「人新生」(じんしんせい)とは、地質学的な時代の区分のひとつだが、まだ学問的には正式に認められていないようだ。しかし、このところよく見聞きする言葉だとおもう。ざっくりいうと、人類が地球の環境に影響を与えるようになった時期、ということになるのだろうか。
僕はこの言葉に、何だか人間の驕りを感じて、あまり好きではなかった。まあ、提唱した人々の意図としては、人間の横暴なふるまいへの警告もあったのだろう。いや、そちらのほうに比重があったのだとおもう。しかし、それにしても――。
かつて、人間は自然を畏れた。そこには自分たちを生かしてくれる自然への、敬いがあった。ところが、いつからか自然を征服すべき対象と見るようになって、敬いどころか、どれだけ搾り取れるかの算段しかなくなった。 続きを読む






