特集㉑ 鉄鎖を断ち切った師弟の息吹——各国首脳がSGIに注目

ライター
青山樹人

10万人の青年平和文化祭

 その日、大阪・長居陸上競技場のグラウンドに「6段円塔」が立った。1982年3月22日の第1回関西青年平和文化祭。池田SGI会長のもとに10万人の青年が集った。
 バックスタンドいっぱいに、SGI会長の勇壮な筆文字を再現した「関西魂」の人文字が踊る。正面観客席には、関西の政財界、文化学術界、各国外交関係者、報道関係者など5500名の来賓が居並ぶ。日顕や近畿布教区の日蓮正宗僧侶らも招かれた。
 いかなる権威権力が圧迫しようとも、われわれの師匠は池田先生である。われらが師匠は厳然たり――。その池田門下の青年の雄叫びを満天下に轟かす大文化祭であった。
 SGI会長は、その3カ月前、長編詩『青年よ、二十一世紀の広布の山を登れ』で詠んだ。

 この悠々たる大河の流れは
 誰人も
 決して止めることはできない
 いかなる権力をもってしても
 いかなる邪悪な妨害ありとも
 時代の先取りとしながら
 さらにさらに
 水かさを広く深く拡げながら
 大海に向かって
 流れていくに違いない

 青年とともに、もう一度、微動だにしない創価学会をつくろう。SGI会長は、徹底して青年に焦点をあて、励まし、薫陶した。
 この関西の歴史的な文化祭を皮切りに、各地で文化祭が開催されていった。
 同じ82年の9月には、第2回世界平和文化祭(埼玉・西武球場)。83年には、第3回世界平和文化祭(札幌・真駒内屋外競技場)。84年には、第4回世界平和文化祭(兵庫・甲子園球場)を開催。
 以後、ハワイ、広島など国内外各地で開催される。1997年、再び大阪で開かれた第17回(大阪ドーム)には、ゴルバチョフ元ソ連大統領夫妻が出席した。
 また、これらの文化祭には前述した国連支援の意義も留められ、青年たちの意識を大きく世界へと開くと同時に、国連を支える世界市民の世論を学会のなかに喚起していくのである。
 SGI会長の提案で、各地の青年部による教学研鑽の取り組みも次々にはじまった。聖職者の衣の権威にたぶらかされない自立した信仰者に。会長は青年たちの英知と信心を磨き上げていった。
 学会の隅々まで師弟の息吹が横溢していった。1983年12月。第37回総選挙で公明党は過去最高となる59議席を獲得している。
 青年を育てる戦いは、同時進行で世界でもはじまった。
 84年2月、SGI会長は約40日間に及ぶ北南米指導に出発する。わけても、ブラジルは記念すべき訪問となった。同国では軍事政権の妨害により、1966年の第2回訪問以来、SGI会長の入国が阻まれていたのである。
 18年ぶりにブラジル入りしたSGI会長は、首都ブラジリアでフィゲイレド大統領と会談。外相、教育・文化相とも会談した。フィゲイレド大統領とは同年の5月、東京の迎賓館でも再会している。
 サンパウロで開かれた歴史的な第1回SGIブラジル大文化祭では、リハーサルと本番の両方に出席。数万人の青年がSGI会長との原点を刻む、ブラジル広布の永遠の記念碑となった。
 ペルーではベラウンデ大統領から、同国の最高勲章である太陽大十字勲章が親授される。米国に戻ると、のちのアメリカ創価大学の原点ともいえる創価大学サンディエゴ分校の起工式、第1回日米青年合同総会などに臨んだ。

冷戦終結へ、各国首脳との対話

 世界もまた大きく動きはじめていた。
 1984年、鄧小平は「一国二制度」を打ち出し、中国と英国は香港返還交渉に合意し本調印する。
 85年、ミハイル・ゴルバチョフがソ連の新書記長に就任。米ソ間で軍縮交渉がスタートした。
 80年代後半に入ると、SGI会長と各国首脳との会見も増えていく。主なものだけでも、85年にはインドのラジブ・ガンジー首相、86年にはアルゼンチンのアルフォンシン大統領、キッシンジャー元米国国務長官、メキシコのデラマドリ大統領と会見した。
 87年の北南米訪問では、ドミニカのバラゲール大統領と会見。同国から「クリストバル・コロン大十字勲章」を受けた。パナマではデルバイエ大統領と会見。最高勲章である「バルボア勲章」を同国より授与された。
 この87年5月には、モスクワで「核兵器――現代世界の脅威展」を開催し、開幕式に臨む。クレムリンでルイシコフ首相と会見。フランスに移動し、シラク首相と会見。
 同年秋に東京富士美術館で開催された「フランス革命とロマン主義展」は、フランス国家のフランス革命・人権宣言200年祭の公式行事第1号になっている。
 88年には、タイ王国を訪問し、プーミポン国王を表敬。マレーシアのマハティール首相、シンガポールのリー・クアンユー首相、ベネズエラのルシン大統領とも、それぞれ会見した。
 89年。昭和天皇が崩御し、平成となった。SGI会長は、来日したケニアのモイ大統領、タイのチュラポーン王女、中国の李鵬首相と会見。
 この年の5月には欧州歴訪に出発した。英国では、サッチャー首相、アン王女と会見。スウェーデンでカールソン首相、グスタフ国王夫妻と会見。フランスでミッテラン大統領、ポエール上院議長と会見。
 また1635年創立の歴史をもつヨーロッパ最高峰の知の殿堂アカデミー・フランセーズから招聘を受け、フランス学士院で「東西における芸術と精神性」と題する講演をおこなっている。
 同年だけでも、ほかにウルグアイのサンギネッティ大統領、オーストリアのフラニツキ首相、パグウォッシュ会議のロートブラット議長、コロンビアのバルコ大統領と会見している。
 この1989年11月、ついにベルリンの壁が崩壊する。かつて1961年、第1回の欧州歴訪で建設されたばかりのベルリンの壁の前に立った会長は「30年後には、この壁はなくなっているだろう」と誓いを込めて語っていた。
 89年12月、地中海に浮かぶマルタ島でゴルバチョフとジョージ・H・W・ブッシュが会談し、「冷戦の終結」が宣言された。

衛星放送の配信がスタート

 池田SGI会長のリーダーシップは、世界の有識者から大きな注目を集めるようになっていた。
 SGI会長にはすでに1975年にモスクワ大学から名誉博士号が贈られていたが、80年代の10年間に、北京大学、サンマルコス大学、ソフィア大学など海外の5大学から名誉博士号や名誉教授称号が授与された。
 SGI会長はまた、『「仏法と宇宙」を語る』『生命と仏法を語る』などの、仏法をめぐる新たな言論戦を開始。世界の知性たちとの対談集も次々に刊行した。
 それは80年代だけでも、『闇は暁を求めて』(ルネ・ユイグ)、『二十一世紀への警鐘』(A・ペッチェイ)、『社会と宗教』上下巻(ウィルソン国際宗教社会学会元会長)、『第三の虹の橋』(モスクワ大学ログノフ総長)、『「平和」と「人生」と「哲学」を語る』(キッシンジャー)、『内なる世界』(カラン・シン)、『二十一世紀への人間と哲学』上下巻(デルボラフ)の9冊に達している。
 さまざまな会合での、記念の「スピーチ」もはじまった。
 このスピーチは、毎月の中心行事である本部幹部会でもおこなわれるようになり、88年には、電話回線を使っての音声中継として、全国の主要会館に配信されるようになった。
 学会は引き続き人工衛星を使った衛星放送システムを導入。89年8月の東京総会から、動画を伴った配信がスタートした。
 これによって、今まで記録映画やビデオでしか触れたことのなかった池田SGI会長の姿と声に、会員が直接触れられるようになったのである。
 毎月、衛星放送を通して池田SGI会長のスピーチが聴けるようになったことで、創価の「師弟の絆」は見違えるようにみずみずしく強固なものへとなっていった。
 SGI会長は形式張った坊主の説教のような話を嫌い、友人たちと懇談するかのように、平明に気さくに、自在闊達に、時には語気強く真剣に、同志に語りかける。
 また、古今東西の文学や歴史を縦横に引用するなど、普遍的な英知を通じて仏法の正しさと、仏法者としてのあるべき姿を繰り返し論じた。
 やがて90年代に入ると、世界の名門大学からの名誉学位授与式なども、こうした衛星放送でしばしば配信されるようになる。会館に集った幾百万の庶民が、これら各国の碩学たちの謦咳に毎月のように接する機会を得たことだけでも、学会が社会に果たしてきた役割は大きい。
 なにより、毎回のスピーチをするSGI会長自身が、人類史上で最も多くの名誉学術称号を受けることになる、最高峰の知性の人なのである。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。