社会」カテゴリーアーカイブ

「助けて」の心が生み出す新たな社会

NPO法人 北九州ホームレス支援機構理事長
奥田知志

 25年に及ぶホームレス支援の活動から見えた本当の絆の在り方とは何か。「助けて」と言える社会を見据え、その基盤となる思想を語る。

「絆は傷を含む」という覚悟に立つ

 ホームレス支援や困窮者支援の活動を通じて感じることは、「努力が足りない」「怠けている」といった「助けられる側」への自己責任論とともに、「助ける側」に向けても「助けるなら最後まで自分ひとりの責任でやりなさい」という自己責任論があることです。このような自己責任論がある中では、助けることのハードルが上がり、おいそれと人助けなんてできなくなってしまいます。 続きを読む

若者が未来に希望を持てる社会をつくる

NPO法人D×P(ディーピー)共同代表
今井紀明

 若者支援を通して見えてくる「未来志向」のあり方。

通信制高校の実情

 私は今、主に通信制高校に通う生徒をサポートしています。そのきっかけとしていちばん大きなものは、「イラク人質事件」後に経験したバッシングです。 続きを読む

「若者に冷たい社会」を乗り越える

中央大学文学部教授
山田昌弘

 若者が生きづらい現代。「パラサイト・シングル」「婚活」「格差社会」など数々の概念を生み出してきた山田昌弘氏に若者の今を聞いた。

なぜ社会は若者に冷たくなったのか

 戦後、高度成長期から1990年代まで、若者は強者であったと思います。
 親世代の多くが零細な農家や自営業を営む一方、若者世代は経済成長によって大都市の工業やサービス産業などに従事し、安定した正規雇用(正社員)のもと、年功序列による終身雇用が保障されていました。 続きを読む

本当の復興を目指して――内部被曝問題の次なる課題

医師
坪倉正治

 東日本大震災発生から3年。放射線問題に揺れた被災地は、別の問題に直面している。解決への決め手がないなか、それでも目の前の出来事と格闘し続ける人々がいる。震災直後から福島県南相馬市に入り、医師として支援を続ける坪倉正治氏に話を聞いた。

一医療者として福島に入る

 震災の当日は、東京で診療をしていました。ただごとではない大きな揺れに、関西出身の私は、中学生のころに経験した阪神・淡路大震災を思い出しました。 続きを読む

差別や差異を一緒に乗り越えたい

人材育成コンサルタント
辛淑玉

 人種差別的なヘイトスピーチが日本国内で広がる中、こうした差別の暴力に対し、対立ではなく〝乗り越える〟視点で活動を続ける辛淑玉氏に話を聞いた。

置き去りにされた人と一緒に生きる

 今回(2014年1月)受賞した「エイボン女性年度賞(※注)はこれまでの活動を評価していただいての受賞となりましたが、特にヘイトスピーチに関する取り組みが評価されたことはとても嬉しく思いますし、大きな意味を持つことだと思っています。
 私が育ってきた環境には、常にリアルな差別が目の前にありました。親を見ているとそこには民族差別があり、母親と父親の関係では女性差別があり、周囲にはシングルマザーの問題も数多くありました。 続きを読む