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【コラム】「生き残る力」としての文化力――日本は「文化」を大切にする国か

フリーライター
前原政之

先進国なのに文化にお金をかけない日本

「文化力」という言葉を「国力」のニュアンスで最初に使ったのは、おそらく仏文学者の桑原武夫だと思われる。
 桑原は1979年9月6日付の『朝日新聞』に「劣勢な日本の文化力」という論考を寄せ、その中で「日本は国際的文化力では第三級」と断じ、「日本の対外文化宣伝費がフランスのそれの10分の1しかないことも問題だ」としている。 続きを読む

文化芸術が開く 地域再生・日本再生への道

劇作家・演出家
平田オリザ

社会における文化芸術の役割とは何か。

柔構造の日本型社会の構築

 今回上梓した『新しい広場をつくる』は、2001年に出版した自著『芸術立国論』(集英社新書)
のバージョンアップ版ともいえます。
『芸術立国論』の出版当時から比べると、政権交代や大震災を経て、社会情勢は大きく変わりました。その中でも特に、小泉構造改革によって浮き彫りになった地方の疲弊は非常に深刻な問題です。 続きを読む

シリーズ 文化芸術を考える①――「平和創出の土壌」を生み出す文化・芸術の力

現代美術家
宮島達男

<シリーズ 文化芸術を考える>第1弾
文化・芸術の世界で学んだ人たちに向けて、誇りと使命をもってほしいと訴える宮島達男氏。その理由とは――。

2つのソウゾウリョク

「文化・芸術は、そこに携わる人たちの2つの〝ソウゾウリョク〟を鍛えてくれる」
 私がそう考えるようになったのは、芸術大学で学生と向き合うようになってからです。毎年2万人に及ぶ人たちが芸術系の大学を卒業していくなかで、アーティストとして生計を立てられるのは、ほんの1%にも満たない人で、残りの99%は普通の社会人として世の中に出ていきます。 続きを読む

今、私たちが宮沢賢治から学ぶこと

法政大学教授
王敏

 支え合う社会の構築に向けて日本人に求められるものとは何であろうか。宮沢賢治研究の第一人者・王敏氏が、日本人が忘れかけている〝日本人〟を語る。

宮沢賢治の不屈の探求心

 情報化社会の中で、現代人は探求心が薄れてしまいました。それどころかあまりにも多すぎる選択肢を前に戸惑いが生じ、目眩を起こしてしまっています。
 宮沢賢治の時代は、ものが少ない時代でした。少ないから選択する力が生まれ、探究心も芽生えます。その点では、ものに溢れた現代と比較した場合、逆に幸せな時代であったといえるかもしれません。 続きを読む