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連載エッセー「本の楽園」 第14回 グローバリズムとローカリズム

作家
村上 政彦

 デザイナーとは、「問題を解決する人」と梅原真はいう。これはソーシャルデザインの考え方に近い。彼はデザインを通じて現実に働きかける。それは顧客に利益を与えるばかりか、社会の在り方を、ほんの少し変える。
『ありえないデザイン』は、梅原自身による梅原デザインの解説書だ。高知県に生まれて11歳で和歌山に移った彼は、地元の高校を経て大阪芸術大学をめざすが、学費が高いという理由で、大阪経済大学に入る。卒業後は高知に戻って、地元新聞社のグループ企業の、あるプロダクションに勤めた。 続きを読む

文化芸術が開く 地域再生・日本再生への道

劇作家・演出家
平田オリザ

社会における文化芸術の役割とは何か。

柔構造の日本型社会の構築

 今回上梓した『新しい広場をつくる』は、2001年に出版した自著『芸術立国論』(集英社新書)
のバージョンアップ版ともいえます。
『芸術立国論』の出版当時から比べると、政権交代や大震災を経て、社会情勢は大きく変わりました。その中でも特に、小泉構造改革によって浮き彫りになった地方の疲弊は非常に深刻な問題です。 続きを読む