第104回 正修止観章 64
[3]「2. 広く解す」 62
(9)十乗観法を明かす 51
⑬大車の譬え
この段の冒頭に、
是の十種の法を、大乗の観と名づく。是の乗を学ぶ者を、摩訶衍と名づく。云何んが大乗なる。『法華』に云うが如し、「各おの諸子に等一の大車を賜う。其の車は高広にして、衆宝もて荘校す。周匝(しゅうそう)して欄楯あり、四面に鈴を懸く。又た其の上に於いて幰蓋(けんがい)を張り設け、亦た珍奇の雑宝を以て之れを厳飾し、宝縄交絡して、諸の華瓔(けよう)を垂れ、重ねて綩莚(おんえん)を敷き、丹枕(たんしん)を安置せり。駕するに白牛を以てし、肥荘にして力多く、膚色(ふしき)は充潔に、形体(ぎょうたい)は姝好(しゅこう)にして、大筋力(だいこんりき)有り。行歩(ぎょうぶ)は平正(びょうしょう)にして、其の疾(はや)きこと風の如し。又た、僕従(ぼくじゅう)多くして、之れを侍衛(じえ)せり」と。(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅲ)、近刊、頁未定。大正46、100上4~10)
とある。 続きを読む





