特集⑱ 第1回SGI総会を開催――世界一周の平和旅

ライター
青山樹人

第5次訪中に出発

 1980年の元旦。
 池田大作SGI会長は『聖教新聞』に和歌を寄せた。

幾山河 ふたたび越えなむ ともどもに 広宣の旗 厳といだきて

 弟子たちも、行動を起こした。「先生が動けないのなら、自分たちから先生にお会いしに行こう」と、四国の同志は船をチャーターした。当時はまだ本四架橋が全面開通していなかった時代である。
 1月の寒風をつき、代表約1000名がサンフラワー号に乗って、横浜港大桟橋に到着した。SGI会長は真冬の大桟橋で、遠来の弟子たちを出迎えた。
 ただちに神奈川文化会館で「四国神奈川交流幹部会」が開催された。
 師と共に勤行をし、数時間後には再び船上の人となった四国の友は、大桟橋を離れゆく船から目の前の神奈川文化会館を見て驚いた。
 夕闇のなか、SGI会長は全館の照明を落とさせ、夫妻で上層階から懐中電灯を振って船上の同志たちを見送り続けていたのである。この年、四国の同志は3度、船で神奈川を訪問している。
 4月21日。SGI会長は第5次訪中に出発した。
 会長辞任の直前、迎賓館で周恩来夫人の鄧穎超と会見していたSGI会長。辞任後、真っ先に日本を訪れ、SGI会長と会見して訪中を要請したのは周恩来夫妻の盟友でもあった廖承志・中日友好協会会長だった。
 あれから1年。訪中したSGI会長は、周総理夫人である鄧穎超の招きを受けて自宅を訪問し、亡き総理を偲んだ。
 北京大学で創価大学との学術交流議定書に調印し、「新たな民衆像を求めて」と題して講演。この折、北京大学からは日本人初となる名誉教授称号授与の意向が伝えられた。
 人民大会堂で華国鋒主席と会見。さらに作家の巴金、謝冰心らと再会した。

報道されない激励行

 桂林、上海を経由したSGI会長は、4月29日に長崎空港に帰国すると、メディアの記者会見に臨んで訪中の成果を報告した。
 東京ではなく九州の西端・長崎にあえて降り立ったSGI会長は、ここから2週間以上かけて、列島を横断するのである。
 翌30日、特急列車で長崎から福岡に移動。師の姿を求めて途中の駅々に駆けつけた会員たちに、会長は手を振り、こまやかな激励の指示を送った。
 5月1日、九州平和会館で集まった会員たちと何度も記念撮影。2日に大阪に移動し、「創価学会の日」である3日、関西文化会館で「記念勤行会」に集った同志を激励した。
 この日、SGI会長は関西牧口記念館で「五月三日」と揮毫をしたためた。脇書きには「昭和五十五年五月三日記す 心爽やかなり 合掌」と記した。
 しかも、さらなる脇書きとして「昭和二十六年五月三日」「昭和二十七年五月三日」「昭和三十五年五月三日」「昭和五十四年五月三日」と記し、未来の日付である「昭和五十八年五月三日」「西暦二〇〇一年五月三日」と綴る。そして「此の日は わが学会乃原点也」と筆を走らせた。
 創価学会重宝として秘蔵されていたこの書は、30年後の2010年4月の本部幹部会で初めて披露された。
 5月8日までの関西指導では、20を超える行事に出席し、120回近い記念撮影をした。もちろん、これらは聖教紙上にはほとんど報道されていない。
 8日から14日まで、岐阜、愛知、静岡の同志を激励。15日には創価大学で訪中報告会を開いた。
 会長辞任から1年。SGI会長は再びの平和旅と会員への〝報道されない〟激励行に走った。同時期、山崎正友は45億円の負債を抱えて事業が倒産。闇社会の債権者からも追われ、ついに恐喝事件を起こすのである。

世界を回り青年を育てる

 1980年8月、SGI会長は休載していた『人間革命』第11巻の連載を開始する。
 まだ週刊誌上では、逮捕前の山崎がデマ記事を書き連ねていた。宗内では反学会派僧侶が「正信会」を結成。脱会者を集めた檀徒会総会を開くなど、ますます学会攻撃を先鋭化させていた時期である。
 それでも攻撃を一身に受ける覚悟で、会長は待ちわびる会員のためにペンの闘争を開始した。この年は創作童話『雪国の王子さま』『お月さまと王女』も出版している。
 そして9月30日。まさに〝SGI会長〟として、ハワイを第一歩に米国指導を開始した。
 サンフランシスコ、ワシントンを回り会員を激励。シカゴでは文化祭に出席した。さらにロサンゼルスに移って諸行事に出席。
 10月17日、シュライン公会堂で歴史的な「第1回SGI総会」が開催された。
 会長は恩師・戸田会長から自身が贈られた和歌

大鵬の 空をぞ翔ける 姿して 千代の命を くらしてぞあれ

を紹介し、全世界を飛んで妙法広布に尽くす決意を述べた。
 1981年が明けると、SGI会長の戦いはさらに加速した。
 1月13日からハワイを経てロサンゼルスへ。その間の1月24日に山崎正友が逮捕されたことで、東京地検の捜査に協力するため28日に一時帰国。
 2月15日から再びロサンゼルス指導を開始し、パナマでロヨ大統領と、メキシコでロペス大統領と会見した。
 ロサンゼルス、ホノルルで諸行事に出席し、3月12日に大阪空港着。そのまま19日まで関西にとどまって、関西創価学園との協議や同志の激励を続けた。
 5月9日には第3次訪ソに出発。チーホノフ首相と会見し、スイスなどよき地を選んで米ソ首脳会談を開催することを提案した。
 1週間のモスクワ滞在を終えヨーロッパへ。各国会員を激励しながら、ローマクラブのペッチェイ会長やフランスのポエール上院議長、美術史家のルネ・ユイグらと会見した。
 さらにウイーン国立歌劇場やミラノ・スカラ座も訪問し、新たな文化交流への道を開いた。
 フランスでは寸暇を惜しんで地下鉄の車内で長編詩を詠んだ。超音速旅客機コンコルドで大西洋を渡り、米国、カナダの同志を激励。ニューヨークでも青年への長編詩を詠んだ。
 シカゴでは第1回世界平和文化祭も開催された。日本に帰国したのは離日からじつに61日後の7月8日のことである。SGI会長の生涯でももっとも長期間に及ぶ海外渡航。青年を育てるために命を削るような世界一周の平和旅であった。
 この平和旅でSGI会長との原点を刻んだ青年たちは、その後、各国のリーダーへと成長し、21世紀の創価学会インタナショナルを牽引していくことになる。
 同年9月、オペラの至宝ミラノ・スカラ座は、民音の招きに応じて総勢450名で来日した。誰もが実現など不可能と思っていた、日本音楽史上に燦然と輝く〝引っ越し公演〟をおこなったのである。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。