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連載エッセー「本の楽園」 第65回 英文創作教室

作家
村上政彦

 むかしは翻訳者で読ませる本、というのがあった。ロシア文学なら神西清(じんざい・きよし)、フランス文学なら生島遼一(いくしま・りょういち)。最近そういう人は少なくなったが、いないわけではない。僕がこの人の翻訳ならと手に取るのは、アメリカ文学の柴田元幸さんだ。
 図書館をパトロールしていたら、新刊コーナーに「柴田元幸編・訳」の本があった。タイトルを見ると、『英文創作教室』とある。著者はレアード・ハント。まだ読んだことはないけれど、名前は知っている。アメリカの小説家だ。 続きを読む

rogo

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第25回 沖縄尚学の試み

ジャーナリスト
柳原滋雄

沖縄空手を本格導入した私立校

 沖縄県の中学・高校に「沖縄尚学」というユニークな私立校がある。県内では文武両道の進学校として有名で、国内外への大学進学、高校野球やテニスなど多くのスポーツ分野でも全国的に名を知られる存在だ。
 この学校で、全校生徒に週1回(70分)の空手授業を義務づける試みをスタートさせたのは2007年から(当初は中学校のみ)。きっかけとなったのは、中学校の校長をつとめる名城政一郎(なしろ・まさいちろう)副理事長の海外体験だった。 続きを読む

kokkai

自公連立政権7年目④――平和安全法制の舞台裏

ライター
松田 明

米国からの強い圧力

 2012年8月に米国の戦略国際問題研究所(CSIS)から出された報告書、いわゆる第3次の「アーミテイジ・ナイ・レポート」は、民主党政権になってからの日本と米国の関係が、東日本大震災での〝トモダチ作戦〟までは「特異な政治的不調和」「日米同盟の漂流」だったと指摘した。
 民主党政権は対中外交も最悪にしていたばかりか、対米関係も最悪にしていたのである。 続きを読む

syukinpei

自公連立政権7年目③――大きく好転した日中関係

ライター
松田 明

会見に応じた習総書記

 公明党の山口代表は、連立政権発足から1ヵ月も経たない1月下旬に訪中し、国家主席への就任が決まっていた習近平氏と会見。安倍首相の親書を手渡した。
 日中間が〝国交正常化以来で最悪〟という状況になり、中国国内でも「反日」世論が沸騰していた時期である。これから国家主席になろうとする習氏にとって、日本の与党党首である山口代表と会見して安倍首相の親書を受け取ることは、本来は大きなリスクでしかない。 続きを読む

abe

自公連立政権7年目②——首相の巧妙な戦術

ライター
松田 明

「安倍劇場」のはじまり

 自民党内には、高まっているナショナリズムを吸収することで選挙に勝ち、民主党から政権奪取を図ろうとする思惑があった。その一方で、石原慎太郎氏に象徴されるような〝極右勢力〟が橋下徹氏の人気に便乗して勢いを急速に増していることへの、強い警戒感があったのだと思う。
 総裁選のわずかな期間中に、自民党内では下馬評の低かった安倍氏に有力派閥の支持が移動し、最終的により右寄りな石破氏ではなく、公明党との連立政権を一度経験している安倍氏を総裁に選んだ。 続きを読む