僕は1987年に福武書店(現ベネッセ)主宰・『海燕』新人文学賞をもらって作家デビューした。同時受賞者が吉本ばななだった。その数回あとの受賞者に小川洋子がいた。当時、お世話になっていた編集者の寺田博さんが、ある文壇酒場で、「ダイヴィングプール」という短篇を褒めていた。
僕はそれで小川洋子という作家を知ったのだが、何かのパーティーで遠くから見かけただけで、面識はない。それでも僕が信頼している編集者が褒めていたこともあって、ずっと注目していた。
彼女はやがて芥川賞を受けて、ベストセラーも出し、人気作家となった。最近では国際的な文学賞の候補にも名を連ねている。『海燕』新人賞の同窓としては(彼女はそうおもっていないかもしれないが)、慶祝である。 続きを読む






