望の声と批判が相次いでいる。
 新型コロナウイルスの感染拡大が全米で最も深刻だったニューヨーク市では、これまでに人口の1割以上が感染し、3万人以上が亡くなっている。ピーク時には1日の感染者数が約8000人にのぼった。
 だがワクチン接種の普及によって状況は一転。5月19日からは飲食店の店内での人数制限も原則なくなるなど、日常を取り戻しつつある。
 一方、およそ1年以上にわたって世界でもっとも感染対策に成功してきたとまでいわれてきた台湾は、その安心感もあってワクチン接種率が1%程度にとどまっていた。
 5月に入って域内での感染者数が急増し、6月半ばまで警戒レベル「3」を継続。学校や娯楽施設の閉鎖、人々が集まる人数の制限も続くという。 続きを読む

共産党が進める政権構想――〝革命〟めざす政党の危うさ

ライター
松田 明

排外ナショナリズム煽る共産党

 1952年に破壊活動防止法が制定されて以来、民主党政権時代も含め、日本共産党は常に公安調査庁の〝調査対象団体〟であり続けてきた。
 理由は、戦後の日本共産党が「軍事方針」に基づいて武装闘争の戦術を採用し、各地で殺人事件や騒擾(騒乱)事件などを引き起こしたこと。
 その後も、革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用し、暴力革命の可能性を否定しないまま現在に至っていることにある。
※公安調査庁HP「共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁見解」
 日本共産党を他の政党と同じように考えてはならない。日本を「社会主義・共産主義の社会」へ革命することをめざす特殊な政党なのだ。 続きを読む