日本と中国、どちらの影響を強く受けたか
沖縄に伝わる伝統芸能の一つ、組踊(くみおどり)は、独特の抑揚で語るセリフと琉球舞踊、音楽の3つを組み合わせた沖縄版ミュージカルともいわれる。昨年は組踊の初演(1719年)から300年の佳節となり、さまざまな行事が開催された。
組踊を創案したのは玉城朝薫(たまぐすく・ちょうくん 1684-1734)で、琉球王国の官僚であり、劇作家でもあった人物。若いころから薩摩藩に渡り、江戸滞在経験を持つなど日本文化への造詣が深かった。踊り奉行に任命された玉城は、江戸で見た浄瑠璃などを参考に組踊を創案。代表作の一つ「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」では後半、ある寺が舞台となる。沖縄の真言宗の寺とされる。
重要なことは、沖縄と日本文化の関係は、一般に思われているよりも相当に古くから交流があったという事実だ。組踊が日本文化を参考にした面はともかく、仏教は日本本土経由ですでに13世紀には沖縄に入り、古神道も早くから入った。仏教では禅宗と真言宗が主流となり、神社も多くつくられた。
食文化をみても、その交流の歴史は明らかだ。沖縄では昆布が取れなかったが、北海道の昆布が「北前船」を通じて沖縄に運ばれてきた歴史がある。 続きを読む