《先行配信》新党「中道改革連合」誕生をどう見るか

作家
佐藤優

 高市首相は1月23日、衆議院の解散を決定し、1月27日公示、2月8日投開票となる総選挙がいよいよ始まります。
 2月1日発売『第三文明』3月号から連載開始となる佐藤優氏の「人類の羅針盤~池田思想に迫る」連載「第1回」の冒頭部分、新党「中道改革連合」に関する発言部分を先行配信します。

編集部 新連載開始早々ですが、本題に入る前に、突然の解散総選挙と、それに呼応した、公明党と立憲民主党による新党結成という衝撃の展開がありましたので、佐藤さんのお考えを伺いたいと思います。

佐藤優 そうですね。その新党自体が池田先生の思想とも密接に関わっていますので、触れないわけにはいきません。

 私がここで指摘したいのは、新党誕生の背景にある、公明党側の深い決意についてです。マスメディアや評論家の多くは、新党を「選挙対策」と捉えています。私は、そうした見方は事柄の本質がわかっていないと思います。これは目先の選挙対策などという次元の話ではありません。公明党の狙いは、立憲民主党に限らない中道勢力を結集して、将来的に政権を獲得していくことにあると、私は見ています。恐らく公明党は、自公連立解消直後から練っていた構想を、高市早苗首相による突然の解散という暴挙によって、前倒ししたのでしょう。

 「中道改革連合」という党名に託された「中道主義」とは、公明党創立者・池田先生の政治理念を象徴する言葉です。それは、池田思想の最重要キーワードの1つ「人間主義」とほぼ同義であり、公明党が一貫して重視してきた価値観なのです。その価値観が日本の政界で維持され、発展するために、公明党は衆議院では党名を消してまでも、また小選挙区から撤退してまでも、今回の決断をしました。それは、組織存亡を懸けた命がけの決断であったはずです。

 「2年間、連立政権で協力関係にあったのだから、連立解消後もうちの選挙区には票を回してくれるだろう」――そう甘く考えていた自民党代議士もいるでしょうが、少なくとも衆議院では、新党結成によって公明党は完全に自民党と袂を分かちました。

 本稿が読者の目に触れるころには、総選挙が山場を迎えているでしょう。それがどんな結果になるにしても、マスコミも世間一般の人々も、そして何より自民党議員も、公明党と創価学会の底力に気づかされることになるのではないでしょうか。
(以後、連載内容に続く)

月刊誌『第三文明』2026年3月号《人類の羅針盤~池田思想に迫る 第1回 『新・人間革命』が「創価学会の『精神の正史』」と呼ばれる理由》から転載


さとう・まさる◯1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、専門職員として外務省に入省。在ロシア日本国大使館に勤務し、主任分析官として活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され、09年6月執行猶予付有罪確定。13年6月執行猶予を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。著書に、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『自壊する帝国』、毎日出版文化賞特別賞を受賞した『国家の罠』、『創価学会と平和主義』(朝日新書)、『創価学会を語る』(松岡幹夫との共著/第三文明社)、『佐藤優の「公明党」論』(第三文明社)、『世界宗教の条件とは何か』(潮出版社)など多数。近著に、『池田大作研究――世界宗教への道を追う』(朝日文庫)、『この社会の歪みと希望』(雨宮処凛との共著/第三文明社)、『池田思想の源流「若き日の読書」を読む』(潮出版社)、『公明党の決断――連立離脱と新たな挑戦』(斉藤鉄夫との共著/第三文明社)、『定年後の日本人は世界一の楽園を生きる』(飛鳥新社)、『残された時間の使い方』(クロスメディア・パブリッシング)など。『十五の夏』で第8回梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞。第10回安吾賞、第68回菊池寛賞受賞。