投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

書評『新たな地球文明の詩(うた)を タゴールと世界市民を語る』

ライター
青山樹人

インドを目覚めさせた「詩聖」

 およそ10年後の2020年代後半には世界一の人口に達するインド。近年、ようやく日本はインドとの間の経済交流、また安全保障を含む政治対話に、本格的に乗り出した。
 とはいえ、私たち日本社会はインドという大国をどこまで知っているのか。
 インドを理解し、語るうえでの〝肝〟ともいえる存在が、ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)だろう。 続きを読む

学会と宗門、25年の「勝敗」――〝破門〟が創価学会を世界宗教化させた

ライター
青山樹人

仏教史上に例のない供養

 かつて〝日本最大の隆盛〟を誇りながら、わずかこの25年で、風前の灯火のように衰亡した仏教宗派がある。
 日蓮正宗――。そう言われても、もはやほとんどの人が名前も知らないだろう。
 静岡県富士宮市の大石寺を総本山とするこの宗派は、日蓮の弟子・日興を開祖とし、古くは日蓮宗興門派や富士派を名乗っていた。日蓮正宗と改称したのは、1912年(明治45年)のことである。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第23回 短篇小説の愉しみ

作家
村上 政彦

 本が好きだ。この齢(半世紀は過ぎました)になると、人並みにさまざまな経験を重ねてきて、何をしてもときめくということは、あまりない。ところが、本を買って、最初のページを開くときには、いつもときめいている。
 なんだろう、この感じは。つらつら考えてみると、そう、恋に近い。 続きを読む

与野党の明暗が分かれた1年――から騒ぎに終始した民進党

ライター
松田 明

暮らしに直結する法律の数々

 12月17日、第192回臨時国会が閉会した。
 政府提出法案は継続案件も含めると24本が成立。議員立法は17本が成立した。
 報道では、TPPやIR(統合型リゾート整備推進)法をめぐる派手な騒ぎばかりが目を引いたが、成立した法律の中には、SNS上での嫌がらせも規制対象に加えた改正ストーカー規制法、がんになっても就労し続けられる道を開いた改正がん対策基本法、休眠預金を社会公益活動への助成に転ずる休眠預金活用法など、国民の暮らしの質を上げる法律が少なくない。 続きを読む

小池知事〝笑顔の握手〟のワケ――「改革」支持した都議会公明党

ライター
松田 明

「連立解消」の衝撃

 日ロ首脳会談が行われた12月15、16日の両日、それとは別にメディアが大きく取り上げたニュースがあった。
 15日に東京都議会が閉会したあと、都議会各会派へのあいさつに回った小池百合子知事が、自民党と公明党に対照的な態度を見せたというもの。16日のTBS系「ひるおび!」は、正午からのトップ項目でこれを大きく扱った。 続きを読む