コラム」カテゴリーアーカイブ

ICANと創価学会――国際パートナーとしての関係をひも解く

ライター
松田 明

授賞式に招かれたSGI

 2017年のノーベル平和賞に、核兵器禁止条約の制定に向けたキャンペーンを展開し続けてきたICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が選ばれ、現地時間の12月10日、ノルウェーの首都オスロの市庁舎で授賞式がおこなわれた。
 式典には、ノルウェー・ノーベル賞委員会の招聘を受け、ICANの国際パートナーの一員として創価学会インタナショナル(SGI)の代表も列席した(創価学会公式サイト記事)。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第40回 カズオ・イシグロの世界

作家
村上政彦

 10月はノーベル賞が発表になるので、この数年、日本のメディアはにぎやかになる。村上春樹が文学賞を受賞するかどうか――僕の知っている著名な批評家は、何年か続けて発表の当日、某放送局で罐詰になっていた。受賞となったらコメントするためだ(今年は誰がその役を担ったのだろう。ご苦労様である)。
 そのとき、僕の家では夕食のテーブルを囲んでいた。高校生の娘がふとスマホを見て、「お父さん、カズオ・イシグロって知ってる?」と訊く。ああ、いい作家だよ、と応えたら、ノーベル文学賞らしいよ、という。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第39回 グローバリズムのなかの日本文学・村上春樹の場合

作家
村上政彦

 2017年度のノーベル文学賞は日系イギリス人作家のカズオ・イシグロに決まった。TVのニュースでは、残念がるハルキストたちの姿が映し出され、ここ数年繰り返されている光景が見られた。
 村上春樹が国際的な作家としての地歩を築いたのは、この十数年ほどのことだろうか。僕が初めて彼の作品を読んだのは、いまから30年以上も前のことだ。群像新人賞を受けた『風の歌を聴け』という小説だった。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第38回 死ぬほど読書

作家
村上政彦

 少年のころは話題になった本を買っていたが、やがて文学を読むようになると、ベストセラーには手を出さなくなった。あえてそうしたわけではなく、読みたい本は、だいたい売れない部類に属するようになっていたのだ。
 作家としてデビューしてすぐのころ、ゴダールの本を読んでいたら、できるだけハリウッドのエンターテイメントな映画を観るようにしている、とあった。理由は、そういうヒット作を観る人々を知るためだという。つまり、一種のフィールドワークである。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第37回 カフカの生涯

作家
村上政彦

 ふらっと本屋や古本屋をパトロールするときと違って、図書館へ行くときは、だいたい仕事の資料を調べたり借り出したりと、目的が決まっている。それでもときには、「おっ、こんな本があったか」と目当てのものではない本を手に取ることがある。
 このあいだ図書館へ行ったとき、ふと、『カフカの生涯』という表題が眼についた。カフカは若い頃から読み親しんだ作家で、近年、マックス・ブロートの手が入っていない全集が出たのを買った。 続きを読む