安倍内閣」タグアーカイブ

憲法96条改正の問題点とは

北海道大学大学院教授
山口二郎

「硬性憲法」としての日本国憲法

 日本国憲法第96条では、憲法改正の要件が定められています。衆参両院で3分の2以上の国会議員が賛成しなければ、憲法改正のために必要な国民投票を発議することはできません。自民党は野党時代の昨年(2012年)4月、憲法改正草案を発表しました。草案によると、衆参両院で過半数の賛成を得られれば国民投票を発議できるとされています。 続きを読む

政党政治の行方と公明党の使命

北海道大学公共政策大学院准教授
吉田 徹

生活に根ざした、地味で当たり前の政治を行える政党はどこか。

日本にはなじまない2大政党制

 1990年代前半の政治改革論議の結果、日本では96年の衆議院選挙で初めて小選挙区比例代表並立制が導入されました。イギリスの2大政党制をモデルとして、自民党も民主党も日本に「政権交代がある民主主義」「競争がある政治」を実現しようとしました。
 ところが2000年代に入ってから今日に至るまで、日本でイギリス型の2大政党制は実現していません。 続きを読む

ポピュリズム政治家と「気分」の政治の危険性

北海道大学大学院法学研究科准教授
中島岳志

日本維新の会などの動きにみる、日本政治の問題点とは何か。

「リスクの個人化」を目指す橋下徹市長

 現在の日本政治の対立軸について①リスクの個人化、②リスクの社会化、③リベラル(自由主義的)な価値観、④パターナル(干渉主義的)な価値観の4象限で考えてみましょう。 続きを読む

穏健な中道主義で 国民のための政治を

政治評論家
森田 実

※この記事は2012年12月に行われた総選挙の前にインタビューしたものです。

偏狭な領土ナショナリズム

 孔子の論語に「遠慮なければ近憂あり」という言葉があります。ここでの「遠慮」とは、遠くのこと、つまり現在より先のことを考えることです。将来のことを考えて現実に臨まなければ必ず悪いことが起きるという意味です。
 これは現在の日本の政治にもあてはまります。2012年9月11日に民主党の野田内閣は、尖閣諸島国有化を閣議で決定しました。 続きを読む

新しい「生きるモデル」の構築を急げ!

北海道大学大学院教授
山口二郎

自民党安倍新政権がスタート。希望ある未来構築のために必要な新政権の課題とは何か。

アベノミクスに、浮かれてはいけない

 今の政権運営を見ていると、前回の安倍政権の失敗からかなり学習して慎重な政権運営をしていることを感じます。つまり、野党時代の主張と政権奪取後の言動にいい意味での開きがある。たとえば、安全保障問題や歴史認識の問題などについては、安倍首相本来の持論からはかなりトーンダウンしているわけで、そこには、近隣諸国や国民に余計な心配をかけまいとする現実的な配慮があります。これは評価に値します。
 ただ、期待感が高まっているアベノミクスについては多少疑問を持っています。 続きを読む