本の「余白」のことを英語で「マージン」という。「マルジナリア」はそこから派生した言葉で、本の余白に書き込まれたもののことだ。先日、作家の先輩の誕生会をZOOMでやった。
参加したのは、小説家、文学研究者、エッセイスト、翻訳者たちで、本をきれいに読むか、汚して読むかが話題になった。汚して読むというのは、書き込みをしたり、傍線を引いたり、目印にページの端を折ってdog ear(ドッグ・イアー=ページ上部につける折り目)をつくったりすることだ。全員が汚して読む派だった。
読書は作者との対話だ。マルジナリアは、作者の文章、そこに込められた思考などによって、読み手の心に浮かんだ思い=応答だ。書き込みをしない読み手は、応答はあっても、それを記録に留めない。それはもったいないと思う。 続きを読む
