沖縄の生命力あふれる傑作
又吉栄喜(またよし・えいき)著/第114回芥川賞受賞作(1995年下半期)
ほとんどの選考委員が絶賛
第114回から新しい選考委員3名が加わった。池澤夏樹と石原慎太郎と宮本輝だ。それぞれ独自の文学観をもつ3名の選考委員が、どのような作品をどのように評価し、また評価しないのか、選評を読むのが楽しみだ。
その第114回の芥川賞を受賞したのは、当時48歳だった又吉栄喜の「豚の報い」。『文学界』(1995年11月号)に掲載された約162枚の作品である。又吉は沖縄県生まれ。浦添市役所に勤務しながら創作を続け、1976年に「第4回琉球新報短編小説賞」を受賞。1980年に「第4回すばる文学賞」を受賞し、それから15年後に芥川賞を受賞。コツコツと書き続けた結果としての栄冠だった。 続きを読む