差別や差異を一緒に乗り越えたい

人材育成コンサルタント
辛淑玉

 人種差別的なヘイトスピーチが日本国内で広がる中、こうした差別の暴力に対し、対立ではなく〝乗り越える〟視点で活動を続ける辛淑玉氏に話を聞いた。

置き去りにされた人と一緒に生きる

 今回(2014年1月)受賞した「エイボン女性年度賞(※注)はこれまでの活動を評価していただいての受賞となりましたが、特にヘイトスピーチに関する取り組みが評価されたことはとても嬉しく思いますし、大きな意味を持つことだと思っています。
 私が育ってきた環境には、常にリアルな差別が目の前にありました。親を見ているとそこには民族差別があり、母親と父親の関係では女性差別があり、周囲にはシングルマザーの問題も数多くありました。 続きを読む

多様性ある市民社会づくりに取り組む「きょうとNPOセンター」

きょうとNPOセンター 常務理事・事務局長
野池雅人

 現在、NPO法人の数は全国で4万8000(平成26年1月1日現在、内閣府ホームページ)を超える。社会的な認知度が高まる一方、被災地支援NPOによる復興資金の着服など、その不透明さを問う声も少なくない。今後NPOはどう変わるべきなのだろうか。

「NPO」を支えるNPO

 私たち「きょうとNPOセンター」は、まちづくり活動を行う団体(以下、NPO)の支援を通じて多様性ある市民社会づくりを目指す組織です。
 設立のきっかけは1995年に起こった阪神・淡路大震災でした。まだNPOという言葉が生まれていない時代でしたが、全国からボランティアが被災地に集まり、何とか皆の力で町を立て直そうとしていたのです。 続きを読む

子育てを頼り合える社会にするために

株式会社AsMama 代表取締役CEO
甲田恵子

「頼り合える子育て」の環境づくりをすすめる「AsMama(アズママ)」。顔見知り同士が安心して気兼ねなく子育てをシェアできる仕組みとその可能性とは。

ワンコインからの「子育てシェア」

 私たちAsMamaがすすめる「子育てシェア」とは、かつては当たり前だった近所付き合いを、今の時代に合わせてチューニングしたものです。簡単にいえば、「子育ては頼り合うほうがいい」ということを知っていただき、参加してもらう活動を行っています。 続きを読む

【コラム】認知症を社会で支える体制を――65歳以上の高齢者4人に1人が認知症になる時代

ジャーナリスト
柳原滋雄

高齢者の4人に1人が認知症の時代

 高齢化社会の進展で、自分の身の回りに認知症の高齢者がいるのが当たり前の時代に入った。厚生労働省の調査(2012年)によると、全国の65歳以上の高齢者の15%にあたる約462万人が認知症と推計され、さらに認知症の前段階とされるMCI(軽度認知障害)の高齢者も約400万人いて、65歳以上の4人に1人が認知症あるいはその予備軍と見られている。問題は、今後こうした人々が社会的に急増すると予想されることだ。 続きを読む

著者インタビュー『日本人はなぜ存在するか』

愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授
與那覇 潤

 著書『日本人はなぜ存在するか』で示した再帰性の観点が、ナショナリズムが台頭しつつある今の日本になぜ必要なのか。與那覇氏に話を聞いた。

――著書『日本人はなぜ存在するか』のテーマである「再帰性」の考え方はなぜ必要なのでしょうか。

 再帰性とは、「われわれは単に現実に存在するものを認識しているというより、逆に認識を通じて現実を作り出している」という視点のことです。わかりやすいように、まずは個人と世界の関係で例を出せば、夕焼けが赤く見えるのは太陽自体が赤いからなのか、私の網膜にそれを「赤く見る」性質があるからなのか。後者の観点を取るのが再帰性の立場です。 続きを読む