特集㊵ 世界宗教への飛翔――創立100周年めざして(シリーズ完)

ライター
青山樹人

 この記事は『新版 宗教はだれのものか 三代会長が開いた世界宗教への道』(青山樹人著/鳳書院)の発売にともない「非公開」となりました。
 新たに「三代会長が開いた世界宗教への道(全5回)」が「公開」となります。

「三代会長が開いた世界宗教への道」(全5回):
 第1回 日蓮仏法の精神を受け継ぐ(4月26日公開)
 第2回 嵐のなかで世界への対話を開始(5月2日公開)
 第3回 第1次宗門事件の謀略(5月5日公開)
 第4回 法主が主導した第2次宗門事件(5月7日公開)
 第5回 世界宗教へと飛翔する創価学会(5月9日公開)

WEB第三文明の連載が書籍化!
『新版 宗教はだれのものか 三代会長が開いた世界宗教への道』
青山樹人

価格 1,320円/鳳書院/2022年5月2日発売
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→セブンnet
第三文明社 公式ページ
 

連載エッセー「本の楽園」 第119回 100年読まれるライターの教科書

作家
村上政彦

 大学のクリエイティブ・ライティングのクラスで教えるようになって6年が過ぎた。そのあいだ、大手出版社の新人賞を受けた学生を2人輩出した。どちらも女子学生で、世の中は女性作家の活躍が話題になっているが、大学も例外ではない。
 僕は、この2人の女子学生に特別なことを教えたわけではない。もともと高い能力を持っていた。だから、少し助言をしただけで、自力で作品を書いて、受賞に結びついた。例年、このような原石は2~3人いる。僕は彼らを見い出し、励まし、作品が完成するのを見守るだけである。
 クリエイティブ・ライティングのクラスで教えるにあたって、いちばん難題だったのは教科書だった。僕は今年で作家デビュー33年になるが、それまで人に小説の書き方を教えた経験がなかった。 続きを読む

コロナ禍で問われる政党の能力――ヒットを打つ公明党

ライター
松田 明

自宅療養者の重症化防ぐ

 6月から上昇の一途だった東京都の新型コロナ陽性者数が、8月下旬に入って減少トレンドに移った。予断は許さないものの、1日100万回ペースのワクチン接種が着実に継続していくなかで、日本のワクチン接種回数は世界的にも上位になっている(「NHK特設サイト「世界のワクチン接種状況」)。
 さらなる感染予防の徹底でなんとか減少傾向を維持したい。
 政府が5月に大規模接種センターを設置したあとも、立憲民主党の枝野代表は「ワクチン頼みではなく検査拡大にかじを切るべき」などと発言していた。
 立憲民主党や、ワクチン確保と接種の予算に反対した日本共産党などが仮に政権をとっていたなかでコロナ禍が起きていたら、大変な惨状になっていただろう。 続きを読む

書評『創価教育と人間主義』——第一線の学識者による力作

ライター
本房 歩

著者と創価教育学の出あい

 著者の渡邊弘氏は教育学、とりわけ日本の教育思想史の研究者。2017年から作新学院大学学長、作新学院大学女子短期大学部学長をつとめ、2020年には学校法人ねむの木学園理事を兼務する教育者でもある。
 創価教育との出あいは、1994年に恩師である村井実・慶應義塾大学名誉教授がおこなった「創価教育学と教育の未来」と題する講演に招かれたことだった。浅草公会堂で開かれたこの講演は、牧口常三郎・創価学会初代会長の生誕123周年記念の行事だった。
 この年から、著者は創価教育の研究をはじめる。 続きを読む

芥川賞を読む 第8回 『運転士』藤原智美

文筆家
水上修一

ひとりの地下鉄運転士の内面を徹底して描き切る

藤原智美著/第107回芥川賞受賞作(1992年上半期)

無機質な運転士の変貌

 第107回芥川賞を受賞したのは、当時36歳の藤原智美の『運転士』だった。『群像』(1992年5月号)に掲載された127枚の作品だ。

 主人公には名前はなく、「運転士」と表記されるだけだ。この無機的な表現方法は、主人公の内面とうまく共鳴し合う。主人公が地下鉄の運転士を仕事に選んだ理由は、時間と方法が確立されていて、いい加減なものが入り込む余地のない明確な仕事だからだ。彼にとって曖昧さは不自由さと同じ意味を持つ。あえて地上の電車ではなく地下鉄を選んだのは、天候によって運航が乱されることも昼夜の光量の差もなく、常に一定の条件で運転できるからだ。 続きを読む