「公明党衆院選重点政策」第4弾――共生社会をめざして

ライター
松田 明

孤立を防ぎ困窮者を支える

 NHKディレクターなどを歴任し、2004年からNPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表を務める清水康之氏。日本の「自殺対策」の最前線に立ち続ける清水氏は、『第三文明』本年2月号でこう述べている。

 今の日本社会では「自分の命は自分で守らなければならない」という新自由主義的な考え方が強くなっている気がします。そのすべてを否定するつもりはありませんが、「皆の命は皆で守るもの」という考え方が不可欠です。両軸の間のどこに軸足を置くのかが大切です。その点については、公明党が重要な役割を担っていると思います。
 公明党の皆さんは、自殺対策にも非常に熱心です。(『第三文明』2月号

 公明党が結党された1964年当時、政治は福祉にまったく冷淡だった。公明党が「福祉」の旗を掲げると、右側の政党からは〝政治は慈善事業ではない〟と嘲笑され、左側の政党からは〝福祉は資本主義体制の延命を図るもの〟と非難された。
 それから半世紀以上。公明党は一貫して、弱者の側に立ち、現実の政治に数々の施策を結実させてきた。とくに、連立政権の一員になったことで、日本の政治は変わりはじめた。
 日本社会事業大学学長(当時)の神野直彦氏は、こう語っている。

 公明党が自民党と連立政権を組んで以来、生活者に光を当てた政治が前進している。政権の内部から、格差社会や貧困を防ぐ手立てが講じられ、教育や福祉も拡充された。高齢者や障がい者など弱い立場の人たちに対するきめ細かな施策も充実し、国民の思いが届く政治が実現している。(「公明ニュース」2019年6月3日

 公明党は今回の衆議院選挙の重点政策のなかに「社会的孤立防止」を掲げた。
 まず、社会的孤立を個人の問題ではなく社会の問題として国を挙げて取り組むとし、「孤独・孤立対策の国家戦略の策定」で、官民一体の息の長い支援をする。
 コロナ禍で孤立・困窮する人が増えているなか、公明党は本年3月から4月にかけて、関係するNPOや個人などへ計1039件のヒアリング調査を実施。この調査を踏まえて、属性や世代を問わず、包括的に支援をおこなう「重層的支援体制整備事業」を全自治体で実施するとした。
 女性や若者、子どもにも自殺者が増えていることから、SNSを活用した24時間相談体制の充実も図る。
 これらの活動に従事しているNPOなど民間団体に、新たな助成金を創設。住まいの困窮者のための住宅手当の創設。非正規雇用労働者が月額10万円の生活費を受給しながら職業訓練を受けられる求職者支援制度の拡充も図る。

「若者」の声を反映させる

 公明党青年委員会は昨年8月、若い世代のための重点政策をまとめた「青年政策2020」を当時の安倍晋三首相に提出している。
 超党派の団体である日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は、

 表面的に若い世代の意見を聞くフリをする団体はいくらでもあるのですが、その真意をつかみ、これほどまで政策に反映しているのは公明党以外に考えられません。(『第三文明』1月号

と高く評価している。
 公明党には専門性をもった若手の優秀な議員も多い。3000人の議員と連携する青年党員も全国各地にくまなくいる。
 室橋氏が言うように、若い世代の声をもっとも政治に届け、反映させているのが公明党だ。
 今回の衆院選重点政策では、若い世代の所得向上のための最低賃金の引き上げ、高等教育無償化の対象拡充、奨学金返還支援の促進などが含まれる。
 また、ネット上の誹謗中の根絶に向け、プラットフォーム事業者の対応の実効性を高めるとともに、侮辱罪の厳罰化を推進する。
 若者政策全般を担う「若者担当大臣」の設置もめざす。

誰ひとり取り残さない社会へ

 コロナ禍で顕在化していた〝生理の貧困〟問題を最初に国会で取り上げ、3週間足らずで各省の具体策を実現させたのが公明党だった。
 女性専用車両、女性専門外来、改正ストーカー規制法、改正DV防止法、出産前後の保険料免除、育児・介護休業法の改正など、これまで公明党の主導で実現してきた女性関連政策はじつに多い。
 今回の重点政策でも、月経周期予測や不妊対策など女性の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテックの推進、生理休暇制度の取得促進、生理用品の無償提供などが挙げられている。
 また、女性がさまざまな不利益や負担を被ってきた結婚後の姓でも、希望する夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓」制度の導入をめざす。すでに国際結婚をしている夫婦では同姓か別姓かを選択できており、別姓を選択することが家族の絆を弱めるという反対派の主張は実態と乖離している。
 同じく重要政策では、性的指向と性自認に対する偏見に基づく差別、偏見、不適切な取り扱いの解消にも取り組むとしている。
 多様性を尊重する「誰ひとり取り残さない社会」実現のため、自治体パートナーシップ認定制度を促進。性的指向と性自認に関する理解増進法等の法整備に取り組む。
 LGBT理解増進法は、超党派の議連で本年5月に与野党で合意をみていた。ところが、自民党内の保守派の抵抗で国会提出が見送られてしまった。
 すでにアジアでは台湾で同性婚が合法化されている。先進主要7カ国のなかで差別禁止の法律をもたず、同性婚やそれに準ずるパートナーシップ制度を認めていないのは日本だけだ。現状では人権面はもちろん、国際ビジネスの世界でも日本は著しく取り残されてしまう。
 一方で、こうした人権の根幹にかかわる法制度は、政権交代のたびに変更されてしまうような危ういものであってはならない。法制度の実現をめざしてきたLGBT法連合会が、あくまでも〝超党派による実現〟を重視してきたのもそのためだ。
 自民党のなかでも数年前に比べれば意識の変化がみられる。その意味でも、法制度の実現を重点政策に掲げた公明党が有権者の強い支持を受けることが、政権の方向性にかかわってくる。
「誰ひとり取り残さない社会」の実現のために、公明党の躍進がカギとなるのだ。

衆院選 重点政策「日本再生へ 新たな挑戦。」マニフェスト2021(PDFファイル 11.5MB)

公明党衆院選重点政策:
「公明党衆院選重点政策」第1弾――子育て・教育を国家戦略に
「公明党衆院選重点政策」第2弾――日本経済の再生
「公明党衆院選重点政策」第3弾――感染症に強い日本へ
「公明党衆院選重点政策」第4弾――共生社会をめざして

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