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「反戦出版」書評シリーズ③ 『未来につなぐ平和のウムイ』

ジャーナリスト
柳原滋雄

犠牲者20万人の「沖縄戦」の実態

 県民の4分の1が犠牲になったとされる「沖縄戦」――。その凄まじい局地戦において犠牲になったのは、多くが民間人の女性や子どもたちだった。本書は2016年に発刊された、当時、成人に満たなかった女性を中心とする14人による戦争体験集。
 沖縄がこの戦争の本格的な舞台となったのは1945年3月。米軍が本島への大規模攻撃を開始し、6月23日に牛島司令官が自決するまで、苛烈な戦闘が続いた(現在、6月23日は「沖縄慰霊の日」となっている)。 続きを読む

著者インタビュー『日本人はなぜ存在するか』

愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授
與那覇 潤

 著書『日本人はなぜ存在するか』で示した再帰性の観点が、ナショナリズムが台頭しつつある今の日本になぜ必要なのか。與那覇氏に話を聞いた。

――著書『日本人はなぜ存在するか』のテーマである「再帰性」の考え方はなぜ必要なのでしょうか。

 再帰性とは、「われわれは単に現実に存在するものを認識しているというより、逆に認識を通じて現実を作り出している」という視点のことです。わかりやすいように、まずは個人と世界の関係で例を出せば、夕焼けが赤く見えるのは太陽自体が赤いからなのか、私の網膜にそれを「赤く見る」性質があるからなのか。後者の観点を取るのが再帰性の立場です。 続きを読む