新型コロナウイルス特集⑦――さらなる支援策の強化を

ライター
松田 明

急がれる賃料への支援策

 新型コロナウイルスの緊急経済対策などを盛り込んだ補正予算案が、祝日返上で4月29日の衆議院で可決。30日の参議院本会議で可決・成立した。
 これによって、一律10万円の現金給付などが早速5月から始まる見通しになった。緊急経済対策の事業規模は117兆円にのぼる。

 賃料の支払いが困難な事業者への支援をめぐって、自民党は30日に作業チームを立ち上げ、無利子・無担保の融資を活用したうえで、賃料を助成する制度について検討を進めることにしています。
 公明党は事業者が賃貸借契約を維持できるよう支援するほか、地方自治体が給付金を支給した場合、国が財政的な措置を講じることを検討しています。(「NHK NEWSWEB」4月30日)

 世界的なパンデミックと、感染拡大を抑えるための緊急事態宣言発令により、すべての国民が影響を受け、多大な困難に直面している。
 今回の緊急経済対策では、中堅・中小企業のほか、NPO法人、医療法人、フリーランスも含む個人事業主を対象とした「持続化給付金」が創設された。
 これもオンラインでの申請がスタートし、2週間程度で給付通知書が発送され振り込みがなされることになる。

学生への支援強化を

 また、10万円の現金給付については、DVなどを受けてシェルター等に避難している人や、住居を持つことができずネットカフェ等での生活や路上生活を強いられている人にも、もれなく支給されることが決まった。
 今回の事態は、厳しい経済状況で学業を続ける学生にも深刻な影響を与えている。
 飲食店などを筆頭に多くの業種で軒並み休業を余儀なくされ、アルバイト収入を断たれて、このままでは退学するしかないという悲痛な訴えがSNS上などにも溢れた。
 4月20日には、公明党の浮島智子・衆議院議員(文部科学部会長)と矢倉克夫・参議院議員(青年委員会委員長)、安江伸夫・参議院議員(学生局長)らが文部科学省に萩生田大臣を訪ね、学生への支援強化を申し入れた。
 これには佐々木さやか文科政務官(公明党)も同席し、萩生田文科相は

(学生たちが)不利益を受けないことが大事だ。しっかり対応していく

と応じた。
 日本若者協議会の室橋祐貴代表理事はツイッターで、

既に令和2年度補正予算案に、大学生への授業料減免措置、オンライン学習環境の整備等の予算を計上してもらっていますが、さらなる支援強化を求めて、昨日萩生田文科大臣に出された公明党の提言に意見を反映して頂きました!
(室橋祐貴代表理事のツイッター)

と投稿。若者たちの切実な声が文科省に届いたことを歓迎した。
 この学生への支援の必要性については、山口那津男代表が改めて記者会見で強調している。

 公明党の山口代表は記者会見で、アルバイトの収入が減って生活が厳しくなった大学生について「支援の手をどう差し伸べたらいいか、既存の奨学金や今回の10万円の一律給付だけでなく、ほかにどういう方法があるかを含め検討していくべきだ」と指摘しました。(「NHK NEWSWEB」4月28日)

民意をすくい取る公明党

 ただし、現時点で決まっている緊急経済対策は、いわば当座の応急手当に過ぎず、すでに赤字が続いている企業などは時間の問題で最悪の事態に見舞われる。
 衆議院の財政金融委員会理事を務める伊佐進一議員(公明党)は、毎日新聞のインタビューで今後の道筋を語っている。

 優良な中小企業として手持ち資金が1億円あったとしても、数カ月で底をつきます。こうした企業にとって、今の支援の規模は決して十分ではありません。もちろん、当面の資金繰りとして融資も受けられますが、融資はあくまで借金であって、受ければ受けるほど企業のバランスシートは痛みます。
(中略)
 具体的な内容について、公明党の財政金融部会でも議論を進めています。
 借金となる融資でなく資本への注入ができないか。永久劣後ローンならどうか。家賃についての支援策は。固定資産税減免で対象となっていない土地代をどう考えるか。生前贈与による資金活用ができないか。現場からいただくさまざまなお声をもとに、現在、検討を重ねていきます。(『毎日新聞』政治プレミア 4月29日)

 山口那津男代表の強い説得を受けた安倍首相が大きな政治決断をし、一度は閣議決定していた補正予算案を組み替えて、一律10万円の現金給付を決めた。
 この背景について、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は、4月17日放送の文化放送ラジオ「くにまるジャパン極」で、次のように語っている。

 今回、非常に興味深いのは、連立与党である公明党が今回は野党以上に厳しい姿勢でしたよね。とにかく安倍さんと直談判をして、電話でダメだったら山口那津男さんが乗り込んでいった。なんで公明党がそれをしたかというのは、これは支持母体の創価学会があるからですよね。
 支持母体の創価学会というのは、大衆のなかにネットワークを張っていますから、そこの皮膚感覚がわかるので、官邸がズレているぞと、今の政府はズレているぞと、その感覚というのは公明党にはひしひしと伝わるので、この「30万円」みたいな政策で社会で分断をつくったら、日本の国内が大変なことになることになるし、政権は倒れるぞという、こういう危機意識をかなり持っていて、安倍総理はその危機意識を共有したということですね。ですから今後、政治において持つ首相官邸プラス公明党の役割ってすごくデカくなる気がします。(文化放送ラジオ「くにまるジャパン極」4月17日放送)

 元朝日新聞政治部特別編集委員の星浩氏は、TBSの「ニュース23」の放送内で次のように語った。

 公明党がこれだけの強い調子で迫ったのは、支持母体の創価学会の意向もあると言われているんですが、それだけじゃないと思うんですね。公明党っていうのは全国に3000人の地方議員がいましてね、こう民意をすくい取るっていう機能を果たしてるんですけども、どうもそういう民意をすくい取ってきた公明党と安倍さんの認識のズレがあるんじゃないか。(TBS「ニュース23」4月20日放送)

 政府は緊急事態宣言を5月6日以降も延長する方向に入った。なにもかも経験したことのなかった危機が、これからも当面は続く。
 とりわけ声の届きにくい立場にある人々の苦境に対し、敏感に、迅速に対応する政治であってもらいたい。

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