特集㊵ 世界宗教への飛翔――創立100周年めざして(シリーズ完)

ライター
青山樹人

名実ともの世界宗教へ

 2013年11月。戸田第2代会長、池田第3代会長が広宣流布の指揮をとり続けてきた東京・信濃町に「広宣流布大誓堂」が落成した。創価学会常住の「慈折広宣流布大願成就」の御本尊を安置した、師弟不二の道場、広布誓願の本陣である。
 これを機に、大誓堂を中心とした信濃町の諸施設の全体を「総本部」と称することが定められた。
 また世界各国で本格的な広宣流布が進みゆく新時代に合わせ、2014年11月には創価学会会則の教義条項も改正された。
 すなわち第1章第2項の教義条項を、

この会は、日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、根本の法である南無妙法蓮華経を具現された三大秘法を信じ、御本尊に自行化他にわたる題目を唱え、御書根本に、各人が人間革命を成就し、日蓮大聖人の御遺命である世界広宣流布を実現することを大願とする

と改めた。
 かつて学会は、「弘安2年の御本尊」を日蓮大聖人の出世の本懐とし「本門の本尊」とする日蓮正宗の解釈を受容してきた。しかし、この宗門の解釈の根拠となっているのは「聖人御難事」にある「余は二十七年なり」の一節だけなのだ。
 1279年10月に述作された「聖人御難事」は、直前に起きた熱原の法難への対応指示と激励が記された書簡である。釈尊、天台、伝教と同じように、立宗宣言からの日蓮大聖人の歩みが「難」の連続であったことから筆を起こし、終始一貫して「難」について書かれている。
 大聖人との面識のない熱原の農民信徒が、大聖人と同じく身命を賭して難に立ち向かった。この事実をもって、大聖人はご自身の三大秘法の確立、末法万年への民衆仏法の確立を宣言された。
 それから700年。創価学会は三代会長の不惜身命の実践によって、幾百千万の民衆が師と共に三類の強敵を打ち破り、「一閻浮提広宣流布」を現実のものとしたのだ。
「弘安2年の御本尊」に繋がらなければ他の本尊は一切力有を発揮しないなどとする日蓮正宗の独善的な本尊観は、御書のどこにもない。大聖人の仏法に違背するものであることは明白だ。
 すでに日本においても海外においても、宗門や大石寺に接点のない創価学会員が圧倒的な割合を占めている。そして、その間も世界の学会員は自行化他の信仰実践によって功徳を受け、SGI(創価学会インタナショナル)は大きく発展してきた。一方の日蓮正宗は衰退の一途をたどっている。
 特定の場所や本尊を礼拝しなければならないという思想は、全人類の救済という大聖人の精神とは相容れない。名実ともに世界宗教として創価学会がさらに人類を潤していくうえでも、この教義条項の改定はきわめて重要なものだ。

イタリア共和国が協約に調印

 かつて池田SGI会長が「そこに人間がいるから」と非難の嵐のなかで降り立ったロシアの大地にも、今やSGIが誕生している。2014年には、SGI会長のロシア初訪問から40周年を記念して『法華経の智慧』第1巻ロシア語版がモスクワ大学出版会から刊行された。
 この『法華経の智慧』はロシア語のほか、これまで英語、ドイツ語、中国語など13言語(2020年時点)に翻訳され世界各国で出版されている。
 戒厳令が敷かれた真冬の時代を耐え抜いた台湾SGIは、1996年から連続して台湾行政府の「社会優良団体賞」に輝く。台湾の名門・中国文化大学では「池田大作平和思想国際フォーラム」(主催=同大学「池田大作研究センター」)が毎年開催されている。
 2015年6月。フィレンツェにあるイタリア文化会館に同国のマッテオ・レンツィ首相を迎え、フィレンツェ市長ら多数の来賓が見守るなか、イタリア共和国とイタリアSGIがインテーサ(宗教協約)に調印した。
 共和国憲法第8条に基づき、信教の自由の擁護を前提として、イタリア共和国が影響力のある宗教団体との間に、教育・研究機関の設立など諸権利を認める協約である。
 これまで同国内では12の団体しか認められていない。14年間にわたる厳正な審査を経て、イタリアSGIがいよいよその一角に迎えられることとなった。
 今やヨーロッパ最大の仏教宗派となったSGIが、どのように認識されているかを雄弁に物語るものだ。世界広布新時代の躍進を象徴する慶事となった。
 大西洋に浮かぶ島々でも、富士山より高いアンデスの街でも、かつて日本の軍靴が踏みにじったアジアの諸国でも、希望の大陸アフリカの諸国でも、今この瞬間、広宣流布は同時進行で生き生きと進んでいる。

永遠に指揮をとる

 2020年11月18日。創価学会は創立90周年を迎えた。
 続く2021年は、日蓮大聖人の生誕(1222年)800年の佳節。そして学会は、創立100周年までの10年を、〝人類にとって重大な分岐点〟〝地球の平和と繁栄を開く〟10年として出発した。
 それにしても、人類史をふりかえって、これほどの短日月のうちに全人類に影響を及ぼす規模の宗教運動が確立された事例はないだろう。
 創価の三代の指導者、とりわけ池田SGI会長と共に立ち上がった幾百千万の民衆群像は、未来までの物語として刻まれるに違いない。
 歴史家アーノルド・トインビーは1972年の時点で「創価学会は、すでに世界的出来事である」(英語版『人間革命』序文)と評した。
 戦争、貧困、差別、環境破壊といった危機を克服する力を、ほかならぬ人間生命から引き出していく宗教。平和と共生の人類文明を創造していく新たな思潮。それを人類は待望している。
 宗教、思想、文化の差異を超えて、早くも池田会長の思想が世界に共感され共有されつつある姿は、SGIが過去の人類史にはなかったまったく新しい精神運動になることを今や十分に確信させるものだ。
 かつて池田SGI会長は「随筆 新・人間革命」の第1回で、70歳までに「新しき人間主義の哲理を確立」、80歳までに「世界広布の基盤完成」と自身の人生を展望し、「このあとは、妙法に説く不老不死のままに、永遠に広宣流布の指揮をとることを決意する」と綴った。

 わが地涌の使命に目覚めた人生は、いくらでも深くなります。いくらでも強くなる。そして、自在に共感を広げ、永遠の価値を生み出していくことができます。
 大事なことは青年時代に、「広宣流布こそわが人生」との誓いを決定しゆくことです。そして、わが理想を貫き通していくことです。そのなかで、絶対に悔いのない深い生涯を築き上げることができるのです。
 青春時代の誓いが魂の光源となって、一生を照らします。ゆえに、どんなことがあっても、光を失ってはなりません。(『大白蓮華』2015年7月号「世界を照らす太陽の仏法」)

 師が永遠に広宣流布の指揮をとり続けるとは、すなわち師と同じ誓願で広宣流布に立ち上がる弟子が、ときを超えて陸続と涌出し続けることである。それこそが法華経に説かれた「地涌の義」である。
 どこまでも人間のために――。
 師弟一体で開く世界広布新時代の太陽が、今、力強く世界を照らしゆく。
(このシリーズ完)

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやましげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書店)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書店)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。