死刑台から生還した免田栄に関する記録
刑事裁判でいったん死刑判決が確定した死刑囚が、その後再審申請が認められて無罪となって帰還したケースは本書で取り上げられた免田栄(めんだ・さかえ 1925-2020)を筆頭に4人いる。いずれも1975年の「白鳥決定」を受けて、83年の「免田事件」、84年の「財田川事件」「松山事件」、89年の「島田事件」の各死刑囚の無罪判決が再審法廷で確定したことによる。
その後、日本の刑事司法は反動の流れに向かい、5件目はなかなか生まれなかった。ところがここに来て袴田巌(はかまた・いわお 1936-)死刑囚の再審請求が東京高裁で認められ、東京高検が最高裁に特別抗告を行わなかったため、ことし中に再審の審理が始まる予定となった。30数年ぶりの5例目の無罪ケースとなることが予想され、再審のあり方が再び脚光を集めている。日本の司法界に一筋の光がさしたかのようだ。 続きを読む