投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

連載エッセー「本の楽園」 第61回 横尾忠則の世界②

作家
村上政彦

僕は本を読むのが好きだ。おもに人文系だが、美術書も読む。必要に応じて理系の本も読む。結局、本であれば、どのような本でもいい。でも、一つ二つ、ジャンルを絞るように促されたら、絶対に入るのが書評集だ。
書評集は、僕のような気の多い人間には向いている。何しろたくさんの本を扱って、そのエッセンスを抜き出して伝えてくれる。本好きにとって、これほどありがたいものはない。 続きを読む

「日中」新時代の開幕(下)——信義を貫いた民間交流

ライター
松田 明

周恩来首相の強い願い

日中平和友好条約締結40周年 記念式典(北京人民大会堂)を報じる聖教ニュース9月27日付

日中平和友好条約締結40周年記念式典(北京・人民大会堂)を報じる聖教ニュース9月27日付

 10月25日の夕刻。北京の人民大会堂で「日中平和友好条約締結40周年」記念式典(主催=中国人民対外友好協会、中日友好協会)が盛大に開催された。(聖教ニュース10月27日付
 中国側からは李克強首相、王毅外交部長(外相)、唐家璇中日友好協会会長らが出席。日本側からは安倍晋三首相ほか政財界関係者、日中友好に尽力してきた諸団体関係者らが出席した。
 式典に先立って、両首相を中心に、平和友好条約の締結にかかわった人々やその家族が記念撮影。人民対外友好協会の李小林会長、程永華駐日大使、公明党の北側一雄副代表、創価学会の池田博正主任副会長らが写真に収まった。 続きを読む

「日中」新時代の開幕(上)——競争から協調へ

ライター
松田 明

7年ぶりの単独公式訪問

 10月27日、中国の主要紙はいずれも一面トップに大きなカラー刷りで、日中の国旗を背景に安倍首相と習近平国家主席が笑顔で握手する写真を掲載した。
 見出しはそれぞれ、「中日両国が多くの点で合意した」「両国関係を促進して新たな発展を」などと報じている。
 25日から2日間にわたった安倍首相の訪中は、単独での公式訪問としてはじつに7年ぶりとなるものだった。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第19回 しょうりん流③ 知花朝信の開いた小林流(下)

ジャーナリスト
柳原滋雄

知花の直弟子の流れ

 1969年、知花朝信(ちばな・ちょうしん 1885-1969)が他界した後、沖縄小林流空手道協会の2代目会長には宮平勝哉(みやひら・かつや 1918-2010)が就任した。戦前からの古い弟子で、満州の日本語学校で教員を務めたあと、戦後は那覇市役所に勤務した。
 20歳で宮平の弟子となった宮城驍(みやぎ・たけし 1935-)現会長は、宮平のことを「がっちりした体格で、柔道の有段者、沖縄相撲も強かった。人格者だった」と振り返る。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第60回 横尾忠則の世界①

作家
村上政彦

横尾忠則のことはとても個性的な絵を描くイラストレーターとして知っていた。でも、それだけだった。特にそれ以上のことを知ろうとも思わなかった。彼のことが気になり始めたのは画家に転向してからだ。
確か、マルセル・デュシャンの影響で、死んでいた絵画がニュー・ペインティングと称されて、またアートの世界で復活を遂げたころだったか。イラストレーターとして成功していた彼が、絵画という未知の領域に乗り出したことで、なぜか? という思いが湧いた。
でも、何となく、それも素通りして、横尾の作品や本を手にすることはなかった。去年あたりから、ぽつぽつ彼の本を読むようになった。これがおもしろかった。 続きを読む