コラム」カテゴリーアーカイブ

書評『GRIT やり抜く力』――話題のベストセラーを読む

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

大事なことは「才能」ではなく「GRIT」

 「GRIT(グリット)」という言葉は、「レジリエンス(折れない心、復元力)」などとともに、近年の米国教育界、さらにビジネスやスポーツ界で重要視されてきた。GRITは歯をギリギリと噛みしめる音の擬音語で、まさに「やり抜く力」を意味している。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第20回 放哉のミニマルライフ

作家
村上政彦

 ミニマリズムという言葉がある。もとは芸術の分野で使われていたが、最近は簡素で質朴な生活の試みを指すこともあるようだ。衣食住にわたって、不要なものを削ぎ落とし、極めてシンプルな暮らしを送る人々をミニマリストというらしい。 続きを読む

「野党共闘」という矛盾――理念なき数合わせに高まる批判

ライター
松田 明

露呈した「共闘」の限界

 民主党政権が崩壊し、自民党・公明党の連立による第2次安倍内閣が発足してから、この2016年10月26日で1400日、ちょうど200週間を経た。民主党政権が3人の首相を足して171週間だったから、これをすでに大きく上回っている。 続きを読む

野党の惨敗で終わった衆院補選――「野党統一候補」が拒否された2つの理由

ライター
松田 明

大差で勝った与党候補たち

 10月23日、注目されていた衆議院補欠選挙が終わった。
 小池百合子東京都知事の議員失職に伴う東京10区と、鳩山邦夫・元総務相の死去による福岡6区。7月の参議院選挙後初めて、また民進党の蓮舫・新代表になって初めての国政選挙である。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第19回 生きるための「ファッション」

作家
村上政彦

太宰治に『おしゃれ童子』という短篇小説がある。ファッションへの強い執着を持った少年が主人公で、太宰の作品らしい甘い自己愛が描かれている。まだ小学生の主人公が、上着の袖から覗く白いフランネルのシャツが、眩しいくらいに真っ白でなくてはならない、とこだわるところを憶えているのは、実は、僕自身がそういう子供だったからだ。 続きを読む