若いころジーンズを加工したことがある。履いたまま風呂に入って、そのまま乾かすと、体にフィットする。それを漂白剤でブリーチしたり、軽石で擦ったりして、わざとダメージを与えるのだ。当時は、それがスタイリッシュだった。いまでは店頭でダメージを施したジーンズが売られている。
こういう衣服の着方は、〝着崩す〟という。ブコウスキーの人生を見ていると、この“着崩す”という言葉がぴったりの気がする。 続きを読む
若いころジーンズを加工したことがある。履いたまま風呂に入って、そのまま乾かすと、体にフィットする。それを漂白剤でブリーチしたり、軽石で擦ったりして、わざとダメージを与えるのだ。当時は、それがスタイリッシュだった。いまでは店頭でダメージを施したジーンズが売られている。
こういう衣服の着方は、〝着崩す〟という。ブコウスキーの人生を見ていると、この“着崩す”という言葉がぴったりの気がする。 続きを読む
トルーマン・カポーティという作家には、いくつかの貌がある。たとえば、映画の『ティファニーで朝食を』の原作者としての貌。また、ノンフィクション・ノベル『冷血』
の作者としての貌。そして、短篇作家としての貌がある。 続きを読む
出版不況といわれながら、いまも編集者は人気の職業のようだ。このあいだ聞いた話だが、僕も著作を出した大手の出版社では、採用の枠が6人のところ、2万に及ぶ応募者がいたという。
僕は知り合いの編集者の顔を思い出しながら、彼もそんな競争をくぐり抜けてきたのだな、と感慨深かった。しかし、編集者という仕事の何がそれほど人を惹きつけるのだろうか。 続きを読む
あなたの前にいるのはご主人でも愛する人でもありません。高濃度に汚染された放射性物体なんですよ。
と、原発事故の現場へ急行した消防士の妻は忠告を受けた。夫は14日後に死亡し、2ヵ月後に出産した赤ん坊も被曝していて、4時間で息を引き取った。彼女は、こうした話ができるようになるまで10年間かかったという。 続きを読む
大人になりたくなかった。二十歳になるのが憂鬱だった。若いというのは、せつないことでもあるのだ。そういうとき、こんな大人にならなってもいいかな、とおもう人がいた。そのうちの1人が、J・J――植草甚一だった。 続きを読む