2021衆院選直前チェック③――働いた党と、邪魔をした党

ライター
松田 明

稲津(いなつ)久 副大臣の答弁

 10月26日、新型コロナウイルスのワクチン接種を2回終えた人の数が全国民の70・1%を超えた。G7(先進主要7カ国)でも1位のカナダに迫るトップクラス。接種対象年齢を12歳以上に限定しているうえで、この数字だ。

先行した欧米各国では6割前後で伸び悩む「7割の壁」が立ちはだかったが、日本では感染への危機感などから、順調に突破した。(『毎日新聞』10月26日

 緊急事態宣言解除後も感染者数は減少傾向を維持しており、政府が主導した大規模接種などワクチンの効果と、国民一人ひとりの感染対策の徹底が要因だと考えられている。
 日本のワクチン政策の転換点となったのは、昨年7月16日の参議院予算委員会(閉会中審査)だった。
 当時、世界各国は英国や米国の製薬会社が開発するワクチンの争奪戦をくりひろげていた。一方で、厚労省と海外メーカーとの交渉は進んでいなかった。
 公明党のワクチン・治療薬プロジェクトチームは、海外メーカーの日本法人などから聞き取り調査を重ね、その原因を突き止める。ワクチンの契約は数千億円規模であるにもかかわらず、日本は国産化を重視して明確な予算を組めていなかったのだ。
 予算委員会で、医師であり厚労省時代に羽田空港検疫所長を務めた公明党の秋野公造議員が、ワクチン確保の予算について問いただした。
 答弁に立ったのが、厚労省の稲津ひさし副大臣(当時/公明党)だった。稲津氏は、

二次補正で計上した約二千億円の予算を活用するとともに、ワクチン確保や接種のために今後更なる対応が必要となる場合には、この新型コロナウイルス感染症対策予備費、こうしたことも活用することも含めて、必要な対策を果断に進めて、ワクチンの確保に全力で取り組んでまいります。(参議院予算委員会・会議録 令和2年7月16日

と、予備費の活用を明言。この稲津ひさし副大臣の答弁が状況を一変させる。
 7月20日、公明党はあらためて政府に海外メーカーとの交渉と国内製造体制の強化を急ぐよう提言。
 日本政府は7月31日には米国ファイザー社と基本合意。8月7日には英国アストラゼネカ社と基本合意することができた。

訪問医たちにとっての光明

 この7月の参議院予算委員会で、稲津ひさし副大臣は、安心して接種ができるよう、副反応による健康被害が生じた場合の救済制度もしっかり検討すると答弁。
 また、治療薬の研究開発が加速するよう、予備費の活用など必要な研究費を確保し、体制を整えることも明言した。
 9月10日、公明党はワクチン接種費用の全額を国が負担し、すべての国民が無償で接種できるよう政府に提言。
 12月2日には無償の接種、健康被害の救済制度をもりこんだ「改正予防接種法」が成立している。
 本年2月17日からは、各自治体で医療従事者などを優先して日本でのワクチン接種がはじまった。
 加えて5月24日には、政府が東京と大阪に設けた自衛隊による大規模接種センターでの接種がスタート。1日100万回以上の接種を継続してきたことで、ここからわずか5カ月で世界でもトップクラスの接種率に到達した。
 変異株による第5波で感染者が急増した8月には、やはり公明党のプロジェクトチームが妊婦と配偶者への優先接種を政府に要望。
 さらに8月25日の衆議院厚労委員会で、「抗体カクテル療法」を外来患者も受けられることや、治療薬レムデシビルを酸素ステーションで使用できるよう、公明党の高木美智代議員が田村厚労大臣(当時)に要請。
 厚労省は全国に通達を出して、これらの使用範囲を大きく広げた。
 これによって大きく助けられたのが、自宅療養者の対応にあたっていた訪問医たちだった。第5波が激烈だった時期、自宅療養していたのは入院先がなかった人だけではない。親の介護、ひとり親で子育てしている世帯、ペットを飼っている単身者、障害者など、それぞれの事情で自宅療養を選択せざるを得ない人々もいた。
 抗体カクテル療法やレムデシビルが訪問医療でも使用できるようになったことで、多くの人が重症化を免れることができたのだった。
 なお、このレムデシビルも昨年3月9日の時点で、公明党が薬事承認するよう政府に要求。異例のスピードで2カ月後の5月7日に特例承認されたものだ。
 自宅療養やホテル療養で使用されたパルスオキシメーターも、1人の医師の声から昨年4月6日に公明党が政府に要請したものだった。

5カ月前は大規模接種に反対

 今回の衆議院選挙で、立憲民主党や日本共産党は「コロナ失政によって犠牲者が出た」というアジテーションをくり返してきた。
 しかし、立憲民主党にも日本共産党にも、そのような批判をする資格などない。
 まず、海外ワクチン確保のカギとなった2020年度第2次補正予算に、唯一反対したのが日本共産党だった。
 さらに、政府が検討していた海外ワクチンの早期接種に反対したのが立民と共産だ。

立憲と共産党が強く反発。ワクチンではなく、むしろPCR検査体制の拡充をと主張した。立憲や共産党はワクチンの効果には人種差があるという理由で国内での治験にこだわり、欧米各国で行われていたワクチンの緊急使用に猛反対した。(「AERAドットコム」6月17日

さらには立憲と共産党は現実的には実施が難しい「検証的臨床試験」の実施も求めていたという。(同)

 今年に入っても、ワクチン無償接種の経費を含んだ第3次補正予算に「反対」したのが立憲民主党と日本共産党。
 さらに政府が大規模接種センターを開設すると、立憲民主党の枝野代表はこれを批判。

立憲民主党の枝野幸男代表は26日のラジオ日本番組で、政府の新型コロナウイルス対策を批判した。「菅義偉首相はワクチン頼みだ。ワクチン頼みでない抑え込みにかじを切らないとだめだ」と述べた。(『日本経済新聞』5月26日

 政府のワクチン確保と接種の妨害しかせず、わずか5カ月前までワクチンの大規模接種に反対していた政党が、今になって「自公政権は後手後手」「コロナ失政」などと叫んでいる。
 この2年近い歳月、現実にきめ細やかなコロナ対策に奔走して国民の命を守ったのはどの政党か。
 ただただ政権にダメージを与えたいという党利党略だけで、国民の命をもてあそぶような「反対」「妨害」をくり返してきたのはどの政党か。
 賢明な審判を下したい。

2021衆院選直前チェック:
2021衆院選直前チェック①――政権をどこに託すのか
2021衆院選直前チェック②――「一強」の弊害をなくすには
2021衆院選直前チェック③――働いた党と、邪魔をした党

公明党衆院選重点政策(全4回):
「公明党衆院選重点政策」第1弾――子育て・教育を国家戦略に
「公明党衆院選重点政策」第2弾――日本経済の再生
「公明党衆院選重点政策」第3弾――感染症に強い日本へ
「公明党衆院選重点政策」第4弾――共生社会をめざして

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